本の選び方


僕は多読家ではないし速読家でもないので、そう多くは本を読めない。
が、今まで生きてきたなかで蓄積してきた本の選び方という点では、それなりにロジックが固まってきたので記録しておこうと思う。
僕は自分で自分の性格を分析すると、「積極的他力本願」「戦略的ネガティブ」だ。
自分の足で出来ることは歩くことぐらいで、その他は自分独りの力で成し遂げてきたことは皆無に近く、必ず誰かしらの助けを支えにして今まで生きてきた。つまり、自分で出来ることは勿論やるけども、そもそも自分で出来ること自体がそんなに多くないため、先人や偉人たちの軌跡を効率よく辿ることによって、何とか生きていられるのである。
というのが本の選び方にも表れていると思う。
以下が何となく、アタリも外れも経験してきたなかでの「80%ぐらいアタリを引く、また外れを限りなく避ける方法」だ。
買うときの法則1:自分が尊敬する人が推薦してる本を買う。
買うときの法則2:とてもベタだが著名人が推薦する本を買う。
買うときの法則3:ロングセラーを買う。

買うときの法則1:自分が尊敬する人が推薦してる本を買う。

これは基本中の基本。
何故この方法が良いかというと、良い本を選ぼうとしている割には矛盾するが、本の良し悪しとは関係なく本の中身の吸収力が格段に違ってくるからだ。言葉は、何を言っているかよりも誰がその言葉を発しているかが大事。
その辺の草野球のおじさんに「スイングはコンパクトにね」と言われるのと、イチロー選手に同じせりふを言われるのでは、野球少年の将来に及ぼす影響は全く違う。
同様に、尊敬している人が勧めているとなると、読む前から心の持ちようが全く違い、結果としてどんなことが書かれていたとしても、そこから何かしらの教訓を自分で見つけようとする。だからこの方法は良いと思う。
買うときの法則2:とてもベタだが著名人が推薦する本を買う。

よく著名人同士がお互いの著作を気持ち悪いほど褒めあってる場合があり、それはそれで一種の商業的要素というか、ヤラセを感じることもよくある。ただそのマイナス面を差し引いても、この種の本の買い方は、そんなに間違いを起こさないのではないかと思う。何故ならば、著名人が一番恐れることは、自分の評判が落ちること。特にネットが発達したこの時代には、その伝播スピードは恐ろしく速い。
とするならば、とある書籍を紹介するときに、著名人になればなるほど、かーなーり気を使って、書評を書いているのではないだろうか。「あいつこんなダメ本勧めてたぜ、バカだなぁ」なんてことが言われないように、必然的に良書に近いものを推薦せざるを得ないような仕組みに、世の中がなっている気がする。
買うときの法則3:ロングセラーを買う。
人間関係構築の天才デールカーネギー、経営学の神様ドラッカー、数千年読み継がれている中国古典など、ロングセラーにはロングセラーになる理由がある。多くは世の中の原理原則を説いたもので、変化のスピードの速い現代にも、変わらぬ物事の本質を示唆してくれるのは、こういった本に多い。特に、「未曾有の危機!!」なんて言われる危機は、未曾有であった試しはなく、過去数千年の間に数十回〜数百回はご先祖様たちが経験してきたことばかり。
数十年〜数千年間読まれている本には、読まれているだけの理由があるということで、一読の価値があるものばかり。
さて、Oppositeなのはこちら。
買わないときの法則1:今をときめく人の本はあまり買わない。
買わないときの法則2:本屋での「売れてます」コーナーにはあまり興味を持たない。
買わないときの法則3:処女作〜2、3作目ぐらいまでがわりと満足感が高く、それ以降は下降線をたどることが多い。

買わないときの法則1:今をときめく人の本はあまり買わない。

今をときめく人の本はすぐ店頭に並ぶ。そしてよく売れる。しかし良く考えなければいけないのは、今をときめいている人がこの先もずーっとときめいている人なのかは今現在は分からない、ということ。
ときめいている理由がまぐれなのか実力なのかすら、ときめいているその瞬間には分からないことが多く、株式のIPOと一緒で大盛り上がりを見せたあとに暴落するのか、安定的に成長していくのかは結果を見てみないと分からない。
だとしたらとりあえず静観するのが得策かなと。
買わないときの法則2:本屋での「売れてます」コーナーにはあまり興味を持たない。
とある本が売れている理由は、その本が売れているから、ということが良くある。
要は中身の良し悪しとは全く関係なく、出版元のプロデュース能力に完全に依存した売れ方をした挙句、そのままの勢いで売れてしまったというケースが少なくない。
Movementがいかにして起こるか?を、面白い題材を使って短時間で説明してくれる面白い例がこちら。
http://www.aoky.net/articles/derek_sivers/how_to_start_a_movement.htm
同様に、「クラスの皆から仲間はずれにされたくないから」的な感情と同じような気持ちが購入を刺激した結果ベストセラーになった本に、健全な評価が下っているとは考えずらい。勿論ベストセラーになるべくしてなってるものも多いと思うけども。
買わないときの法則3:処女作〜2、3作目ぐらいまでがわりと満足感が高く、それ以降は下降線をたどることが多い。
本を書くという作業は、ある種紙に自分の命を吹き込む作業であり、自分自身の人生を凝縮して映し出す鏡を創り出すことと同義であると思う。特に処女作で注目を浴び、2、3作目でブレイクするまではそれが持続する。与えられたページの中に自分の全てを注ぎ込み、少しでも多くの方に読んでもらおうと考えて中身を濃く濃く創りこんでいく。本がコストパフォーマンスが10倍〜100倍と言われる所以は、本を書いた著者があますことなくその成功のエッセンスを織り込んでくれることにあると言われている。
ただし、それが3作目を超えたあたりから、急に商業的要素が感じられるようになることが多い。
恐らく理由はカンタンで、このあたりから印税収入が激増するため、少しでも多くの収入を得るためにも著作をシリーズ化することが最も得策となるからだ。セールスの世界では既契約者が最も有望な次の見込み客になると言われているが、それと同じだろう。一度買った本の続編であれば、なんか買わないと損するような、全部を楽しみきれていないような、そんな感覚が発生し、またそれにより購買が促される。
だけども、メジャーではない頃に命を注ぎ込んだ作品と違い、エッセンスを薄めて少しでも長くシリーズを続けようとするその本の価値は、前者と比べて如何ほどのものがあるのだろう。
実力のある著者の作品は、どれだけ多くリリースされても引き続き面白いこともあるが、そうでない人の本は、どんどん中身が薄くなっていき、著作だけが増えていく。
こんな感じで本を選ぶようにしているため、要するにほとんど自分では本を選ばないということになる。
だって本屋に行ってベストな本を選ぼうとしても、あの量。むりむり。
芸能人以上に入れ替わりの激しい本だからこそ、そして少しでも少ない投資で最大の効果を得たいと思うからこそ、人様が時間をかけて選んでくれたものに敬意を表して取捨選択した上で受け入れるというのは、とても大事なことだと思う。

EXILEに見る成功哲学


我が家はEXILEが大好きだ。奥さんはその中でダントツATSUSHIが好きだ。
どれぐらい好きかというと、


▼EXILEの番組3つを全て毎週予約録画している。そして何故か僕はそれを毎日帰宅後に見てしまっている。
▼僕の弟が勝手に「EXILEボーカルバトルオーディション」にエントリーされそうになった。テニスの試合で遠征のため仕方なく断念しただけ。
▼超入手困難なはずのコンサートのチケットを、執念で年に1〜2回は当ててくる。
▼妊婦のくせに胎教と偽ってコンサートに参加。さすがに飛び跳ねはしなかったらしいけども。
▼コンサートですぐ目の前にイケメンTAKAHIRO君がいるにも関わらず、遠くのATSUSHIばかり見ていた。

それはさておき、最近のEXILEの躍進はすごい。押しも押されぬトップアーティストと言える。で、このEXILEの成功を、僕なりに分析してみた。通常、EXILEの強さは下記のように評価される。


▼特にボーカルATSUSHIの「奇跡の歌声」とも称される歌唱力
▼歌とダンスの高次元での融合
▼大事なことだが、全員がイケメン。かつマッチョ。
▼リーダーHIROの戦略性。(オーディションに落ちた参加者を自社でデビューさせる、など)

しかし僕の意見はちょっと違う。勿論上記も大事な大事な要素だけれども、それだけなら他にも当てはまるアーティストがいる。 EXILEをここまで押し上げたKey Diffentiatorについて、僕は彼らの成功要因をこう考えている。


1、リーダー、HIROが過去に大失敗、大挫折を経験している。

2、事業領域が広い。EXILEの定義は、「ボーカルグループ」ではなく、「エンターテインメントグループ」である。

3、EXILEの組成にオープンアーキテクチャー戦略をとっている。

4、徹底したコンプライアンス体制が敷かれている。

あれれ、ATSUSHIの歌声とかTAKAHIROがカッコいいとか、当たり前のことが書いてないぞ??そう、そうなんです。けれども、毎夜毎夜EXILEの番組を見てるからこそ、僕はこの4つこそ大事と思うのです。


1、リーダー、HIROが過去に大失敗、大挫折を経験している
IT産業のメッカ、シリコンバレーでは、日々生まれる新しい企業の経営者にベンチャーキャピタルやエンジェル投資家が投資する際、「その起業家が過去に失敗したことがちゃんとあるか?」を見るそう。

企業経営には山も谷もつきもので、特に逆境の際には過去に失敗した経験がモノを言うようで、失敗したこともない楽天的な人間には企業経営は任せられない、ということ。 本当に危ない瞬間を肌で知っているのと知らないのとでは、日々の危機管理が違ってくるのだろう。


ところで、リーダーHIROは、Choo Choo Trainの生みの親でもあるZOOのメンバーだった。この曲で大ヒットを飛ばし、チーム全体が有頂天になり、毎日酒を飲みまくり、結果登るのと同じような勢いで転落していき、たった一曲のヒットで解散に至った。一度登ったが故にその後の生活は惨めそのもので、そこから地道に地道に活動していった結果、今のようなモンスターグループを創るに至った。


メンバーが随時追加されるEXILEはメンバー間の意識にも当然差があるはずで、創生期メンバーと、EXILEが有名になってから入ってきたメンバーはやっぱり違う。HIROは武道館で講演をしようがCDがどんなに売れようが、またテレビでどんなにもてはやされようが、常々口をすっぱくして「調子に乗るな」ということをメンバーに言っている。調子に乗った結果、自分がどんな思いをしたかを何度も何度もメンバーに説き、EXILEが同じ運命を辿らないように、細心の注意を払っているのだ。

実るほどこうべを垂れることを知っている人がリーダーである組織は、非常に強い。ライブなどで盛り上がってくると、「おまえらぁ最高!」や「サンキュー!」などと声が荒くなるアーティストが多い中で、どんなにテンションの上がった場面でも「皆さん!」「ありがとう!」と、常に観衆に対するRespectを感じさせるその謙虚さは、なかなかのものだと思う。

自分たちという存在がファンによって活かされているということを、骨の髄まで全員が共有している、そう感じさせてくれる。


2、事業ドメインの定義が広い。EXILEの定義は、「ボーカルグループ」でも「ダンスグループ」でもなく、「エンターテインメントグループ」である。
事業ドメインの定義がこれほど大事だとは、という典型だろう。通常の「歌手」に分類されるアーティストが、CDがバカ売れした結果、本を書いたりドラマに出てみたりすると、「あれ?何か違う」とか「何やってんの?」というように、本業とのズレに妙な違和感を覚えたりする。

そしてそれは意外と的外れではなく、そういった本業以外に手を出しすぎたアーティストは、そのうち消えていくことが多い。 ちなみにEXILEは、まず歌う、そして踊る、以外に、演劇をやる、映画に出る、CMにも出る、テレビ番組も3つもち・・というように、かなり色々やっている。


それはひとえに、EXILEの事業ドメインの定義が、「エンターテインメントグループ」だからである。耳をよーくすませて何度聞いていても、自分たちのことを「ボーカルグループ」と呼んだことは一度もない。そして、「ボーカル」ではなく、「エンターテインメント」なのだから、上記に挙げたような歌うこと以外の活動も、なんら違和感なく正当化されることになる。

これはちょっとしたことのようで、非常に大事。「次はどんなエンターテインメントが出てくるんだろう?」と、ファンに失望でなく期待をさせるという点については、この事業ドメインの定義が全てを決定したといっても過言ではない。


3、EXILEの組成にオープンアーキテクチャー戦略をとっている。
「共感マーケティング」という言葉が流行ってきている。従来の供給と需要という対面の関係ではなく、商品の開発秘話などを通してある種の同じ感情を共有して、そのシンクロ=共感のもとに他社と差別化をして自社の商品を選んでいただく、そういったマーケティング手法だ。

EXILEはこれが非常に上手い。そしてその具体的な手法として、オープンアーキテクチャ戦略をとっている。(と言っても赤羽定義のため、本論とは別の場合もあります。国領先生ごめんなさい)オープンアーキテクチャ戦略とは、Linuxのように開発ソースと過程を公開し、世界中から知識と知恵を集めてよりベターに、よりベターにモノを作りこんでいくことである。限られたリソースのなかで四苦八苦するのではなく、それ自体を世界という外部に求めることで、今までにはないイノベーションを起こしていく。またその過程に集積する「想い」が、更なる「想い」を引き寄せていく。


EXILEはそういったイノベーションと共感を、過去2回行ったボーカルバトルオーディションを通じて常に起こしている。人はクオリティの高い商品をぱっと見せられるよりも、それがいかにして生み出されたのか?といった過程を含めて知ることが出来たほうが、その商品への愛着が沸いて来る。

同じように、EXILEは自らのグループがどのように現在に至ったか、メンバー集めからの過程をファンに見せることによってより多くの共感を呼び、より応援してもらえる組織になっているのである。


4、徹底したコンプライアンス体制が敷かれている。
あれほど歌がうまく、あれほどカッコいい集団だから間違っっいなく女性にモテるのに、浮いた話がひとつも聞こえてこないのは脅威、というか賞賛に値すると思う。前述のHIROの徹底した教えに違いないと断定してもいいが、14人という大軍団でここまで統制が取れているグループは他にない。

恋愛禁止を公言し、非常に厳しいことで有名だったモーニング娘ですら、途中からスキャンダルまみれになり、メンバーの入れ替えを余儀なくされたこととは対照的だ。


総じて、ここまで人気があって、ここまで事業展開が戦略的で、そしてここまでセルフコントロールがきちんと出来ているEXILEは、単なるいちファンのミーハーな視点も若干ありながらも、素直に敬意を表したい。人間、自己省察が出来なくなったら終わりだと常々思うけれども、こんなに素晴らしい見本がいるので、僕ももう少しがんばろうと思う。


余談だが、今回のボーカルバトルオーディションが終わったあとに、劇団EXILEのオーディションがあるらしいので、はそちらにエントリー(無断で)させるつもりです。