腹が減ってるのに出された料理を食べないお前はめんどくさい、という話


全社でも3本の指に入ると個人的には思っている先輩にアドバイスをいただいた。しかしちゃちな経験とくだらないプライドでアドバイスを実行に移さなかった際にメタメタに言われたことを、そのまんま備忘録として。後で振り返って僕の人生の転機になるのではと思う。こんなアドバイスをしてくれる先輩は人生でも数えるほどしか現れないのではないだろうか。
ちなみにそのアドバイスの元になった質問はというと、『かくかくしかじかで変わりたいんです。かくかくしかじかでこうやれば良いと思うんですが、どうしたらいいでしょうか?』
いただいたアドバイスはというと、『そうだな、今お前が言ったことをやるその前に、お前の場合はまずシャツは白、スーツは無地の紺か黒、靴も黒、スーツはアオキかイオンにしなさい。7800円で売ってるよ。』という一聞しただけでは訳が分からないもの。
僕は大いに混乱した。なぜスーツ?何故白シャツ??何故イオン???もっと仕事で成果出したいと言っただけなのに・・・
で、数日後にいつもの通りカラーシャツを着て出社した僕に、神様は激怒した。『お前なんで白いシャツ着てねーんだよ。』
うっかり、『だってせっかく頑張ってきてゲットしたスーツとシャツを捨てて新しく買えなんて、あんまりじゃないですか!』と反論してしまった僕。また激怒された。
そしてあまりに混乱した僕は、『非常に貴重なアドバイスだということは感覚的に分かるのですが、そもそも実際問題アドバイスの意味が分かりません』とアドバイスをくれた神様本人に相談した。
その先輩はまさに神であり、自称『この会社で最も失敗の数が多い男』である。そんな神様だから、極端に失敗を恐がる僕を見ていて思うところが色々とあったらしい。
A:『神様、どうすればいいでしょうか?』
神:『どうもこうもないよ、やるかやらないかだけ。お前はごちゃごちゃと色々考えすぎてて、頭は良いのかも知れないけどめんどくさい。お前は色んな人にアドバイスを求めたり、色々勉強したりするのはエライと思うよ。だけどお前はその人の光の部分しか見てないだろ?光が強ければ強いほど、影だって強いんだ。お前はそれを見ないで、光の方ばっか、良い話ばっか聞いて、しかも良いトコ取りをして自分に都合の良いように解釈してる。その人がどんな影を歩いてきたかは、聞きもしないし実践もしない。そんなの言っとくけど何の意味もないぞ。その人の光にはその人なりの歩んできた歴史がある。その人にアドバイス求めるんならそういうところも聞いて取り入れないと。いやちょっと使えそうだからっていって自分に都合良くばっかり考えてるのがお前だ。俺なら俺、その人ならその人、取り入れて追いつきたいと思うなら、まずはその人がやってみろって言ったことをやってみろよ。なんでそこで取捨選択をする?』
A:『でも神様、垂らされた糸にひょいっと迷いなくつかまれるような人間だったら、僕とっくに成功してると思いますし、神様のところに来てないと思います。。それが出来ないのは何でなんでしょうか?』
神:『それはいつでも明日が来ると思ってるんじゃない?まだ死なないと思ってるんだろ?お前子供の寝顔とか見てて、自分が死んだらどうなるんだろうとか考えないのか?』
A:『それは考えてます。毎日。』
神:『考えてるんだったら実行しろよ。お前の悪いクセは、人から良いトコ取りでアドバイスをもらおうとするわりに、そのどれも実際には実行しないところだ。そんなの考え方が一人称なんだよ。この人はどんな想いで自分にアドバイスをくれてるのか。2時間も、家族とのディナーも無視して真剣にアドバイスをくれたこの人に対して自分は何が出来るだろう?って思ったら、糸をつかむぐらいは出来るんじゃない?それをしないってことは、お前は俺のことも大して重要じゃないと思ってるし、本気で変わりたいとも思ってないんだよ。俺はお前が思ってる百倍もお前のことを考えて、それでスーツを変えろ、シャツを白くしろって言ってる。別にそれが最終目的じゃなくて、今のお前に必要な処方箋がそれだと思ってるからそう言ってるんだよ。チャンスはいつでも前からしか来ない。自分の前を通り過ぎたときにあーっと思って掴もうとしても、もう掴めないんだよ。』
A:『それは分かります。分かるんですけど、良く分かりません・・・』
神:『アドバイスを聞かないとか素直じゃないってのは、要はこういうことだ。お前は腹減ってるんだろ?そもそも普通の奴は腹減ってても俺のところに来ない。見た感じ腹減ってるんだろーなーとは思うけど、それを先回りして見地してご飯作ってやるほど俺もお人よしじゃないしさ。でも来たら作るよ、一生懸命。だけどお前は腹減ってるって言うから飯作ってやっても、目の前に置いても食わないじゃない。目の前にご飯があるのに、いや〜このご飯は食べるべきなんでしょうかどうすべきでしょうか。美味しいんでしょうかどうなんでしょうか、フォークを使うべきかナイフを使うべきか、そして右から食べるべきか左から食べるべきか、もしかしたら他の店の方が美味いんじゃないだろうか・・・なんてやってる。意味が分からない。要は食いたいか食いたくないか、腹が減ってるのか減ってないのかだろ?なんで食べ方にこだわるんだよ?腹が減ってたらまず食べるだろ。で、食べてからうまかったとか不味かったとか言えよ。それをあーだこーだと・・めんどくさい。』
A::『いや、今の話は非常に分かりやすかったです。確かに僕、めんどくさいですね。有り得ない。でも神様、ちょっとだけお願いがあります。僕はどうしてもどうしても、未知の食べ物を提示されると、それを食べたことないからどんな味なのかを先に知りたいという人間なんです。もし食べたとして、どんな味がするんですか?』
神:『美味いと思う。(俺のアドバイスを実行すれば、成功すると思う、の意)』
A:『参りました。』
神:『白鳳も入門したときは65kgしかなかった。それをデカくするために、親方が1日1升半の米とちゃんこ3kgを食べさせたんだって。で、横になって寝ると吐くから、縦で寝かせたらしい。白鳳でさえデカくなるためにそうだったんだから、お前も初期に関しては強制的に無理やり食わす方がいいかもね、とちょっと思ったんだ。無理やり食わせて体デカくして、それで勝ち始めて初めて分かることもある。』
結局、僕は今まで尊敬する人たちのアドバイスを聞いてるフリをして、本当の所では聞いてなかったのかもしれない。どんなアドバイスも成功哲学も、理解しただけで実践が伴わなければ、当たり前だが何の成果も出ない。傍から見たらこの業界でのキャリアもそれなりに上手くいっているため、普通の人にそれがバレることはなくても、自分では薄々分かっていた自身の最大の弱点を白日の下に晒された感じだ。それを神様に見透かされて、今回の課題を与えられた。この課題を解決するために、まずはユニクロに行って、普段買わないようなシャツを買ってみた。まだまだ課題の完了には遠い、だけど買ってみた、ただそれだけで、何となくだけど今までと違う景色が見れるようになってきた気がする。それなりのスーツやそれなりのシャツ、それなりの靴を買うようになってから失っていたもの。。それが何なのか、頭では言葉に出来ないけれど、体では自分でも何となく分かっていた。今回それを、神様は気づかせてくれようとしているんだろう。神様、めんどくさい生徒でごめんなさい。
企業も人間も一緒。得てきた過程を敢えて捨てる日が来て、それを乗り越えなければ、未来はない、ということだと思って、今日も僕は白いシャツを着ている。。

あなたは貧乏人だ


尊敬する人材教育コンサルタントのシマムラさんに先日お会いした際、お金持ちの人の思考回路に関する面白い話を聞けたのでうる覚えながら。
シマムラさんは、とあるセミリタイアめのOさんと知り合いだ。 Oさんは、親から受け継いだ資産があるとか、給料がバカ高い外資系金融機関勤務とかではなく、質素な生活とFXなどの投資で、一般的に見ると相当な財を成した方。
Oさんに質問されたシマムラさん。
『シマムラさん、もしウィンドウショッピングをしていて、欲しいものが売っていて2万円ていう手ごろな値段だったら買いますか?』
シマムラさんは、勤務先でもかなり稼いでいる方なので、欲しいものであれば2万円は何てことなく出せる金額だ。ということで、
『勿論買いますよ。だって欲しいし』と答えると、
『あなたは貧乏人だ。』と一刀両断されたらしい。
訳が分からずどういうこと?というふうに聞くと、はぐらかすように、
Oさん:『ところでこの時計、幾らに見えます?』
と、見るからに高そうな時計を見せてくる。
シマムラさん:時計が結構好きなので、知ってる会社を頭の中で検索し、『うーん、200万とか250万とかですかねぇ』と冷静に答える。(恐らくパテックフィリップとかヴァシュロンコンスタンタンとかオーデマピゲクラスと想像。)
Oさん:『そうです。定価はそれぐらいです。でも僕は、この時計は80万で買いました。勿論新品です。』
わーおと驚くシマムラさんにOさんは諭した。
『僕は欲しいものがあっても、すぐには買いません。何度も何度も見にいって、1週間経ってもそれでも熱烈に欲しければ買うという意思決定をします。でもすぐには買わない。それをどーにかして安く買える方法はないか、次にそれを徹底的に考え、調べます。その結果、僕はこの時計をとある筋から170万円引きで買いました。この170万は、僕が費やした努力に対する対価です。同じものを買っても、普通の人は僕のような努力をめんどくさがるから170万損するわけです。僕はその差額を投資に回します。金額が2万とか3万でも一緒。だからシマムラさん、金額の問題ではないです。衝動買いをしているようだと一生貧乏ですよ。出せるからといってお金を出しているようでは、いつまでもお金は貯まりません。』

その話を聞いたシマムラさんは今一度よーくOさんを見てみた。確かに靴は非常にいい物を履いている。時計は前述の通り素晴らしい。でも全体としては非常に質素。外車を乗り回すということもしない。もう少し細かく突っ込んでみたシマムラさんは、Oさんの凄さを垣間見ることになる。
『僕は財布には二千円しか入れてません。というかその前に、僕は給料が入ったら全部を千円札に崩します。それを全部ひとつの封筒に入れて、棚にしまっておく。そこから1日二千円だけつまみ出して、財布に入れます。それでおしまい。普通に暮らしていれば、1日二千円で十分足ります。千円以上余ることもしょっちゅうあります。そうして、余ったお金はそのまま別の封筒に入れます。僕はそれを投資に回してるんです。そして次の日には、また最初の封筒から二千円だけ引っ張り出して財布に入れます。これの繰り返し。』
数億は持っているはずの方が、財布に二千円である。僕なんか、20円ぐらいしか財布に入れちゃいけないんじゃないか??
さらにOさんは、『シマムラさん、もしのどが渇いていて、コップに水が8割がた入っているとします。この水飲みますか?』と質問。
シマムラさん:『勿論のど渇いてたら飲みますね。』
Oさん:『だからあなたは貧乏人だ。』とまたまた両断。
『渇きに応じて水を飲んでいるようでは、豊かにはなれません。実はこのコップには、ちょろちょろと水道から水がわずかずつ注がれているとしましょう。我々は、そのコップが一杯になるまで待ちます。そして、そこから溢れて皿にこぼれた滴を、丁寧に丁寧に長持ちさせながらすすります。人間、のどが渇いていたって、こぼれた滴をすするだけでも生きていくことは出来るんです。でも多くの人は、のどが渇いたからといってガブガブ飲んでします。それではずーっとコップは満たされてはからっぽになり、満たされてはからっぽになり、の繰り返しです。』

聞いていて、む〜っと唸ってしまったし、ほ〜っと感心したし、ぞ〜っと背筋が寒くなった。自分は普段の生活でこれと同じことをしてしまっているのではないだろうか、と思ってみたが、いや間違いなくしてる!という結論になった。勿論衝動買いなんて頻繁にしないし、自分では優先順位をつけて買い物をしているつもりでも、その優先順位に入ってしまったものに関しては相当無頓着に資金を注いでしまっている。僕の例で言うと、娘関係、旅行関係、能力開発関係、仕事関係がこれに当たる。

結論、僕はのどが渇いたら、ガブガブと水を飲んでいた。注がれる水の量が増えたら、それ以上の勢いで飲んでいた。これからは溢れた水を啜るような生き方をしよう。
・・・と思った僕は、早速車を処分し、タクシーに乗る回数を半分以下にし、お菓子も泣く泣く40%ぐらいは解雇したが、それでもまだ平気で二千円は使ってしまっていたのでした。Oさん、凄いです。貯蓄の鉄則は、収入より低い支出で生活することですが(余談だが、アメリカ人は住宅市場高騰という泡ぶくを信じ込み、収入よりはるかに高い支出をしまくった結果、住宅バブル崩壊と同時に、文字通り生活が崩壊した。)、それを実直に、しかもハンパないレベルで実践してるOさんを見習いたいと思いました、心の底から、はい。
素晴らしい話を教えていただいたシマムラさん、ありがとうございました!

ギザ細かすぎて伝わらないアニメモノマネ選手権


僕は日頃からお笑い番組を積極的に見るかといえばそうではなく、華の30代らしく、経済ニュース(ワールドビジネスサテライトとか)とスポーツニュース(すぽるととか)を多く見ている。流行を掴むにはレッドカーペットとかを見た方が良いとは思いながら、当たり外れが多いのであまり見ない。そんな僕が、ここぞとばかりに気合を入れて見るのが、『人志松本のすべらない話』と『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』だ。
前者は人が人を話に引き込み、笑わせるときのテクニックや持っていき方、表現方法などが本当に参考になる。後者は、タイトルの通り細かすぎて伝わらないようなものまねを敢えて伝えようとする番組の真剣さに心打たれ、毎回大爆笑している。
で、今日紹介したいのは、前16回を数えた後者のパロディ版(そもそもがパロディなので、パロディのパロディということになるが。)である、『ギザ細かすぎて伝わらないアニメモノマネ選手権』。
これは、細かすぎて伝わらないモノマネ選手権のアニメ・ゲーム版ともいうべきもので、司会はしょこたんとオタキング岡田さん。
僕の中では、本家細かすぎて〜よりもはるかにマニアックで面白い。1985年より後に生まれた人で、長男長女の人はちょっとツライかもしれないが、以下のようなモノマネが素晴らしいクオリティで見れる。(1985年以降生まれでも、多少年の離れたお兄ちゃんお姉ちゃんがいたり、僕と同世代の漫画を愛してくれる人には分かることもあるかも。うちの弟とか。)
キリがないので、ある程度知識がある前提で説明します。とにかく一回見てほしい。出てくる芸人もマニアックで、恐らくこんな企画でしかお目にかかれないマイナーな人たちだからきっと覚えることはできないでしょう。
・『天空の城ラピュタ』より。
悪者ムスカが、ラピュタ中央部に侵入後、逃げるシータを生い茂った藪をかきわけながら歩きながら笑いながら、ものすごいスピードで追いかけるところ、のモノマネ。
ラピュタは大好きで計50回以上は見ているので、大うけ。
・『ドラえもん』より。
ジャイアンが近所の子供たちを集めて、かの有名な『おれはジャイアーン』を歌うところ、のモノマネ。
ジャイアンの響き渡る声を、マイクなしでマイクのように歌える芸人さん。凄い。
・『ストリートファイター2』より。
米国軍人キャラのガイルが、ソニックブームを弱で打ってするするとにじり寄り、相手が避けたところをジャンプして追い詰めるところ、のモノマネ。
にじり寄る時の足音がなさ過ぎて、本当にゲームみたいで圧巻。
・『北斗の拳』より。
カサンドラ伝説で恐れられるウイグル獄長が、必殺技の蒙古覇極道(=ただの筋肉系ショルダータックル)を指先で止められ、ケンシロウのためにと掘った墓にあーべーしーと
叫びながら巨体を捻じ曲げられて埋葬されてしまうところ、のモノマネ

ケンシロウとラオウがついに最終決戦を迎え、壮絶な死闘の果てにかの有名な台詞『我が生涯に一片の悔いなし!』と言ってこの世を去るラオウ、そして残されたケンシロウはラオウの遺した黒王号にまたがり、明日へと旅立っていくところ、のモノマネ
ネタバレですが、この人が優勝します。圧勝です。それぐらいクオリティは高い。
・『ドラゴンボールZ』より。
孫悟飯が大猿ベジータに捕まれ、悟空に助けを求めるところ、のモノマネ

孫悟飯がナッパに岩に叩きつけられ、師であるピッコロに助けを求めるところ、のモノマネ
その他僕の担当範囲ではありませんが、エヴァンゲリオンやジョジョの奇妙な冒険パート1,2やタッチのマニアックなモノマネが盛りだくさん。
ぜひぜひ検索して見てみてください。GoogleVideoやニコニコ動画で結構検索できるはず。で、見た方はぜひ感想下さいませ。 でも結構気合を入れないと検索できなかったりします。でもでも、見る価値あり。

ドラマ『24』が教えてくれたこと


24という米国ドラマ、これ、現在は終了してしまったものの、一時期は米国ドラマといえば24、というぐらい大流行していて、そんな波に数年遅れてこないだまで乗っていたのが僕である。24を文字通り24時間見ようとして、13時間ぐらいで力尽きたことは何度もあった。主人公は凄い。

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このドラマ、タイトルぐらいは知っていても中身を良く知らない人のためにざっと紹介すると、 『CTU(Counter Terrorist Unit。FBIのもうちょっと強引なやつ)に俗する連邦捜査官ジャックバウアーが、生物兵器や核兵器、大統領暗殺、イスラム原理主義国家への 大量破壊兵器の輸出などのテロ行為を食い止めるために、24時間走り回り、銃をぶっ放しまくり、事件は必ず二転三転し、身内に裏切り者続出で、何故か毎回24時間以内に事件が決着するドラマ。そしてタイトルの通り、24時間で1話となっていて、ドラマの1分は我々の1分と同期しているリアルタイムなドラマ。』である。
この24、非常に良く出来ていて毎回感心するのだが、感心するポイントはそのつくりや緻密さだけではない。 あ〜そりゃあり得んわ!と思ってしまうような設定の矛盾が所々にあるため、それをいちいち気づいてしまったときがまた楽しい。
そこで、24を見て多くの視聴者が感じたであろう矛盾を少しまとめてみよう。
①24時間の無理やり感について
24では、文字通り24時間で事件が解決するのだが、その前に、『24時間以内にイスラム原理主義グループが大量破壊兵器を米国内に持ち込む予定だ。それを絶対に阻止しなければならない!』とか、『大統領暗殺計画がある。24時間以内に容疑者を捉えなければ大統領が危ない!』といったように、何故か先方(=悪い奴)の動向は分かっていることが多く、そこから物語が始まる。分かってるなら阻止すりゃいいじゃん!と思ってしまうが、『24時間以内に発生することと、どんなことが起こるかは大体分かっているが、犯人と居所は分からない』という非常に難解な情報収集を米国情報機関はしていることになる。
ま、そんなことにケチつけたらそもそも24というタイトル自体が成り立たないんですけどね、ちーん。
また、本編上映中は24時間、誰一人として寝ない。うっかり主人公が疲れのあまり1時間でも寝ようものなら、その1時間が我々視聴者にとって台無しの1時間になるというのだから当たり前だが、24時間眠らずに暴れ続ける姿には心から拍手を送りたい。
②距離の無理やり感について
24時間以内に物語を完結させなければいけない都合上、必ず事件は近場で起こる。24の場合、CTUのロサンゼルス支局が部隊という設定なので、どんな大規模なテロ行為の作戦も、基本的にはロサンゼルス近郊で、しかも乗り物の種類は別として5分〜20分以内に行ける場所にしか容疑者は出没しない。『あと5分で現地に着くぞ。』と、主人公ジャックバウアーは、CTUの車の中で、途中で脅して奪い取った車の中で、ヘリの中で、本部に向かって叫ぶ。主人公が1時間(つまり1話)以上、移動のため画面から姿を消すことは有り得ないのだ。
③法律の無理やり感について
テロの容疑者を逮捕するときなど、銃を何百発も撃ちまくるは、ヘリでミサイル撃つは、カーチェイスで交通をぐちゃぐちゃにするわ、敵を拷問しまくるわ殺しまくるわで、それはそれは派手な逮捕劇を演じるわけだが、捕まえた瞬間、殊勝なほど法律に縛られ、ひとつひとつの手続きを踏まなければ情報収集が先に進まない。日本でもアメリカでも、尋問による情報収集は尋問それ自体も得られた情報も法的に有効とはされていないらしく、必然的に司法取引が増える。『大統領の恩赦はまだか』といった台詞が容疑者の口から良く出てくる。(大統領恩赦=大統領の書類1枚があれば、事件解決に有効な情報提供と引き換えに、無罪放免さようなら、のこと)
逮捕された容疑者(の一味)を殴ってでも情報収集しようとする主人公に対し、CTU上層部が待ったをかけたりするのは日常茶飯事で、うっかり殴ってしまった暁にはしょっちゅうバウアー自身が逮捕されたりしている。
おいおい、法律は逮捕後だけに有効なわけじゃないぜ、その前の捕まえる段階でどんだけの法律違反してんだよ、捜査員たち、と思う。捕まえる前に撃ちまくるのはOKで、捕まえたあとにデコピンするのが違法、というのは良く分からない。
勿論個人的には、テロ行為に対して法律が無力なことも知っているので、我々視聴者は無茶苦茶なジャックバウアーに賛成すべきだ、と思う。
④裏切り者の無理やり感について
24は大体10話目ぐらいで、実は一旦幕引きの様相を見せる。容疑者に関する情報収集がうまくいき、包囲網を組織してかなりいいところまで敵を追い詰めるのだ。しかしここで、必ずといっていいほど身内から裏切り者が登場し、敵をみすみす逃がしてしまう。裏切り者は同じCTU内の捜査員であったり、バックヤードのエンジニアであったり、ひどい時は大統領補佐官が悪い奴、もっとひどいときは合衆国大統領が一番悪い奴ってことが往々にしてある。そんなとこにまで裏切り者がいたら、そもそも一介の捜査員に過ぎないジャックバウアーに事件を解決しろというのも無理な相談だろう。しかしそこは鋼の男、ジャックバウアー。敵に撃たれても捕まって拷問されても、味方のはずのCTUから容疑をかけられておっかけられても、拉致されて3年ぐらい監禁されても、めげずに事件を解決していく。
情報機関なんだからもっと身辺調査やってから雇用しろよ、と言いたくなるが、これも時代の潮流だろうか。
そういえばかの有名なMI6(=英国情報局秘密情報部。007がいたところ)も、なんとネット上のHPでスパイを募集しているという。大真面目なところが笑えてしまうが、EXILEのボーカルもMI6のスパイも公募、というのが世の流れなのかもしれない。CTUがアバウトな人材を雇ってしまうのも、致し方ないことなんだろう、きっと。
ということで数々の矛盾を乗り越えて大ヒットした24なわけですが、これを見ていて我々日本人が教訓にすべきことは以下であると考えます。
少々矛盾があったって、面白いものは面白い。だから、大枠が面白ければそれでいいじゃないか。細かい枝葉末節にこだわりすぎて全体の印象を欠くようでは、そっちのほうがもったいない。日本人はいっぱんにラストワンマイルサービス=最後の最後の、痒いところに手が届くようなサービスが得意で、逆にそれを欠くと大変な騒ぎになったりする。それはそれでいいと思うが、そこを追求しすぎるあまり、手段が目的化してしまっていて、細かくできればそれでOK、的な風潮になってしまっている。だから日本が閉塞してしまっているのかな、と、風が吹けば桶屋が儲かる的に考えてしまっているが、 手前味噌ながら一理あると思う。
多少の問題があったって家族が元気ならそれでいい、悪い所があったってそれより大きい良い所があればそれでいい、給料ちょっと下がったって世界的に見れば金持ちなんだからそれでいい、問題のある国だけど平和だからそれでいい、というように、少しのことに目をつぶって、そこに存在するより大きなプラスに目を向けてみることが大事なんじゃないでしょうか。

ということを気づかせてくれた、24でした。
無理やり感を修正した『48』もリリースしてほしいなと思う今日この頃でした。