ラオウを目指す羅王のブログ

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!我が生涯に一片の悔いなし!!!

フルマラソン惨敗日記 その8

time 2013/11/13


※しばしの間、マラソン関係のエントリに集中します。輝く思い出を忘却の彼方に葬り去りたくないので。

※主な登場人物(本人たちの名誉と匿名性維持のため、どこの誰かわからないように一応仮名にて表記します。)

元帥:ランの師匠。仲間内の最高位に位置する、物腰柔らかい屈強な漢。あとは惨敗日記前半を参照。

熊:ライバル。俺が仙道だとしたら彼は流川。あとは惨敗日記前半を参照。

小僧:ライバル。推定体重60kg前後でスリム部所属。あとは惨敗日記前半を参照。

Mr.フレンド:スリム部所属のライバル。推定体重55kgで、俺とは約30kg差。マラソンという競技において、最もポテンシャルを秘めた男。俺は彼をライバルと思っていたが、彼は全く俺のことなど視野に入っていなかったらしい。

ミススマイリー:ワンピースに出てくる七武海みたいな名前だが、なんと弁護士。七武海は法律を破っているはずだが、ミススマイリーはその精密な頭脳と100万ユーロの笑顔で今日も悪を裁く。

愉快な仲間たち:ほとんどがラン初心者。経験者も、初心者のフリをしている。そんな愉快な仲間たち。

De部:俺が部長を務める部活。80kg以上の体重の者のみが入部を許される。80kgを切ったら退部の上、関連子会社に出向。ライバルはスリム部(55kg~68kgらへん。)負けたら倍返し。

【あらすじ】
『あの作戦』=ミュージック作戦を発動し、かろうじて最後に残ったチカラを振り絞ってペースを幾分戻した俺。他の選手たちに若干ホワイトな目で見られながらも、ときに歌い、ときに叫びながら走る。しかし、無情にも40kmで本当に足が止まってしまった。どんなに高いテンションの音楽も、もう俺の足を動かすことは出来なかった。。。

【40km~41km】

人の希望を絶望に変えるのはカンタンだ。それには、最初から絶望を押し付けるのではなく、希望を見せておいて、それを打ち砕いてやること。たったそれだけでいい。たったそれだけで、人は絶望の淵に落ちていく。実は38km地点ぐらいから、ゴールが見える設計になっているのが今回の湘南国際マラソンという舞台。スタート地点に高々と掲げられていた風船や、大磯プリンスホテルの景観がみえてきて、オシあとちょっとだ!!もうこの苦しい旅も終わるんだ!!と心に希望が湧いてきて、同時にチカラが湧いてくる。

・・・はずだった。。。

最後の数kmは、ゴール地点を横目に見ながら、一旦奥の方まで走っていき、折り返してからゴールに飛び込むという設計なのだが、その折り返しがいつまで経ってもやってこない。あとたった数kmということはわかってる。身体も限界を超えて本当に限界だ。折り返しさえ来てくれれば、もうほんのちょっとだけ、チカラが入るのに。。。

その折り返しがこない。本当にこない。どこまでもどこまでも続いている。分かる人には分かると思うが、これは本当にキツイ。折り返しに見えるような人のうねりが見えても、それはただペースを落とした人たちが群れているだけ。折り返しに見える道路の膨らみも、ただ本当にたまたま膨らんでいるだけ。今までみたどの地点よりランナーが歩いていたが、きっと俺と同じで心がポキッと折れたんだろう。砂漠でオアシスを見つけて、それが蜃気楼だと分かったときの旅人の気持ちは、こんな感じなのかもしれない。こんなんだったら、まだゴールが見えない方がまだマシだ。緊張感が続いている限りは、足は動くのだ。こういう、希望を見せてそれがいつまでも手に入らないという感覚が、一番タチが悪いのである。

コースの設計者はなかなかに良い性格とセンスをしているなと思った。きっとその辺を『設計者』のプラカードを下げて歩いていたら、俺が最も得意とする『ナイスミドル=素敵な中段廻し蹴り』をお見舞いしていたことだろうと思う。が、ヤツはそこらを歩くほど間抜けではない。俺以外にも、襲いかかるヤツが何人もいることだろうと思う。

ちなみに、ペルーかチリかで落盤事故が起きたとき、地下に閉じ込められている作業員の人たちに対して、救出直前になっても隊員たちは『まだもう少しかかる。助けられるとは思うが、いつまでかかるかも分からない。もう少し持ちこたえてくれ』と言い続けたそうだ。『もうすぐだ』といってそれ以上時間がかかった場合、極限状態にある人間は一瞬の安堵からショック死することもあるからだ。この遠い国で行われた救出劇は世界中の胸を打ったが、その原因は全員救出という結果ではなく、それを成し遂げることができたプロセスのなかにあったように思う。

さて、そんなわけで、コース設計者の優しさのおかげで希望を打ち砕かれた俺は、ゾンビになった。俺以外は歩くゾンビ。俺は走るゾンビだ。そういえば、エイド(水や食料を補給するところ)も、今までに比べて最後は全く置かれていない。全然エイドがないのだ。一番疲れて一番喉が乾いて、ほんのちょっとの水分がカラダを蘇らせると思えるその時に、エイドがない。これもヒジョーにキツイ。

サッカーにおいては、最初の90分よりも延長の15分の方がキツイと思う。マラソンも同様で、これまでの40kmも確かにきつかったが、ゴールが見えて、しかしそれが打ち砕かれてからのほんの2kmが、死ぬほどキツイ。俺の語彙不足のせいで『キツイ』としか書けていないが、もしリタイヤさせてくれるのだったら、何十万でも払ってしまったかもしれないぐらいキツかった。

それでも・・・俺は一度も止まらなかった。

なんでかって?感謝とか目標とか、勿論あるよそりゃ。散々書いたけど、本当に全てが有難いと思えたし、感謝しすぎて涙出そうになった。目標はサブフォーで、それはもろくも崩れ去ったけど、でもまだやれることは少しだけどある。でもなんというか、最後は『カッコよく』終わりたかった。ただそれだけだった。プライド、そう言い替えても良いかもしれない。

【『カッコよく』終わりたい】

『カッコイイ』ってのは、昔の俺と今の俺とで、少し定義に違いがある。昔思っていた『カッコイイ』ってのは、陵南高校の仙道くん(@スラムダンク)みたいな感じ。クールな顔して、常に7割ぐらいのチカラで圧倒的な成果を出す。終わったあとも、涼しい顔をして『チョロイぜ』と去っていく。そんなのが、俺にとっての『カッコイイ』だった。

今の俺にとって、『カッコイイ』というのは、物語中盤以降のバスケに専念し始めた桜木花道くんだ。初心者のくせに大口を叩き、勝てもしない相手に挑み、どんな敵ですら向かっていく。またそういう花道くんを見て、他のメンバーもこなくそ!とお互いのチカラを高め合っていく。恐れずにチャレンジするものだから結果は散々なことが多いけど、泥だらけ汗まみれになりながらも経験値を異常なスピードで積んでいき、いつしかあっというまに他の一流プレイヤーと肩を並べるところまで駆け上がっていく。そんなカッコ悪い姿が、最高にカッコイイと思えるのだ。

だから俺は、『カッコよく』終わりたいと思った。このまま歩きながら、少しだけ回復して余裕の顔でゲートをくぐったところで、俺は結局今までの俺のままで変わらないだろう。確かに今回も頑張りきれずに、何度も何度も歩いてしまった。ここまでのところ、限界だ限界だといっても、ここまで来れたってことは限界じゃなかったのかもしれない。そういう意味でチカラを出しきれなかった自分に対して、腹が立つ。今までと全く同じじゃないか。サブフォーって言ってたけど、結局未達だった。

でも・・・最後ぐらいは出し切って終わりたい。それが俺にとって、最高に『カッコイイ』状態だからだ。ヨメにも娘にも、チャレンジして失敗して諦めずにボロボロになって、だけど常に限界にチャレンジしている姿を見せたい。飄々としていつも中途ハンパな自分、そんな奴には、もうサヨナラをつげたのだ!!!

俺は最後のエイドでがっつり水分を補給すると、また走り出した。実はこの地点で音楽の音量で聞こえていなかったけれど、仲間の一人であるミススマイリーがわざわざこの遠方の地まで応援にきてくれて、声をかけてくれていたようだ。そういえば一気にカラダにチカラが戻ってきたのもこの頃だ。本当にありがたい。振り返って、折り返しらへんが一番ツラかったとみんな言っていたが、その一番ツラい地点に陣取るセンスは、やはり海賊王のものだ。覇王色の気をまとったその天真爛漫な応援は、後に『ミススマイリーピット』という伝説の名を残すことになる。なぜならば、このミススマイリーの応援に背中を押されて急にペースを挙げた現金な男どもが、結構大勢いたことが後に判明したからだ。

そして、ふと横を見たときに、同じくゾンビ化しているMr.フレンドが死にそうな顔をして、しかし確かな足取りで折り返し前の反対側を走っている姿を目にしてしまった。確かにここまで熊や小僧との賭けの関係で少しだけ彼らを意識してはいたものの、基本的には自分の目標に向かって忠実に走ってきていたのが今回の俺だった。『うさぎと亀』で言うなら、『巨大な亀』だったと思う。それぐらい、サブフォーという目標しか見ていなかった。

しかしここで、初めてライバルの姿@死にかけを目にしたことにより、俺の中で何かがはじけた。『あんなに体重が軽いヤツが死にそうになりながら頑張っているんだ。黒王号が似合う漢を目指す俺がこの程度でヘバってどうする!ふざけるな!そんなことで世紀末の覇者になれるか!出しきれ俺!』 Mr.フレンドを尻目に俺は猛然と頑張ることにし、そのために完全に使い物にならなくなったカラダの各パーツに、乾いた雑巾を更に強烈に絞りきるかのように燃料をかき集めさせた。

あるパーツが囁いた。『司令部に上奏申し上げます!同じチカラのライバルがいれば、最後の踏ん張りが利くのではないかと!』。なるほどグッドアイデアだ。採用。確かに熊や小僧やMr.フレンドなどのライバルはいる。だけどそばにいるわけじゃない。だから俺は、近くを走る同じような体格で今の俺よりずっと早く走れる体力を持ったように見える男を、ロックオンした。背番号はざっくり7000番。よし、お前は今から俺のバディだ。リポビタンDみたいに引っ張っていってくれ。

完全に他力本願になった俺は、そのバディの背中にぴったりくっついていった。なかなかに早い。普段なら大したことはないが、今は一人じゃこのスピードは出せない。だけどこのバディがいれば、なんとか付いていくことはできる。深淵の沈没船を探索する海猿の気分で、俺はとにかくバディと命の絆を結んだ。オマエがどこの誰かは知らないが、ゴールできたらオマエのおかげだ。特別にハグをプレゼントしてやる。そう思いながら、死にかけのカラダを引きずり、何とか付いていった。

【そしてゴールへ】

ゴールが見えてきた。今度こそ、まやかしでも蜃気楼でもない、本物のゴールだ。バディはなおも力強く俺を牽引してくれる。こうなったらゴールで差しこんで、恩を結果で返してやろう。本当にあと200mというところまで、きて、お茶目としか思えないような強烈な坂が目の前に飛び出してきた。忘れかけていたが、コース設計者、見つけたらナイスミドルをブチ込むだけじゃ済ませらんないなこりゃ。応援に来てくれてるはずの家族を探す。いない。どこで目撃されてもいいように、笑顔だけは準備をしておく。

もうツラいとは思わなかった。少しでも『カッコよく』、少しでも出し切った状態で終わりたい。坂の途中でサングラスを落としたため、拾っている間にバディとははぐれてしまった。恐らく20mぐらいは離されてしまったように思う。が、『待てゴルァ!!!!』と、恩を結果で返すことに決めた俺は、どこの誰かも分からない俺に勝手にバディと目されて迷惑してるであろうバディを猛追した。どこから湧いてきたのか、最後に燃料を使い切っても良いという安心感からか、バディをものすごい勢いで捉え、そして抜き去った。ありがとうバディ、最高だバディ。オマエがいてくれなかったら、空っぽだった俺のカラダは、ラスト2kmすら走れなかったかもしれない。俺は、オマエのバディでいられたのかな?散々迷惑かけたけど、きっとオマエはいつもみたいに笑って、気にすんなって言ってくれるんだろうな。ありがとうバディ。結局どこの誰かわからんかったけど。

そしてついに・・・

ゴール。

ゴール!!!!ではなく、ゴール。

そういえば写真が撮られるはず、ということを思い出して、顔を下げないように得点を決めたメッシやカカのように両手を上げて指を天に指しながらゴールした。長い長い戦いが、ついに幕を閉じた瞬間だった。

感動!というよりは、感無量だった。完全な無。無限だけど無。終わった。ついに終わったんだ。

~続く~

ラオウを目指す羅王のブログ

羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

「ラオウを目指す羅王のブログ」にようこそ。修羅が蔓延る世紀末の日本を、「北斗剛掌派」という思想体系を以て変える活動をしています。我が生涯に一片の悔いなし!と言える人生を送るため、101回目のダイエットに励んでいます。