ラオウを目指す羅王のブログ

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!我が生涯に一片の悔いなし!!!

日本一赤裸々な野辺山100kmウルトラマラソン日記 その6

time 2014/05/28


上りに想定外な苦戦を強いられ、20km地点、つまり全体の1/5が終わっただけの段階で、かなりユルめに作ったはずのタイムからさらに15分遅れてしまっていた俺。周りをみると、ライバル熊やスリム部のハラルも見えたり見えなかったりする。

この15分の遅れを取り戻さねばならないが、何をどうやってというのを考えても答えは出ないので、とりあえず脚を前に進めることにした。

20km〜42km

今回身体で思い知ることが出来た教訓のいくつかは、今後の俺の人生のあらゆる場面で顔を頻繁に出すことになるだろうと思う。

そのうちの一つがこれ。

限界を超える闘いで必要なのは、『気休めの積み重ね』

例えばロキソニン。痛み止め界の雄と呼ばれているが、実際に効いているかどうかは疑わしい。何せ、飲んだってどうせその後も脚をランニングで痛め続けるのだ。痛みた和らいだのかそうでないのかも分からないほど、脚はずっと痛むことになる。

が、『プラシーボ効果』で言われるように、そうと信じて飲めば効果が発揮されることもある。ロキソニンは一応痛み止め界での効果を実証されてるはずだから、そう信じて飲めば痛いものも痛くなくなるのである。所詮気休めであるが。

ちなみに今回のウルトラ隊のリーダーであるJo仙人は、用法用量を一切無視した奇跡のロキソニン6錠投入によって、開始4kmで暴発した膝の痛みを押さえ込んだとのこと。すご過ぎる。

さらにちなみに言っておくと、俺は用法用量を無視して『ゼロシャット』なるOPP対策下痢止めを3錠飲んで挑んだ先日のフルマラソンで、開始10分で腹を下した。

医薬品の用法用量はきちんと守った方が良い。

さらには歯ブラシ。今回はエイドバッグを59km地点と87km地点に置くことが許されたのでその中にいくつもの補給物資やコールドスプレー、ジェルを入れこんだのだけれど、俺はその中に『歯ブラシ選手』なる、一見ウルトラマラソンとは何の関係もないように見える特別招待枠の選手を潜り込ませた。

目的は当然歯を磨くこと。そしてスッキリすること。

極限状態となるウルトラマラソンにおいて、この『スッキリすること』というのはなかなか侮れない。口の中は常に水分を欲しており、たまの塩分でしょっぱく、そして常にジェルやサプリの補給で甘ったるさも混合されたまま十数時間過ごすわけだから、それだけでも結構なストレスだ。

歯磨きによってスッキリすることは、精神力がすべてを決める後半戦において、馬鹿に出来ない効果を及ぼすものと思われる。所詮は気休めであるが。

最後にペース表。現実的タイムと野心的タイムに分けて入念に作ってはみたものの、別にこれを持っていったからといって俺が速く走れるわけではない。確認は別に5kmごとでも10kmごとでもいいし、速い人は速いし遅い俺はやっぱり遅いのである。

それでも俺は1kmごとのペース表を持って、可能な限り細かいスパンで表とにらめっこすることにした。いつ見ても想定ペースよりは遅かったので見るたびにうなだれたのだけれど。所詮気休めではある。

ロキソニン、歯ブラシ、ペース表、いずれも因果と結果のはっきりしない気休めである。でもこの『気休めの積み重ね』があるかないかで、後半でエネルギーを使い果たした後のほんのひと呼吸が出来るか出来ないか、ほんの一歩が出るか出ないかが決まる。

『気休めの積み重ね』は、後から振り返れば、天下分け目の効果があった。人生でもきっとそうだ。

森で出会った『森刑事』

20km〜42kmは、とにかく下りだという地図からの事前情報だった。確かに下りは多いが、上りも合間合間にきっちり入ってきて、想定のペースをやはり守れない。

遅れた分を取り戻すどころか、さらに遅れることになる。

断っておくが、確かに序盤のペースを抑え気味にして体力を温存する作戦ではあった。でもそれは、決して手抜きをすることを意味しない。

はっきり言えばこのとき、俺は出来る限りの全力で走っているにもかかわらず、ユルめに作った計画に今この瞬間も遅れ続けているという醜態をさらしていた。現実はとかく厳しい。

そんなとき、細身で前をふらふらと走っているおっさんを見かけた。サプリやジェル、防寒具(スタート時は5度だった)でガチガチに固めた俺と違って、子供がかぶるような黄色い帽子とヨレヨレのワインレッドのTシャツ、これまたヨレヨレの短パンだけでふらふらと走るおっさんだ。

ただし、ゼッケンの色は俺たちと違って緑。

ん?みどり??

俺は前夜、風呂で出会ったウルトラマラソン数回完走の戦士のアドバイスを思い出していた。

『ゼッケンが緑の人は、デカフォレストと言われていて、野辺山ウルトラを10回完走している人です。序盤でも中盤でも終盤でも、とにかくデカフォレストが近くにいれば、(完走は)大丈夫ってことです。』

・・・

・・・

『デカフォレストだ!!!』

俺がこの数年、自分にとにかく投資をしてきて気づいた不文律が一つある。

それは、

『大したことない粋がったヤツはオーラが出る、ほんとにヤバいヤツはオーラすら感じさせない』

というもの。

見せつける必要も強がる必要もない本当の実力者というのは、本当に自然体である。『精神と時の部屋』から出てきた悟空と悟飯のように、オーラを放つ必要がないのである。

この『デカフォレスト』がまさにそれだった。

まったくオーラが出ていない。ヤバい、こいつはきっとヤバい。

しかし俺は、このとき初めて安心という感情を抱いた。開始から4時間弱経過し、全く守れないペースに先行きの不安が頂点に達していた頃だった。

『デカフォレストがいる。完走・・・大丈夫だ!!!』

でもなんだな、『デカフォレスト』って、なんだか『森刑事』みたいな名だ。めんどくさいので、以後俺は、心の中で『デカフォレスト』を見るたびに、『森刑事だ、森刑事だ』と叫んでいた。

恐る恐る森刑事に聞いてみた。

『あ、あの、デカフォレストさんですよね?すごいですよね?ちょっとゆっくりめのペースかと思いますが、あの、あの、あの、完走できますかね?』

森刑事は俺をちらりと一瞥し、デカフォレストですが何か?といった表情で答えてくれた。

『うーん、まぁ後半落ちなければだいじょぶですが、ちょっと遅いですね。』

結論から言うと、森刑事に付いていけば大丈夫という前夜のアドバイスを、俺は頑に守ろうとして、そして崖から突き落とされることになる。

諜報活動を得意とする熊が森刑事に食らいついていろいろ情報収集したところによると、『全くペースが落ちない前提であればぎりぎりセーフだが、僕は余裕があるからそれが出来る。きみたちに果たしてそれが出来るかな?』のようなことを言われたらしい。

挑発にフンガー!となった熊は森刑事にしばらく付いていったが、さすがにペースの遅さを懸念した森刑事は、ある地点からロケットブースターにスイッチを入れたらしく、過体重を活かして下りを得意とする熊を、力づくで引きちぎっていった。熊は、泡を噴いていた。

『デカフォレストが視界に入っていれば大丈夫』なはずが、当の本人は遠く遥か彼方へ行ってしまった。

ヤバい。ヤバ過ぎる。

そうこうしているうちに、長い下りと少しの上りを超えて、距離を稼ぐこととなった。

途中で脚をまだ痛めて見た目にもツラそうなJo仙人とちょっとだけ並走し、タイムを確認する。

42kmまでの関門の制限時間は6時間。そしてなんと、このまま行けば5時間43分ほどで関門通過。

余裕が・・・ない!!!!!

腐ってもサブフォーランナー。平地であれば42kmは4時間で走れる。これはなんだ!5時間43分!?余裕ならまだしも、しっかりフルマラソン1回分疲れている。

なんだ、なんなんだ!

『のべやま』というほのぼのした名前の野辺山ウルトラマラソンが牙を本格的に剥いてきたのは、この頃だった。

結局、42kmの関門は予定より30分以上遅れて通過することになった。それどころか、関門閉鎖まであとたったの20分弱。後半どんどん厳しくなる関門を考えると、このタイムは痛い、痛過ぎる。

42km地点では、『42kmレース』の人たちがゴールしていた。

羨ましい。休みたい。

しかし、ここからあと58kmもある。せめて半分までは休めない。

俺は、42kmの関門で1秒たりとも休むことなく、次の関門に向かって走り出した。

関門という死神が鎌を素振りするのを横目に見ながら、その鎌から逃れるためにあと10時間近く、俺は闘い続けることになるのであった。

 

 

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

引かぬ媚びぬ省みぬ!

我が人生に一片の悔いなし!

 

 

 

 

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羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

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「ラオウを目指す羅王のブログ」にようこそ。修羅が蔓延る世紀末の日本を、「北斗剛掌派」という思想体系を以て変える活動をしています。我が生涯に一片の悔いなし!と言える人生を送るため、101回目のダイエットに励んでいます。