ラオウを目指す羅王のブログ

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!我が生涯に一片の悔いなし!!!

日本一赤裸々な野辺山100kmウルトラマラソン日記 その10

time 2014/06/06


『馬越峠』なる最強(と思われたけどその前のトレーニングのおかげでなんとかなった)の上り坂を乗り越え、79km地点の関門まで来た俺と熊。

ようやく下り。ようやく時間を短縮できる。ようやく、ひょっとしたら、もしかしたら、完走が見えてくるかもしれない。

そんな期待に胸を弾ませて、10分強残ったタイムリミットを節約するために一瞬の休憩で馬越峠の頂上を通過した俺たちであった。

***

79km〜87km(最終関門 スタートから12時間30分で締切)

希望が見えてきた!下りだ!唯一、目標とのズレを詰められる可能性のある区間!

脚を壊さない程度に、キロ6分〜6分半ほどの間で全力かつ慎重に下っていく。キロ7分での下りを予定していたから、その差は少しずつ詰まっていく。

この頃になると、脚を出すとかそういうんじゃなくなる。ただ前に身体を倒し、ほっとくと倒れるし仕方ないから脚が前に出ているだけ。そしてそのたびに、股関節がギシギシ痛む。

熊は下りが速い。De部副部長の真価なのか、めちゃくちゃ速い。さっきガスター10を握りしめながら涙目になっていた熊とは全然違う。

俺自身も決して遅くはなかったはずで、事実それなりに人を抜いていったが、熊はさらに速く、だんだんと巨大な背中が小さくなり、そして見えなくなっていく。

あれ?さっき、きみが遅れても並走してたんですけど・・・

熊、そういうところあります。。

***

とにかくこの区間、走るたびに目標タイムとの距離が縮まっていくことが楽しかった。さらに、あと少し走れば87km地点のチェックポイントにたどり着く。

そこにはまたまたエイドバッグに大量の補給食を入れてある。そう、ジェルやサプリなどのつまらない常連以外に、ヨックモック選手やよっちゃん選手、クリームパン選手など。

そしてなにより、俺たちのチームの象徴である『Admiral  Tシャツ』が待っている。

IMG_0052

師匠である元帥閣下に忠誠を誓うこのTシャツを着て、参加選手全員でゴールすること。それが今回の俺たちに課されたミッションだ。

87km地点が近づいてきた。そうしたらもうあとは13km。

残りはほぼ平地。イケる!!!!!

俺はこのとき初めて完走を確信した。

逆に言えば、この87kmまでは一度も完走できると心底思えなかったということだ。14時間のレースで12時間以上もうダメだと思いながら走るのは、精神という豆腐をぐちゃぐちゃに踏みつぶされ続けるのに似ている。ツラい。

***

87km地点に着いた。最後のジェルとサプリを搔き込み、既に口に全く入らなくなっているアンパンをヴァームで飲み下し、そしておもむろにAdmiral Tシャツと、ドナルドダックを装着した。

運営をしてくれてるボランティアのおばちゃんたちに心の底からお礼を何度もいい、そしてそのお礼を言いながら少し泣いたあと、合流した熊と一緒に最後の写真を撮った。

実に、67kmぶりぐらいの写真だ。(左が俺、De部部長。右が熊、De部副部長)

IMG_0053

気合いは十分、残り時間も十分。体力はとっくの昔に限界。そしてあとは走るだけ。完走は間違いない。俺はこのときそう思っていた。熊もたぶんそう思っていた。

取材に来ていたTVのカメラマンさんに大声でメンチを切り、勝利を宣言した。

あと13km、1時間40分!イケる!ウルトラマンになる!

***

87km〜100km ゴール

Admiral Tシャツをまとった俺と熊は、下りの勢いをそのままに、キロ6分半ほどで進んだ。

もう平地だけだ。最後にちょっと上るだけだ。もう大丈夫。ペースを落とすな。このままいけ。このままいけ。このまま・・・

い??

け??

な、なんだこれは??

90kmに突如現れた上りは、馬越峠をほんの少しだけ易しくしたような坂だった。冗談じゃない!ここは平地じゃないのか?

人間が最も力を失いやすいのは、きっとこういうときだ。絶望の淵ですがるべき希望を与えられた後で、それを粉砕されてしまうと、人間の心は折れる。

昔、前職の同僚があまりの二日酔いで喉がカラカラに乾き、近くに置いてあるペットボトルのお茶を勢いよく飲んだら、別の同僚が前夜巧妙に仕込んでおいた尿だったため、飲むそばから漫画みたいに吐いたということがあったが、そんな感覚だ。

さて、問題は如実に数字に現れる。残り10kmをキロ8分で走ればゴールできるという計算をしていたが、1kmぐらいゆっくり走ってみて、坂道に押されて9分ぐらいかかってしまった。使える時間が1分減ってしまった。このままでは間に合わない。

かといって、しつこいようだが余力はない。乾いた雑巾をさらに絞るというTヨタ自動車よろしく、すべての残存兵力を総動員して上っていく。

上っても上っても坂が終わらないので、だんだん確信が自信に、そして自信が不信になっていく。キロ8分使えたはずの時間は、キロ7分半でペースを維持しないと、間に合わなくなっていた。

そしていつのまにか、キロ7分を切らないとゴールまでたどり着けない計算になっていた。

***

なんだかんだであと5kmまで来た。

あそこに見える電柱まで熊と進み、そして歩く。また電柱まで進み、そして歩く。走るペース自体は遅くなくとも、何度も何度も歩いてしまうため、キロ7分をどうしても切れない。

あと3km。ゴールは近い。最後の給水所の人に、『止まらなければまだ間に合うぞー!!!』と応援してもらう。

止まらなければ、止まらなければなのか・・・

止まりたい、歩きたい、少し余裕な状態でゴールしたい。

ありとあらゆる誘惑が、過去最大限に押し寄せる。そしてそのどれか一つにでも耳を傾けてしまったら、14時間も走ってきて『制限時間切れ』というフィナーレを迎えてしまうことは確実だった。

今一度熊に確認する。

『ぜってー、ぜってー、ゴールするぞゴルァ!!!』

ほとんど自分に言っていた。

『っしゃーーー!オラーこいやぁ!!!!』

俺、吼えた。

『うおおおぶべいていあえだsんfklだslふぁsぽあsじょ;あ!!!』熊も吼えた。

絶対やってやる!絶対やってやる!ウルトラマンになるんだ!自分に負けない漢になるんだ!

俺たちは何度も何度も吼えた。周りの人たちはびっくりしてたみたいだったが、構わず吼えた。

そうしたら、不思議と力が湧いてきた。

出し切らないで未達の悔しさに泣くより、出し切って感極まって泣きたい。

今の俺は出し切ったか?これで泣けるのか?泣く資格があるのか?

・・・

まだだ。もっと、もっとだ。こいテメーこのやろー。もっと俺に試練与えてみろや。こいっつってんだろーがー!!!

***

誰にケンカ売ってるのか分からない精神状態のまま、俺たちは走った。このとき、レース全体で最速のキロ5分30秒ほどをたたき出した。(あとで聞いたらこのとき、熊は心が3回ほど折れてたらしい。でも俺に食らいつくことだけを考えて、後を追ってたとのこと)

コースの設計のためか折り返し構造になっていて、ゴールのアナウンスが3km手前からでも空に響く。

もう少し、もう少しだぜ。

が・・・

直前で一気にタイムを短縮した俺に、いきなり気の弛み、そして体力の限界が訪れた。

『少し歩かせてくれ』

熊にお願いした。

それまで、熊が俺のお願いを聞いてくれなかったことはない。一緒に行こうと言ったら一緒に言ってくれ、元気出せゴルァと怒鳴ったら元気を出してくれた。

しかしこの時の熊の反応。

『い、いやだ!無理!』

野生の勘が働いたのだろうか。ここで休んだら、もう二度と走れないということが分かったのだろうか。あるいは、最後の最後に距離表示が間違っていることに、本能で気づいていたのだろうか。(ホント。100kmもの距離になると、正確な計測は難しいらしいし、よくある。)

熊は止まってくれなかった。そして俺は歩いてしまった。

もうええやん。ギリギリ間に合うよ。。。

***

しかし、熊の背中が離れるにつれ、疑問が頭をもたげてきた。

これでいいのか?お前、本当にそれでいいのか?

と。

このままゴールしたとして、お前はそれを誇れるのか?

吐いて弱音吐きまくりだった熊が今も走ってる。周りの人も死にそうになりながら懸命に走ってる。障碍者の方々も、俺たちよりずっと制限された環境や能力で、それでも頑張って走ってる。エイドのおばちゃんたちは、貴重な休日を使って俺たちを応援してくれた。奥さんや娘は、どういうゴールをしたら喜んでくれるだろうか、誇りに思ってくれるだろうか?

・・・

答えは決まってる。

俺は、100m先を行く熊めがけて、突進していった。もうどうにでもなれ。

進め!!!

前へ!!!

一歩でも!!!

ウルトラマンになるんだ!!!

***

熊に追いついた。やっぱり一緒にゴールしよう。ホモじゃないけど、手をつないでゴールしよう。

踏切を越えて、見えてきた交差点。あれを左に曲がれば、ゴールだ。誰がなんと言おうと、ゴールだ。

急に道ばたに人が溢れかえる。

『おかえりなさい!おかえりなさい!』

『ナイスラン!!!』

『まだ間に合うよ!あと3分!!!』

こんなにも、こんなにも多くの人たちが応援してくれてるのか。俺はなんて幸せ者なんだ。

ありがとう、ありがとう、本当にありがとう!!!

涙がとめどなく溢れそうだ。でも、溢れるのはもう少しだけ待ってくれ。

***

交差点を左に曲がると、今度こそ本当にゴールが見えてきた。キラキラと、今まで見たどの夜景よりも輝いている。

ああ、ここが俺たちの帰る場所だ。100万ドルの夜景も何倍も綺麗で荘厳で、そして愛おしいゴールゲートが近づいてくる。

『もうすぐ!あと2分!!!』

アナウンスの声が聞こえる。最後の力を振り絞る。

***

『ナイスラン!』

ふと聞き覚えのある声がして横を見ると、

兄さんだ!Jo仙人だ!

やっぱり先にして待っててくれたんだ!

俺はこの人たちに追いつきたくて、ここまで来た。本当に待っててくれた。

ありがとう!ありがとう!

そして・・・

ゴール!!!!!!

IMG_0056

 

IMG_0057

IMG_0063

 

IMG_0061

IMG_0054

写真 (1)

 

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

引かぬ媚びぬ省みぬ!

我が人生に一片の悔いなし!

 

 

 

 

 

家族とか教育とかの話

ラオウを目指す羅王のブログ

羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

「ラオウを目指す羅王のブログ」にようこそ。修羅が蔓延る世紀末の日本を、「北斗剛掌派」という思想体系を以て変える活動をしています。我が生涯に一片の悔いなし!と言える人生を送るため、101回目のダイエットに励んでいます。