ラオウを目指す羅王のブログ

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!我が生涯に一片の悔いなし!!!

IRONMAN JAPAN 2014 完『騒』記〜半年間の奇跡の軌跡 その12〜

time 2014/09/18


2014年8月24日、25mプールで溺れそうになってから約半年、今期最大の目標としていたIRONMAN JAPAN 2014(スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km)を完走し、無事『IRONMAN=アイアンマン』になりました。半年間の奇跡の軌跡を、またまた赤裸々に綴っておきたいと思います。何回シリーズになるかは不明。

ご参考までに、走り始めて9ヶ月で初ウルトラマンになった野辺山100kmウルトラマラソン日記はこちら。

その2週間後にダブルウルトラマンになった柴又100kmウルトラマラソン日記はこちら。

ウルトラマラソンやアイアンマンを目指す方、人生の角度を少しでも変えたい方、何とかやってはいけるけど日々出し切ってない感に苛まれている『普通の人』の気づきと勇気と元気の一助になれば幸いです。目黒勤務の『普通人』より。

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※主な登場人物

元帥:ラン、トライアスロンの師匠。筋肉かなり多め、好き嫌い多め、見た目ダヴィデ像め。柔軟体操が全く出来ず、色が黒いのに美白を目指している。

K兄さん:ミスター盤石。全てが盤石過ぎて、弱点が全く見当たらないところが弱点。海外生活が長かったせいか、『アドバイス』を『アドヴァイス』と必ず言うし必ず書く。たまに『だっはー!』と笑うが、その笑い方のルーツは不明。

仙人:ほぼ同い年なのにあらゆる点でレベルの違いを感じさせる漢。見た目も中身も解脱気味。一緒に100マイルトレイルを走れる女子を目下検索中。

三人に共通するのは、全員心から尊敬すべき漢たちであり、卓越したビジネスパーソンでもあるということである。

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ラン42.2km、5時間50分の情けな過ぎる戦い 前編

ついにここまで来た。

前日の突然のトラブル、あまりのツラさ、不甲斐なさ、運の悪さに何度となく流した涙、奇跡のドーピング、危なげなく進んだ3.8kmのスイム、楽し過ぎた180kmのバイク。

そして残るは、そう、まるでおまけのようにアイアンマンにくっついている、それでも結構長い42.2km。これを乗り切れば、ついにアイアンマンになれる。

バイク→ランのトランジットでは、最後のランに向けてたっぷり時間を使った。

バイクジャージを脱ぎ、元帥を頂点とするチームへの忠誠の証、アドミラルTシャツを着込む。バイクパンツは長時間の戦いによるお尻への影響を考慮して2枚履きしていたため、1枚脱ぐ。

歯磨きをしてジェルに染まった口の中をさっぱりさせる。汗拭きひんやりシートで身体を拭き、近くにいた人に大阪のおばちゃんばりに配る。

『最後がんばりましょうね!』と声をかけた。誰よりも、自分に向けて言った言葉だった。

靴は、野辺山、柴又と激戦をくぐり抜けてきたオレンジ色の相棒を履き込む。

さあ、出発だ。

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ランが始まった。42km。

目標は・・・やっぱり当初の予定通り4時間半。

ランのコースはこんな感じ。

名称未設定

(Source:Official Website

周回コースを2周。基本的にはフラット。うまくいけば、みんなに途中で会える。今日一度もチームメンバー3人に会っていない。そろそろパワーを注入してもらいたい。

あとから知ったことだが、この2周回コースがかなりのくせ者だった。

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このコースの良いところは、走り始めの数kmと、21km前後走ってきたときの数km、そして最後の数kmが、ゴールの近くを通ることゴールが設置されている観光ホテルの前の洞爺湖に面した湖畔を走るため、ホテルの近くを散策している人がアイアンマンと知って応援してくれたり、何がなんだか分からないけど皆死にそうな顔してるから応援してくれたりしている。

自転車を降りると、いつもそうだが全くスピードが出ていない感覚に襲われる。27−35km、ときに70kmほどで走っていたので、時速10km−12km程度に落ちるランでは、目の錯覚が起きる。

俺は上がらないスピードの中、最初の1kmを5分45秒ほどのサブ4ペースで走った。

あれ?速いじゃん。イ、イ、イ、イケるんじゃね???

いやいや、そんなに甘くない。

4時間半ペース。キロ6分ぐらいが維持できれば十分だ。

もう少し、もう少し抑えよう。

この数時間後、俺は現実を思い知ることになる。

***

途中、K兄さんとすれ違った。今日初めて、チームメイトと逢えた!

K兄さん、さすがの盤石の走りで、いつものようにのしのしと走りながら、俺とハイタッチしてくれた。いつもは痛いほどのハイタッチを信条としているのだけれど、今日は肩への影響を鑑みてアダムタッチのようなソフトなバージョンにしておいた。

ウェーブの関係で俺より3分後に出走したはずのK兄さんが、俺より前にいた。つまり、バイクで抜かれた記憶がない以上、スイムで抜かれたということだ。

この日、K兄さんはチーム最速の、3.8kmを81分で泳ぎきっていた。しかしさすがのK兄さんもこの日のこの後の戦いにおいて、盤石さを失うことになる。

***

兄さんとハイタッチして少しすると、あれれ、見た事のある座敷童みたいなのがいる。

誰だっけ???

うーん・・・

あ・・・

娘だ!!!

『パパーっ!!!』

これまでの遠征では、トライアスロン初心者ということもあって全く余裕がなく、家族を置いていっていた。

が、洞爺湖に発つ前ぐらいから、そろそろ連れてけ連れてけとぎゃーぎゃー言われていたので、今年のハイライトであることもあって、『すみませんが行ってきます。頑張ってきます。来たかったらどうぞ』ぐらいの書き置きをして出て行った。

洞爺湖は北海道千歳空港からさらに数時間の僻地。騒ぐ娘を連れてくるのは大変だろうし、そもそも14、5時間にもなるレースを待つほどの忍耐はないだろうと、タカをくくっていた。

そしたら、いた。

『パパーっ!!!』

娘がサングラスをして走っている。後ろに奥さんがいる。

おお!なんと!

俄然力が湧いてきて、少しペースが早まる。

最初の小さな折り返しを過ぎて再び娘と合流して、写真を撮る。

IMG_7438

IMG_7435

汗臭さに嫌がられながら、二人とハグ。やっぱり最後は見てもらいたい。この半年の成果を、見てもらいたい。普段ダラダラしていて何もカッコいいところを見せられていないから、少しでいいいから見てもらいたい。

娘は、どこかで拾ってきたきたか分からない杖をつきながら、俺のところまで走ってきてくれた。その後も、どこでもらったか分からないアイアンマン応援グッズを片手に振り回しながら、道行くアイアンマン候補生たちをバシバシ応援していたようだ。

***

トラブル、再発か???

奥さん娘と別れ、色々な人に応援されながら、人通りのない道へ入っていく。

すれ違う人すれ違う人、皆ツラそうな顔をしている。そりゃそうだ、もう既に戦いが始まって9時間ほども動き続けている。サラリーマンだったら、もう残業代が欲しいところだ。

速い人、遅い人、老若男女といるけれど、ラクそうな顔の人は一人もいない。でも実は、ランはこれからが本番。後から考えれば、このツラそうな顔が見えているだけでもまだ救いがあったことと思う。最後の方は、それすら見えなくなっていった。

***

ほぼフラットに見えたコースも、実はほんの少しずつ登りも下りもあった。これがまた応える。

ゆうても、3.8kmのスイムと180kmのバイクを乗り越えたあとのラン。ダメージはそれなりに溜まっている。

で、それなりだと思っていたダメージが、突然ズシンと襲ってきた。

音がしたかのような衝撃。

赤木か山王工業の河田がゴール下で背中に張り付いてきたときのような衝撃。

来た。

どこに?

腰に。

恐らく、肩を庇っての7時間に渡るバイクで、負荷が全て腰に行ってしまっていいたのだろうと思う。

鉛の塊をぶつけられたような衝撃が走り、以後、ものすごい重さを抱えたまま、ペースがズルズルと落ちていく。揉んでも捻っても、一向に良くならない。

怪我をしていると、それを庇った方の部分を怪我してしまうということがよくあるが、それをやってしまったようだ。そういえば、バイクの終盤である男にエイドで激突され、着地した左足を膝下から捻っていた。

バイクが楽し過ぎて忘れていたけれど、今になって抱えていた痛みの全てが噴出してきた。肩がまだ保っているのが唯一の救いで、しかしそれ以外は含み損が一気に表面化してきた感じだ。

ヤバい。

***

7kmぐらいのエイドでトイレに並んでいたら、なんと仙人が向こうから走ってきた。

俺よりはるかに速いスピードで折り返し地点を通過してきたみたいで、距離を聞くと、『17kmぐらい』とのこと。

速くない!?

1時間も差を付けられている。

同じウェーブでスタートして、スイムで少し差を付けられたとして、バイクはそんなに変わらないと思っていた。

しかし後から知ったところによると、安全運転を期して走っていた俺とは違い、仙人は自ら課した目標タイムのために、初めての180kmに関わらず、ガンガンに追い込んでいたようだ。

リタイヤのリスクもあるだろうに、素晴らしい精神力と、それをささえるフィジカルだと思う。

トランジットでたっぷり時間を使ってお着替えだ歯磨きだ汗拭きシートだとドラえもんのごとく色々やっていた俺とは違い、仙人らしく魔法を使ってさっさとウェアを切り替えて出ていったようだ。

これも後で知ったのだけれど、俺とスイムの出走時にハグしたときに、俺の涙を見て、『羅王は怪我でゴール出来ないかもしれない。だったら、俺はゴールするだけじゃなく、羅王のためにも、ポセイ丼のプライドを示す意味でも、必ず12時間半を切ってやる』と決意し、その通り全力でレースにぶつかってくれていたらしい。

アップダウンがあるにも関わらず180kmを6時間40分というかなりの好タイムであがった仙人は、ランでもなんとサブ4を目指して激走していたようである。

なんという漢!

毎月ウルトラマラソンに出るという狂気にも似た苦行をしてきた仙人は、やはり仙人級の実力を持っていた。

ただ二つ、ウェットスーツを脱ぐのだけは下手クソだったし、パンクの修理もまごついていた。

***

このコースは、10km地点で折り返し、スタート/ゴール地点まで戻り、それを2周。わりと分かりやすい。

とりあえず10km地点まで行けば折り返しなので、そこを目指すことにした。

仙人に逢ったら、次はK兄さんに逢うはずだった。俺との差は、さっき逢った感じだと2kmほど。10kmの折り返し付近で出逢うはずだ。

まだかまだかと待っていると、K兄さんが向こうからやってくる。

よく見たら違う人だった。

まだかまだかと待っていると、ついにK兄さんが向こうからやってくる。

よく見たらまた違う人だった。

まだかまだかと待っていると、ようやくK兄さんが向こうからやってくる。

どうせ違うだろうと思ったら、今度は本物だった。

のしのしと走る幅の広めなゴツい感じの漢は、全てK兄さんに見えてしまう。『はじめの一歩』で言えば、一歩のデンプシーロールを破った島袋巌だ。ドンキーコングが二足歩行していたら、まさにこんな感じだろう。

しかし予想していたよりK兄さんに逢うのが、少し遅かった気がする。K兄さんも相当に苦しいのかもしれない。

後で聞いたら俺のOPPが感染ったらしく、この日のK兄さんは6PPという実績だったそうだ。俺は確か4PP。まぁ、話題にするまでもないアベレージの数字だ、俺にとっては。

***

そうそう、ここで一つ誤算があった。

仙人も、K兄さんも、元帥への忠誠の証であるアドミラルTシャツ(元帥を頂点とするランチームのTシャツ。ポセイ丼の母体。)を着ていなかった。

事前に元帥から送られてきた荷物のチェックリストに、『アドミラルTシャツを着てゴールしましょう。必ず持ってくるように。必ず。』とのお達しがあった。

が、あろうことか、前日に元帥が朝令暮改、あるかなきかの声で謝罪した。

『すいません、アドミラルTシャツ、忘れました。』

何でも、その数日前にアドミラル最速を誇る漢との練習があり、それに着ていった『せい』で忘れたとのこと。

『部下の手柄は上司のもの!上司の失敗は部下の責任!』

人差し指を立てながら、自信満々に半沢直樹に叫んでいた大和田常務のあの名台詞が脳裏に蘇る。

そしてこの元帥のTシャツ失念告白の際、事情を察した俺たちは、口々に、

『あ〜、そういえば実は私も忘れました。』

『僕もです。』

『あ、俺もや。あかーん。』

と、お追従した。

誰もTシャツを忘れてなかったのに、誰もが忘れたことにした。

軍律とは、そうやって保たれる。

やむにやまれぬ嘘は、時に人を慰める。

・・・

で、問題は、そういってその場は取り繕ったとしても、本番では皆着るよね、と俺は思っていた、その甘さである。

半年間4人でポセイ丼として頑張ってきた。ポセイ丼の母体のアドミラルの皆は俺たちのアイアンマンを心から応援してくれている。その期待に応えたい、感謝の気持ちを、アドミラルTシャツを着てゴールすることで伝えたい。

そう思っていた。

が、途中で逢ったK兄さんも、ともに涙を流したはずの仙人も、前日に『忘れた』と言った通り、全く別のウェアを着ていた。

着ているのは俺だけ、まるでピエロだった。

それで思い出した。

いくら志溢れる素晴らしい漢たちだとはいっても、この二人の共通点は『超一流企業』の『サラリーマン』だった。

上に逆らうことは絶対にしない。

軍人の鑑とも言うべき従順さで、自分たちもTシャツを忘れたことにしたところまでは俺自身も立派だったと思うが、まさかこの二人が本番でも元帥に気を使ってアドミラルTシャツを破棄するとは、全く思わなんだ。

俺は自分の甘さを痛感した。アイアンマンになるとは、こういう世知辛い現実をも甘受するということである。

上官を立てるということを空気を吸うがごとく出来る漢たちのプロフェッショナリズムに触れた瞬間だった。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

引かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

家族とか教育とかの話

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羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

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