ラオウを目指す羅王のブログ

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!我が生涯に一片の悔いなし!!!

IRONMAN JAPAN 2014 完『騒』記〜半年間の奇跡の軌跡 その13〜

time 2014/09/19


2014年8月24日、25mプールで溺れそうになってから約半年、今期最大の目標としていたIRONMAN JAPAN 2014(スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km)を完走し、無事『IRONMAN=アイアンマン』になりました。半年間の奇跡の軌跡を、またまた赤裸々に綴っておきたいと思います。何回シリーズになるかは不明。

ご参考までに、走り始めて9ヶ月で初ウルトラマンになった野辺山100kmウルトラマラソン日記はこちら。

その2週間後にダブルウルトラマンになった柴又100kmウルトラマラソン日記はこちら。

ウルトラマラソンやアイアンマンを目指す方、人生の角度を少しでも変えたい方、何とかやってはいけるけど日々出し切ってない感に苛まれている『普通の人』の気づきと勇気と元気の一助になれば幸いです。目黒勤務の『普通人』より。

***

※主な登場人物

元帥:ラン、トライアスロンの師匠。筋肉かなり多め、好き嫌い多め、見た目ダヴィデ像め。柔軟体操が全く出来ず、色が黒いのに美白を目指している。

K兄さん:ミスター盤石。全てが盤石過ぎて、弱点が全く見当たらないところが弱点。海外生活が長かったせいか、『アドバイス』を『アドヴァイス』と必ず言うし必ず書く。たまに『だっはー!』と笑うが、その笑い方のルーツは不明。

仙人:ほぼ同い年なのにあらゆる点でレベルの違いを感じさせる漢。見た目も中身も解脱気味。一緒に100マイルトレイルを走れる女子を目下検索中。

三人に共通するのは、全員心から尊敬すべき漢たちであり、卓越したビジネスパーソンでもあるということである。

***

ラン42.2km 5時間50分の情けな過ぎる戦い 中編

忠誠の証であるはずのアドミラルTシャツを着ているのが自分だけだったと気づいた俺は、絶望に打ちひしがれながら、淡々と歩を進めていた。

腰の痛み、重さは益々強く、ペースはどんどん落ちていく。

当初5分45秒/kmで走れていたタイムは、いつの間にかキロ6分を維持するのも難しく、6分半ぐらいになっていた。

坐薬とロキソニン60のスーパーバリューセットを再度ぶち込むも、一向に効いてこない。痛みは消せても、ズンと残る鉛のような重さには全く効いてこない。

10kmの折り返しを過ぎて、さっき仙人に逢ったらへんで、また仙人に逢った。

やはり速い。とんでもない速さだ。仙人はいつも、全く速くなさそうなフォームで、しかし滑るように地面を移動する。仙術を使っているとしか思えない。ズルっこだ。

『元帥が後ろにいるから!』と仙人は言う。

元帥とは、俺が6時13分にスタートしてからここまで約10時間、一度も逢っていない。仙人に逢ってからまた仙人に逢うまで、元帥に逢った記憶はない。

あれれ?おかしいぞ?

てことは、仙人が後ろにいる元帥をまた抜いたのかな。俺よりよっぽど速かったのか、それとも逆に何かあってよっぽど遅かったのか。

現状を分析すると、後者の可能性が濃厚なように思えた。元帥は、屈強な見た目、狭いにもほどがある重低音な音域、秒単位でこなす仕事、うちの4歳児とそう変わらぬレベルの好き嫌いと、一見して完璧なようにも見えるが、実は危うい点もいくつかある。

デビュー戦となった美ら島トライアスロンで、6周回だったバイクのコースを、元帥は7周回っておられた。

後で聞いたら、『5』以上の数字は両手が必要なので苦手とのことだった。うちの子は30までは問題なく数えることができる。

本職は泣く子も黙る、辣腕税理士である。これほんと。税理士会では上位0.1%に入るであろうエクセルの技術を駆使して複雑な計算をこなすが、暗算や記憶となると意識が倒錯して機能不全に陥るらしい。

初めての合宿の時に、俺の怪我防止用のインナーが無くなったが、それは捜索の結果、元帥のバッグから見つかった。そして全く同じ時期になくなった仙人のインナーも、まさかと思って調べたら元帥のバッグの中から見つかった。

落ちているものを、何も考えずに拾う癖がおありのようだ。

『5以上の数字が苦手』と言っていたが、それはまさか『1以上』の間違いだったのではないか。110kmの周回コースの2周目に、気づかず突入してしまったのではないか。普段扱う金額が大き過ぎて、180kmも290kmもまぁ一緒、となってしまっているのではないだろうか。

あまりにタイム差があるので、そこまで懸念が拡がる。

結論として、バイク前半で胃のトラブルに見舞われ補給がままならず、バイクの関門制限時間1分前(後の調査で実は3分前だった。やはり1ケタの計算は苦手らしい)というとてつもないギリギリな状態でランへ突入していたということだ。トライアスロン20戦以上の経験を誇る元帥ですら、トラブルに見舞われる。

やはりアイアンマンでは、何かが起きる。

本人はK兄さんと同じ盤石パワーズだと思ってらっしゃるようだが、俺と仙人は全くそう思っていない。K兄さんも、優しいので何も言わないが、元帥を盤石だとはきっと思っていないと思う。元帥が気づかないところで、元帥のミスをサポートして何も言わないでいてあげるのがK兄さんという漢だ。

元帥とは、2周目に差し掛かって数km進んだところですれ違うことができた。ゴールに向かわれる途中だったので、念のため『2周目ですか?』と聞くと、ものすごい不機嫌そうな声で、『1周目です』とのこと。

やはり、トラブルに見舞われていたようだ。

***

思いのほか速く走れた最初の1−2kmから、思わぬ疲労からの腰の重みと脚の捻り、そして全く思い通りにいかない中盤へとレースは差し掛かる。

ペースはキロ6分半〜7分ぐらいだろうか。なかなか脚が進まない。

ホテル街へ戻ってきた。応援してくれる人が見える間は、止まらずに走ることができている。でも、エイドごとに休む時間は、少しずつ、少しずつ長くなってきている。
(アップになってるらへん)

名称未設定

エイドで飲む水も、スポーツドリンクも、コーラも、俺に力を与えてはくれない。ほんの少しさっぱりするだけで、すぐにまた欲しくなる。

ゴールゲートを横目に見ながら、ちょうどハーフマラソンの距離を走り終える。

もうゴールしている人がいる。選手の名前が、超カッコいいMCの声に呼ばれ、高々とあげたその両手とともに、ゴールテープを切っていることだろう。俺はあと何時間後に、ここに戻ってこられるだろうか。

辺りはどんどん薄暗くなってきて、頼みの綱の奥さんと娘も、応援で疲れたのか、いない。娘は知らない人を何百人も応援しまくったおかげで疲労困憊し、このとき宿で夢の中にいた模様。パパの応援どころではない。

俺はハーフの距離を、2時間30分ほどかけて走っていた。全く予定通りにいってない。4時間半を目指すのはもう現実的に難しい。目指すは5時間だ。

すぐに目標を下方修正してしまう自分の弱さに呆れながらも、しかし完走という絶対目標を目指して脚を進める。

***

何かが切れる音がした

応援してくれる人たちがたむろしているホテルの通りを抜けると、2周目。急激に人がいなくなる。

あたりは薄暗いどころか、歩を進めるごとにどんどん暗くなっていく。テンションも、知らず知らずのうちに落ちてくる。

そのとき、

『プチンっ』

何かが切れるような音を聞いた気がした。

実際には何も音はしていない。でも、俺には身体の内部から聞こえた。

身体が、急に前に進むことをやめた。脳が、脚への指令を停止した。俺は、ものの見事に動けなくなった。

走りたいのに走れない。体力が残ってないわけじゃないのに走れない。

ウルトラマラソンで限界を迎えたのとは、ちょうど逆の限界。ウルトラマラソンでは、物理的に体力の限界がくる。関節が数万回の摩擦で焼け、筋肉は疲弊し、脚が動かなくなる。

そういうのとはちょっと違う。身体はまだ動く。体力的にも、ウルトラマラソンよりは余裕がある。でも、心が止まってしまった。

心が、止まってしまった。

突然過ぎたので、今でもなぜそれが起きたのか、ちょっと理由が分からない。半分の距離を終えて、多くの声援とカッコいいMCのコールに包まれて自分がゴールするであろう姿を想像し、さぁこれからだ!と気合いを入れたところ。

確かに厳しい状態ではあった。腰はクソ重いし、脚は接触のせいで左ひざがピキってる。肩もそういえば少し痛みはじめてきた。フィジカルが万全かといえば、決してそうではない。

でも、ウルトラマラソンで50km走ったところで限界を迎え、それでもあと半分残っているときの絶望や疲労に比べたら、なんてことはない。なんせ、元帥曰く、トライアスロンは『身体に優しいスポーツ』だからだ。

***

恐らく、昨晩から数えて軽く10錠を超える、危険でも違法でもない合法だけど強力めなドラッグによるドーピングの反作用で、軽い薬物中毒状態になってしまったことが一つ。

そしてもう一つは、今回の怪我に伴い、前日から今日にかけて、びっくりしたり悔しがったり涙を流したり絶望に打ちひしがれたりほんのわずかな希望にすがってみたりそれでも諦めかけたり、とかく精神力を使い果たしてしまったからではないだろうか。

今回は、レースそのものと向き合うためには、俺はあまりに疲れた状態での出走を余儀なくされた。

フェースブックを見まくっている人は仕事の生産性が低いとか言われているのと一緒で、心のHP(ヒットポイント)というのは、一応のリミットが決まっており、どこにどれだけ消費するのかでパフォーマンスが変わるのではないかと思う。

俺は、心のHPが赤信号の状態で出走し、それをドーピングでごまかしながら、時にバイクでハイになりながら、ここまできた。

そうしてついに、更なるドーピングでもいかなるエイドでもどうにもならない、心がゼロの状態になってしまったのではないか、振り返って俺はそう分析している。

そういえば、坐薬を挿れるときにも、新しい扉を人差し指の第一関節で開けることに対する葛藤がものすごくあったような気がする。これで俺は疲れてしまった。IMG_7432

***

ここから先は地獄。

いそいそと走るも、すぐにトボトボと歩いてしまう。

辺りはついに真っ暗になり、何も見えなくなってしまう。水質が綺麗な洞爺湖を泳ぐスイム、広大な北海道の大地を縦横断するバイクのコースに比べ、とりあえず42km走らせとけばいいやと言わんばかりのこの周回コースは、ホテルのある区間を除けば、完全な闇になる。

暫定措置として、暗闇を照らす巨大なボックス式の蛍光灯のようなものが百メートルごとに置かれるが、強烈な光に視界を奪われ、その反動で蛍光灯を過ぎると夜目が効かなくなるという繰り返しで、写真以上に何も見えない。

IMG_7408

このなーんもない道が、エイドを除きあと20kmほど続く。

たまに顔を見せる距離表示の数字が上がっていることを期待しても、1km1kmが遠い。

俺は、ゼロになってしまった心を奮い立たせることもできずに、本当にただトボトボと、歩いたりほんのちょっと走ったりを繰り返しながら、ゴールを目指した。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

引かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

 

家族とか教育とかの話

ラオウを目指す羅王のブログ

羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

「ラオウを目指す羅王のブログ」にようこそ。修羅が蔓延る世紀末の日本を、「北斗剛掌派」という思想体系を以て変える活動をしています。我が生涯に一片の悔いなし!と言える人生を送るため、101回目のダイエットに励んでいます。