ラオウを目指す羅王のブログ

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!我が生涯に一片の悔いなし!!!

IRONMAN JAPAN 2014 完『騒』記〜半年間の奇跡の軌跡 その14〜

time 2014/09/22


2014年8月24日、25mプールで溺れそうになってから約半年、今期最大の目標としていたIRONMAN JAPAN 2014(スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km)を完走し、無事『IRONMAN=アイアンマン』になりました。半年間の奇跡の軌跡を、またまた赤裸々に綴っておきたいと思います。何回シリーズになるかは不明。

ご参考までに、走り始めて9ヶ月で初ウルトラマンになった野辺山100kmウルトラマラソン日記はこちら。

その2週間後にダブルウルトラマンになった柴又100kmウルトラマラソン日記はこちら。

ウルトラマラソンやアイアンマンを目指す方、人生の角度を少しでも変えたい方、何とかやってはいけるけど日々出し切ってない感に苛まれている『普通の人』の気づきと勇気と元気の一助になれば幸いです。目黒勤務の『普通人』より。

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※主な登場人物

元帥:ラン、トライアスロンの師匠。筋肉かなり多め、好き嫌い多め、見た目ダヴィデ像め。柔軟体操が全く出来ず、色が黒いのに美白を目指している。

K兄さん:ミスター盤石。全てが盤石過ぎて、弱点が全く見当たらないところが弱点。海外生活が長かったせいか、『アドバイス』を『アドヴァイス』と必ず言うし必ず書く。たまに『だっはー!』と笑うが、その笑い方のルーツは不明。

仙人:ほぼ同い年なのにあらゆる点でレベルの違いを感じさせる漢。見た目も中身も解脱気味。一緒に100マイルトレイルを走れる女子を目下検索中。

三人に共通するのは、全員心から尊敬すべき漢たちであり、卓越したビジネスパーソンでもあるということである。

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ラン42.2km 5時間50分の情けなすぎる戦い 後編

頭の中で何かがプチンと切れる音がして糸の切れた操り人形のようにグターっとなるほんの少し前の話。

最後の夕日が差し込み、これから本格的な闇に包まれると思われる、ほんの手前の時間帯に、全くスピードを落とさずにこちらに向かってくる仙人の姿があった。

スタートしてから12時間と少し。目標としていた13時間に間に合うには十分な早さで、仙人はゴールまであとほんの数kmのところまでやってきていた。

俺はこれからほぼもう一周(20kmぐらい)あるので、だいぶ差がついてしまったが、仙人はきちんと自分のやるべきことをやり、自分で決めた13時間切り目標を見事完遂してみせた。かなりストレッチ基準である12時間半切りにも、ごくわずかな距離まで迫っている。

本当に素晴らしい。アイアンマンがトライアスロン2戦目というなかでの快挙。ウルトラマラソンの師匠であり、トライアスロンではライバルだと思っていたが、俺の勘違いだったようだ。仙人は、俺とは比較にならない素晴らしいアイアンマンだった。

心の底から出たセリフ。

『13時間切り、おめでとう!』

ゴールを間近に控えた仙人に、恐らく誰よりも最初にお祝いの言葉を投げる。たぶん、出走前の涙とか含めて、俺がどれだけ苦しい戦いをしてたか、一番よく分かってるのではないかと思う。

あと何時間後になるか分からないけど、予定では2時間半かからないぐらいでゴールしますんでヨロシコ!

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で、そのすぐ後ぐらいだっただろうか。仙人におめでとうを言って、返す刀でパワーをもらったはずなのに、日が落ちて暗闇になるとほとんど同時に本当に突然に心が止まってしまい、俺はトボトボと歩くしかなくなってしまった。

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暗い、暗ーい夜道。ラスト20kmのうち、ホテル前を除く19kmぐらいは、この暗ーい夜道を進むことになる。

『エイドとエイドの間は走る』とか、『エイドでは30秒以内に出る』とか、色々ルールはあったんだけれど、全部オシャカ。

心がゼロになってしまった影響で、頑張りたいのに頑張れない。全部がどうでもよくなってしまう。どうにかして気合いを入れたいのに、ザルから漏れるみたいに全然力が入らない。

遠くには、ウィンザーホテルの光が煌煌としている。遠くにオアシスが見えるような感覚だが、俺の目的地はそこではない。

あと18km。まだまだ遠い。

あと17km。まだ1kmしか進んでいない。

あと16km。もう、なんだかどうでもよくなってきた。

完全な暗闇に、トボトボと歩いたり走ったりする俺。前にも後ろにも、まばらに人が走る。

すれ違う人の表情は蛍光灯のせいで全く見えないし、みんな景色というには変化のなさすぎる暗闇に、心をやられているようで全員無言。

仙人はもうゴールした頃だろうか。次に逢うのはゴールだ。

元帥にはさっき逢った。また太ももが腫れてるんだろうか。バイクで110kmの周回コースを2周したんだろうか。

次に逢うのはK兄さんだ。

K兄さんに逢いたい。早く逢いたい。逢って、気合いを入れてほしい。何やってんだ!と叱ってほしい。もう肩がどうなってもいいので、バチコンとハイタッチをしたい。

仙人は細すぎて、ハグするには物足りない。エドモンド本田がダルシムをハグするような感じで、物足りない。太ももが細ももに過ぎないぐらい細い。

仙人

元帥は、太ももがギャルの胴回りぐらいの太さで辟易してしまうので、ハグには適さない。

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今の心の支えは、そろそろ出逢うはずのK兄さんだ。

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実はK兄さんはここまで、レースをスタートしてからはほとんど俺の話に出てきていない。

仙人とは、スタートにまつわるエトセトラがあった。泳ぎだすまでは本当に自分のレースの行く末に恐怖して、ガタガタ震えていた。後から振り返れば感動的とも言えるやり取りをしたし、今思い出しても泣ける。だから仙人に関して触れることは沢山あった。

師匠である元帥には、懸念が沢山あった。太すぎる太ももが、レースの邪魔になってやしないだろうか。太ももが他の人の邪魔にすらなってるんじゃないだろうか。35km×2周×110kmのバイクコースを、35km+110km×2周と間違えてやしないだろうか。

師匠なのにこんなに心配奉って良いのかと思うぐらい、心配した。(事実、胃のトラブルから、関門制限時間3分前という超ギリでバイクフィニッシュ)

でも、K兄さんには触れてこなかった。その理由はたった一つ。

K兄さんは、盤石そのものだからだ。

K兄さんは、常に盤石の姿勢を崩さない。仕事もプライベートも、ランもトライアスロンも、全てが盤石だ。

寝てる間も盤石だ。一分の隙すらない。コンフォートゾーンを侵したら、きっとすぐに斬られる。

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洞爺湖に来る前には、パンク修理キットがない、フロントボトルがないと騒ぐ俺や仙人を尻目に、K兄さんは盤石な態勢でバイクを整備し終わっていた。バイクショップには、他を圧倒する資本を投下したらしい。バイクショップの株主になったという噂もちらほら聞こえてくる。

(おかげで、ポセイ丼は元帥を頂点としてK兄さん、仙人、俺が属するチームなのに、バイクショップの店長から見ると、K兄さんがトップ、あとはオマケというふうにしか見えていないようだ。)

レース前々日に当日の装備や補給食を確認した際も、あれがないこれがないと騒ぐ俺たちに、『あ、それあるよー』、『もちろん持っとるよー』と、コンサルティング業界で言われるところのMECE(漏れなく重複なく)を完璧に体現する盤石さで、あれこれと貸してくれた。

俺が前日に肩と背中を痛めて悶絶しているときも、それはそれとして冷静にそのままブログを書き続けた元帥や、バイクの組み立てでずっとまごまごとまごついていた仙人を尻目に、早々に自身の準備を終えて、俺を心身バイクともに盤石にサポートしてくれた。

過去のレース運びも盤石そのもので、初のウルトラマラソンとなった野辺山100kmでも、制限時間2分前でのゴールとなった俺を含めた青二才たちと異なり、終始盤石な試合運びで全く危なげなくフィニッシュテープを切ってみせた。

つまり、K兄さんは今回も盤石なはずなのだ。だから、スタートからゴールまで、一度も心配しなくたって、俺がしくらなければ必ずゴールで逢える。

そういえばK兄さんが一度だけ精神の盤石さを失ったことがあったが、それは宮崎シーガイアトライアスロンで他のチームの美人トライアスリートが胸をゆさゆさ揺らしながらゴールしたのを、穴が空くほど凝視していたときだった。あのときのK兄さんは、我を忘れて美人アスリートの胸と同様に動揺し、少し顔を赤らめていた。

後にも先にも、K兄さんが盤石さを失ったのはあのときだけだったように思う。

そんな盤石なK兄さんに、早く逢いたい!

***

もはや精神の拠り所がK兄さんしかいなくなるという、情けない状態が続いていたが、ついに向こうからK兄さんがのしのしと走ってきた。

光のせいでよく見えなかったのもあるが、近づいてきたのをよくよく見ると、K兄さんの類似品だった。ゴツくてのしのし走る、違う人だった。

落胆してしばらく歩いていると、今度こそK兄さんが走ってきた。

暗闇のせいでよく見えなかったが、よくよく見るとゴツくてのしのし走る、K兄さんの模倣品だった。

絶望にうちひしがれて、しかし目をこらしながら進んでいると、筋肉質な安定感のある走りをしたK兄さんがこちらに向かってきた。

しかしまたも、K兄さんだと思って笑顔を向けた先は、エセK兄さんだった。

おいおい、これはさっきまだ明るい頃に何度か騙された、『ほぼK兄さん』アタックじゃないか。この限界状態でのコレはやめてほしい。

K兄さん!→『ほぼK兄さん』と判明→失望→K兄さん!→『ほぼK兄さん』と判明→失望→K兄さん!→『ほぼK兄さん』と判明

もう心のヒットポイントがゼロだっつってんのに、さらにダメージが深刻化していく。もう、じぇんじぇん力が出ない。『ほぼK兄さん』のレパートリーが多過ぎる。

なんで盤石なはずのK兄さんが、この時間この距離になっても姿を見せないのだろう。もしかして、K兄さんは盤石じゃなかったのか??また美人に動揺してるんだろうか??それとも、資本力をフル活用して、代走を用意したのだろうか?

そんな、K兄さんの盤石ぶりに懸念を抱くという大変失礼なネガティブ思考に陥っていると、突然、

『羅王!』

という声。

ついにK兄さん!『ほぼK兄さん』ではなく、モノホンのK兄さんだ!

俺がこれだけ遅いのに、K兄さんもこれだけ遅いとは、顔を見る限りやはり何かあったようだ。どうやら、俺のOPPが感染してしまったらしく、この日6PPと大漁だったみたい。トイレピットインだけで、30分は使ったことだろう。

過去に見たことがないぐらい憔悴したK兄さんと最後のハイタッチをかまし、残った心の燃料タンクに、ほんの少しのエネルギーを注入してもらう。

ありがとう、K兄さん!ゴールで逢いましょう。

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次に逢えるのは元帥だ。元帥に逢えるまで頑張ろう。

さてこれは難題。極めつけの難題。

なにせ、強烈なまでの暗闇である。とにかくかろうじて即席蛍光灯で照らされている地面以外は、全く見えない。対面は特に、蛍光灯の光が強いだけに見えづらく、またそれ以外の場所ではその光の反動で全く夜目が効かない。

K兄さんや仙人であればまだ肉眼で捉えることは出来る。二人とも外見からして特徴があるからだ。K兄さんは(何度も間違えたが)分かりやすい骨太ラガーマン体型で、仙人はダルシム体型だ。

元帥にも特徴はある。『頑強』とか、『屈強』とか、『ダビデ像に身体つきが似ている』とか、そういう言葉が知り合いの中で最も似合う体型をされている。

しかしもう一つの特徴が、暗闇での発見を著しく困難なものにさせる。

元帥は、黒い。とても、黒い。

感覚的には、全盛期の反町隆史以上、最近の松崎しげる未満ぐらい黒い。誰もが赤く火照るような強烈な日差しの日のレースでも黒くなり、何も日が出ていない曇りの日でもしっかりメラニン色素全開で黒くなる。

***

忘れもしない1年半前の初対面の日、直前のレースで完全に黒光りした元帥が飲み会の途中から現れた。生来の恥ずかしがりと好き嫌い多めな性分もあり、俺とは名刺交換どころか目も合わせてくださらなかった。

しかし、袖をまくったときに露になった異様に太い二の腕、その黒光り度、それでも合わせようとしない視線、全く初対面の人間と溶け込もうとしない孤高感、そして極めつけのあまりに聞き取りづらい声の低さに、俺はフリーザとの実力差を思い知らされたときのベジータのように、ただガタガタ震えるしかなかった。

『ななな、なんで身体そんななんですか?』と、主語も述語も修飾語もめちゃくちゃな質問をした俺に対し、

『あ・・・トライアスロン・・・やってるんで・・・』

とかろうじて聞き取れる声で答えられた元帥。色のことを言ってたのだろうか、筋肉のことを言ってたのだろうか。

ここまでの身体にならないとやってはいけないスポーツなのだと、海も走るのも嫌いな俺はトライアスロンを改めて敬遠するに十分な理由を得た。(全く同じ感想を、仙人も元帥との初対面のときに得ている。

***

話を戻すと、元帥はとても黒いので、全くといっていいほど暗闇では見えない。たぶん、運良く見つけたとしても、暗闇がしゃべっているようにしか感じないだろう。それと、無駄な努力だとは皆に言われているが、趣味は美白である。

人間というのは、実現不可能なことが明確にも関わらず、時に不合理な行動を取るものらしい。勝算が1ケタ%以下の猪突猛進は、挑戦ではなく玉砕であるに等しい。

※先日行ったインド。この中に元帥が混ざっていたとしても、恐らく違和感ゼロ。

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繰り返すになるけれど、ランのコースは、ランのスタートやアイアンマンのゴールのあるホテル周辺(地図のアップになってるらへん)以外は、完全な暗闇で、ほとんど何も見えない。俺よりペースの遅い人であれば、42.2kmのうち、4kmぐらいが光に包まれ、あとの38kmぐらいは完全な暗闇という、どMなコースだ。

たぶん、広大なバイクコースを準備する代わりに、ランのコース設定では自重せざるを得なかったのだと思う。ランのコースまで広大にしてしまっては、きっとセキュリティも確保できないのだろう。主催者側の苦悩もちょっとだけ分かる。(選手にはとてもツラい)

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で、危ないということは重々承知しているのか、設置式蛍光灯以外にも、主催者側はセキュリティに配慮したブツを用意してくれていた。

祭りで子供が振り回しているような、プリズムスティックだ。(こんな感じの↓)

まかり間違えば対面から来る選手との正面衝突すらあり得るランコースのため、さすがにかなり目立つオプションを選手に持たせることにしたようだ。

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でも不思議なことに、エイドで

俺:『みんな持ってるんですけど、持たなきゃいけないんですよね?』

エイドの人:『ええ、選手の方を衝突から守るために、義務にさせていただいてます。』

というやり取りがあって、

俺が明らかにプリズムスティックを持っていないていなのに、

そしてエイドにはたっぷりのプリズムスティックが用意されていたのに、

さらに他の人には無理矢理にでも押し付けてどんどん配ってたのに、

俺には誰にもくれない。

もしかして

もしかして

もしかして

俺みたいのが他の人に衝突してその人が怪我をするのを防ぐために、俺以外の人に身につけさせてる

のか?

俺は?俺の怪我の心配は?俺も怪我するかもしれないんですけど・・

・・・

憮然とした表情で、言ったった。

俺:『それ、まだ付けてないのでください。』

エイドの人、言った。

エイドの人『あ、ああ、そ、そうですね。ええ、まぁ。どうぞ。』

意気揚々とプリズムスティックを装着した俺は、10歩ほど走ったら落として割ってしまった。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

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羅王(AKBとも呼ぶ修羅も多いです)

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「ラオウを目指す羅王のブログ」にようこそ。修羅が蔓延る世紀末の日本を、「北斗剛掌派」という思想体系を以て変える活動をしています。我が生涯に一片の悔いなし!と言える人生を送るため、101回目のダイエットに励んでいます。