悔いてばかりいる人生 #659


 

先日、複数の経営者にほぼ同時に違う方面から、『人を辞めさせようと思っている』と相談を受けた。(コレを読んでくれている方のことではない、たぶん。。他の人です。)少し感情的になっているかなと思われる社長の話をある程度聞いた上で、僕の返答はおおむね共通していた。

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バラモンキング2015完走記⑭ 〜1986〜 #657


 

2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
ついにゴールした。14時間半にも及ぶ戦い。ほんとうに素晴らしい大会で、何度もくじけそうになりながらも、その度に神島民の方々に支えられてのゴールだった。そして戦士達は、とある場所へ向かったのであった。

(登場人物)
元帥:『ポセイドン』の太祖。太すぎる太ももを持ち、色黒で繊細で計算が苦手。1期生。
仙人:坊主、ヒゲ、ノースリーブと、新宿二丁目ルックなウルトラランナー。40時間ぐらい走れる。1期生
スリムえぇ。。さん:フリーザ様第三形態に似ている。最近キャラが崩れている。いつも返事は『えぇ。。』2期生。
みよっしー:バイクが速く、笑顔が可愛く、奥さんが武道の達人。2期生。
ザック:ピンチになるとバルログのような悲鳴をあげる。ランはサブ3.5。2期生。

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ゴールのあとはミートテック

ゴールのあとは、ひとしきり写真を撮った。最高の仲間たちと。

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しつこく戦友、えぇ。。さんと。

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DNFではあったがMVPのザックと。

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1ヶ月前に出場した新島トライアスロンで、たまたま同じ宿だったことから勝手に友達指定した、1周り以上も違う『ハンカチ以来パッとしないわね、早稲田さん』の土井キャプテンと。なんとスイムは全体で2位だったらしいが、バイクで沈み、ランで崩壊し、12時間半ぐらいだったとか。彼のような猛者でもレースが立て直せなくなるほどのハードなレースなんだ、バラモンキングは。白い歯と色黒な顔とさわやかな笑顔は、大体AV男優かWASEDAトライアスロン部と相場は決まっている。

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タイムアップの瞬間を捉える。最後の選手はゴールテープに届かなかった。いつもこの瞬間は感情の高ぶりが激しくなる。

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バッグを受け取り、宿へカラダを引きずりながら帰る。達成感に満たされながらトボトボと宿まで帰ると、どこかで聞いたあの言葉がふと頭をよぎった。

戦争の素人は戦略を語る。戦争のプロは兵站を語る。

そうだ。疲労困憊の今こそ、補給線を確保せねば。。

ホテルに戻ると弁当が用意されていて、それは想定していたものよりずっと豪華だったが、僕には神の声が聞こえた。『そうだ、あそこへ行こう。』

先日訪れた焼肉屋『和』。既に23時を回りつつあったが、僕はおもむろに電話を取り出し、『和』にかけてこう伝えた。

『レ、レースをなんとか死にそうになりながら完走しまして、先日お邪魔したときにめちゃくちゃ旨かったので、なんとか、なんとか、なんとか営業時間を延長してはいただけないでしょうか!?ついた瞬間ラストオーダーでいいので、しかも6人でいくので結構売り上げも立ちますし、実はもう15分後ぐらいに着きますので!!!引き返せないので!!!!想い出がほしいんです!!!!!』

お店の人はため息をついたあとに、おもむろに返答をくれた。『・・・いいですよ・・・』

こうしてハードネゴシエーションに成功した僕はメンバーにその旨を伝え、疲れているにも関わらず風呂を5分で上がるよう命じた。命じたといっても、誰も僕の命令など聞かない。元帥からの勅令ということにして、虎の威を借る狐のごとく軍令を発した。元帥が焼肉にいきたいというので早く風呂に入れと伝えたら、皆忠実に従っていた。

『和』はやはり神レベルに旨かった。レース後の弱ったカラダであまり多くは食べられなかったものの、最高の想い出となった。

 

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僕と元帥は同じ光りの当たり具合の場所にいるが、こうも色が違う。一部、髪と顔の境目が分からないほど黒い。この日、僕は日焼け止めを塗っておらず、元帥はトランジションのたびにしっかりと塗っておられた。『無駄な努力というものはない』、そう口で言うのは簡単だ。しかし現実には、無駄な努力というものは確実に存在する。

満足した僕たちは、泥のように眠った。次の日バイクをピックアップし、疲れたカラダで梱包し、長崎県そのものには全く寄ることができずに東京に帰っていった。素晴らしい経験をありがとう五島!ありがとうポセイドン!

しかし、感動にまみれたバラモンキングであったが、最後に僕が気づいてしまった衝撃的な事実にひとつだけ触れておきたい。

 

この漢、MVPにつき

最後に触れておきたいのは、今回のMVPであるこの漢について。

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そう、ザックだ。

 

完走した5人に対し、ザックは1人だけDNFとなり、完走出来なかった。しかしポセイドン満場一致で、MVPにはザックが選ばれた。

スイムの不安(溺れてるようにしか見えないほど泳げない)から、1周目を終えた段階で2周目をスキップしてバイク、ランに臨んでいれば、完走証はもらえないにしてもゴールテープを切ることは出来たはず。しかしそれをせずに、あくまで総距離226kmというレースに真正面から立ち向かい、3.8kmという距離を泳ぎきり、結果バイク110km地点で関門切れDNFとなってしまった。

ザックのDNF報告を各々の形で受けたポセイドンメンバーは、それぞれに奮起した。僕自身、ザックのDNFの話を知らなかったら、14時間半切りに至った最後の粘りは生まれなかったかもしれない。みんな、ザックには感謝をしていた。みんな、ザックの勇気に感服していた。敗れてなお、一番男を上げたのが、ザックであった。

 

が、僕はレースを振り返りながら、あることに気づいてしまった。そういえば、こんな投稿があった。

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『申し訳ない、バイク110k付近で20秒足らずDNFです。みんな、最後まで!』

『20秒足らずDNFです』

『20秒足らず』

・・・

あれ?

もしかして・・・

『惜しい』?

 

 

 

 

そう、ザックは『惜しい漢』だった。そして、この日も惜しかった。そんなことに気づいてしまった。ザックの惜しいエピソードには事欠かない。代表的なものを挙げると、

▼フルマラソンで3時間30分切りを狙ったレースで、3時間30分7秒。惜しすぎて泣いたようだ。

▼インドに行ったときにインド人に初めて発した英語が、『な、な、な、ないすとぅみーとぅ』。せめてyouが加わっていればどれだけどもろうと正解だったのだがあえなく撃沈。

代表的な惜しいエピソードを思い出そうとしたが、これしか思い浮かばなかった。印象に残らないチョンボが多いという点でも惜しい漢である。

惜しい漢は今回も20秒差でDNFと、とても惜しかった。

 

ザックの惜しさを回想していると、そういえばもう一人惜しい漢を思い出した。そう、ハラルだ。ハラルの惜しすぎるエピソードについては、是非こちらのエントリを参考にしてほしい。

どちらも、とかく惜しい漢たちであり、奇しくも同年代の86世代(1986年生まれ)であり、ザックはまたもやその惜しい伝説に新たな1ページを加えることとなった。この6月からミヤンマーを新天地とすることになったハラルは、ランチーム『アドミラル』の送別会において、感動のあまり、

『ア、アドミラリに入って良かったです!!!』

と言っていた。最後まで惜しかった。

 

結論、1986年生まれ世代は惜しい。

最後に到着した羽田空港で、なんだかとても惜しい格好をしているザックを撮影して、僕は改めてこの惜しい漢が作り出した勇気の物語に、感動を憶えたのであった。

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バラモンキング、来年も出ます。これにておしまい。

全てに感謝!!!

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

バラモンキング2015完走記⑬ 〜勇姿〜 #656


 

2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
14時間29分31秒でついにゴール!!!皆の勇姿をシェアしておきたい。

(登場人物)
元帥:『ポセイドン』の太祖。太すぎる太ももを持ち、色黒で繊細で計算が苦手。1期生。
仙人:坊主、ヒゲ、ノースリーブと、新宿二丁目ルックなウルトラランナー。40時間ぐらい走れる。1期生
スリムえぇ。。さん:フリーザ様第三形態に似ている。最近キャラが崩れている。いつも返事は『えぇ。。』2期生。
みよっしー:バイクが速く、笑顔が可愛く、奥さんが武道の達人。2期生。
ザック:ピンチになるとバルログのような悲鳴をあげる。ランはサブ3.5。2期生。

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バラモンキングたちの勇姿

ついにゴールした。

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本当に長い戦いだった。しかし、最高の戦いだった。僕とえぇ。。さんは、全ての感謝を込めて、コースの方を向いて深々と一礼した。

ありがとうございました!!!

珍しく僕がえぇ。。さんに隠れている。本当は体格が近いのかもしれない。

お辞儀

 

他の仲間のゴールも最高にかっこ良かった。

元帥。最後まで地の神タイタンのように太くたくましい。

元帥

 

 

みよっしー。ゴールまでさわやかで少し嫉妬する。

みよっしー

 

 

仙人。浮いてる。誘ってる。少し脇の処理を考えなければと思い始めたらしい。

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戦友と。

仲良し

 

 

MVP、ザックを囲んでみんなで。最高のメンバーーだ。

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他にも本当に沢山の写真があって、全部は公開しきれないので、これぞと思う写真だけここにシェアをさせていただいた。

しかしこれらの戦士たちの勇姿のコレクションを差し置いて、今回の数日間で僕のなかでダントツナンバーワンとなった写真がある。

それがこちら。題して、

 

 

 

『同時にゴールして同時にテープを持ち上げて叫ぼう!と決めていたはずなのに僕がフライングしてしまい、テープに手が届かず顔が豆が鳩鉄砲食らったみたいになってるえぇ。。さんの一枚』

 

 

 

 

 

 

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見たこともないほど取り乱しているえぇ。。さんをレース中に見たと思っていたが、このときはこの日もっとも取り乱していた。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

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バラモンキング2015完走記⑫ 〜ゴール〜 #655


 

2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
『疲れたときこそリズミカル!!!』桜木花道の1週間2万本ジャンプシュート合宿を彷彿とさせるようなリズミカルさで、淡々と距離を踏む最強コンビ、僕とえぇ。。さん。一撃必倒のトラブルをいくつも乗り越え、残りは10kmに迫ろうとしていた。。

(登場人物)
元帥:『ポセイドン』の太祖。太すぎる太ももを持ち、色黒で繊細で計算が苦手。1期生。
仙人:坊主、ヒゲ、ノースリーブと、新宿二丁目ルックなウルトラランナー。40時間ぐらい走れる。1期生
スリムえぇ。。さん:フリーザ様第三形態に似ている。最近キャラが崩れている。いつも返事は『えぇ。。』2期生。
みよっしー:バイクが速く、笑顔が可愛く、奥さんが武道の達人。2期生。
ザック:ピンチになるとバルログのような悲鳴をあげる。ランはサブ3.5。2期生。

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ラン42.2km 5時間25分である意味自己ベスト!!! 終編

もうすぐ最後の折り返し。間もなく残り10kmだ!と思った頃。前方に騒がしい集団がいた。もう日は完全に落ちていて、姿はよく見えないが結構な人数が集まって太鼓だなんだと、応援してくれているのが分かる。

『ありがとうございます!』と叫びながら近づくと、その中の代表と思われるおばちゃんが、

『あ、へんなお〜ばさん、た〜らへんなお〜ばさん』

と大声でカマしてくれた。応援の志村けんのギャグを、精一杯アレンジしてくれたようだ。こんな疲れている僕たちを、少しでも笑わせて元気にさせようとしてくれている。

僕はゆらりと近づき、返答した。

『あ、へんなお〜じさん、た〜らへんなお〜じさん』

もちろんアクションつきである。往年の志村けんにすら、負けたとは思っていない。全身がきしむ。『へんなお〜じさん』のところで手を伸ばしてカカトを立てると、攣りそうになる。しかし残り少ない体力を総動員して、この神住民の人たちに応えた。

そしたらおばちゃんは『スゴーい!』とハグしてきて、そしてなぜかどさくさに紛れて僕の股間を握りしめた。僕の返答がスゴかったのか、僕のラムズフェルドがスゴかったのかは聞けなかった。

体力を極限まで温存しようとしていたえぇ。。さんは、少しびっくりした様子で、全力でおばちゃんたちに立ち向かう僕を見ていた。

僕は言った。『ああいう最後まで応援してくれてる人たちに全力で返すと、なぜかパワーもらえるんですよ。』

えぇ。。さんはまたこくりとうなづいた。『フリーザ様!ベジータめがナメック星に到着した模様です』とアプールさんに報告を受けたときにこくりとうなづくフリーザ様にウリ四つだった。

 

 

いよいよ最後の折り返し。えぇ。。さんが最初のアラートを上げる。

『安西先生、お、おなかが・・いたいです・・』

えぇ。。さんも人間だった。そして著しく衰弱していた。胃も腸も、そして肛門も限界のようだった。ここでサヨナラか。そう思っていたら、えぇ。。さんが折り返し地点のトイレに向かうどころか、まだ僕に並走してくる。

『押し出しません!勝つまでは!!!』

普段から緻密な計算をしているとは思っていたが、見事なアナ◯コントロール。見事なアナリストだ。

 

ここで、えぇ。。さんに提案した。『みよっしーを捉えましょう!』差はまだ結構あるが、僕たちは極めて良いペースで走れている。恐らくこのランで最もペースが上がっている。今こそ、次なる目標に向けて発進するときだ。少し先をいくみよっしーに追いつけたら、良いタイムで上がれるかもしれない。

僕たちは最後の作戦、『感謝感激雨嵐作戦』を実行した。

もう暗くてまともに顔も見えない、しかし夜8時半を回ってなお、応援してくれている人たちがいる。じいちゃん、ばあちゃん、お父さん、お母さん、そしてうちの娘とそう変わらない小さな子どもまで、まだまだ応援してくれている。エイドの人たちは、何百回と同じ作業を繰り返してきてなお、死にそうな僕たちのために飲み物やスープを用意してくれている。

最後の折り返しを過ぎた今、もうこの人たちに会えるのはこれで最後になる。僕とえぇ。。さんは、出来る限りの力を込めて、出来る限り多くの人に、感謝感激雨嵐作戦をぶちかました。

『遅くまでありがとうございました!必ずゴールします!』

『1日本当にありがとうございました!また必ず五島に来ます!』

『五島最高!!!』

半分ぐらい泣きながら、僕はすべての人に向けて叫んでいた。ラスト10kmは御礼しかしていなかった。闇夜に、僕とえぇ。。さんの声が溢れていた。同じぐらい大きな声で、みんなが応援してくれていた。僕は、感謝感激雨嵐作戦をしながら、少し泣いていた。

応援に対する感謝の反射で素晴らしいエネルギーをもらった僕たちは、恐らくこのレースのなかでもっとも理想とするペースに近い速度で進んでいた。あと少しで終わってしまう。あと少しでゴールになる。

嬉しさと寂しさが交互に顔を出しながら、しかし限界はひたひたと迫っていた。

残り5km。突然、僕は止まってしまった。急に走れなくなってしまった。なぜだか分からない。いや、分かりきっているが、つまりは限界だったのだ。応援してくれてる人にも、視界に入っている間だけ感謝の言葉を投げる、そんな情けない状態になってしまった。

ヤバい!

僕はもう補給食を持っていなかった。吸収の良いジェル類はぜんぶ使ってしまっていた。そしたらえぇ。。さんがすっとジェルを取り出し、一言。

『ジェルならありますよ?ドドリアさん』

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これに救われた。ジェルは吸収が速い。3分で生き返った。またわずかなエネルギーボンベを手に入れて、僕は走り始めることができた。

 

 

聖闘士星矢(奇しくも海王ポセイドン編!!)の曲を音量全開でかけている頃だった。

見覚えのある背中が。見覚えのあるポセイドンウェアが。

みよっしーだ!!!

10km地点での宣言通り、みよっしーに追いつくことができた。じん帯断裂の経験もあるみよっしーはツラそうだったが、持ち前のさわやか過ぎる笑顔で僕たちを見送ってくれた。もう、僕たちと並走する力は残されていないみたいだった。

このときのことは、みよっしーが回想している。普段飄々としているし、レース中でもそうなので全く気づかなかったが、後ろから迫る僕たちを意識して力に代えていてくれたようだ。そして、聖闘士星矢の曲全開で近づく輩とは、実は他人のフリをしたがっていたようだった。

 

みよっしーをパスするとき、ふと彼がなぜこの場所にいるのか、出逢った頃のことを思い出していた。それは、ふとしたきっかけだった。

初めて勉強会でみよっしーと出逢って名刺交換をしたとき、僕は彼の会社の名前を『トライアスロン』と読み間違えてしまった。正確には『トラ◯ス◯ロン』という名前なのだけれど、当時アイアンマン明けでトライアスロンの布教活動をしていた僕が引っかかったのも無理はない。

『トライアスロンみたいな名前の会社ですね。じゃあやりますか!?』と僕は言った。

『そうですね。じゃあやりますか。。』とみよっしーは言った。

『(軽く返事するなんて)コイツはバカなのか?』と僕は思った。

『(誘い方がロジカル過ぎて)この人はバカなのか?』とみよっしーは思っていたはず。

大体こういうノリで誘って、ノってくる人間の9割は、本当にはやらない。今まで行ったことのない場所にたどり着くためにはノリの力を活用するしかないのに、ノッたときの勢いではなく冷静になったときの判断(という名の過去の常識)で物事を決めてしまう。結果、今までと変わらない日常が待っている。

みよっしーは違った。ノリで決めて、古傷があるのでまともに走れないくせに、トライアスロン参加を決めてしまった。いつの間にか、バラモンキングにも申し込んでいた。そして、『練習してまっせ臭』を出しまくる僕とは違い、誰にも言わず淡々と、ただ愚直に練習を積み重ねていた。

デビュー戦では誰よりもバイクが速かったし、今回も恐らくは一番だった。(バイクを漕がずとも宙に浮ける仙人は除く)本当にスゴい。最後は古傷がオーバーラップしてしまって苦しそうだったが、素直に尊敬した。そういえば奥さんは武道家らしく、毎日夜に三角締めを食らっているらしいのだが、それでもいつも飄々としている点も尊敬している。

みよっしー、先に行って待ってるぜ。

 

 

残り2km。今度はえぇ。。さんが止まった。原因はシンプルだ。限界。エイドはすぐそこだ。僕はえぇ。。さんに言った。

『今から補給しても吸収出来ない。タイムが遅くなるだけ。最低限の水分を含んだらすぐパスしてください。』

限界を迎えている相手にかける言葉ではなかったかもしれないが、ひとつの指標である14時間半切りがかかっていた。僕はえぇ。。さんが少しでも速いタイムでゴールすることを切望していることを知っていたので、えぇ。。さんの目標に現実を無理矢理すりあわせることを要求した。

えぇ。。さんはツラそうな顔をしながら、こくりとうなづいた。ギニュー特戦隊が到着したときのギニュー隊長の『喜びのダンス』を断ったときフリーザ様のような苦い顔だった。

 

ここまで来たら、えぇ。。さんを引きずってでもゴールまで連れていく。そして、必ず2人でゴールする。遅れつつあるえぇ。。さんを怒鳴り散らしながら、少しずつ進んでいく。相談の結果、ゴールは重量級の僕が軽量級のえぇ。。さんを担いでゴールすることになっていた。しかしえぇ。。さんは言った。IT業界のエンジニアらしい、極めてロジカルで緻密な説明だ。

『お腹と肛門の調子が悪く、肩車されると99.9999%(業界では稼働率シックスナインが最低ラインとされる。エロい方じゃなくて。)の確率でエイナルがバーストします。いいんですか?』

客観的なデータを提示し、最後に顧客に決断を求めるあたりはさすが凄腕エンジニア。僕はしばし考えた末、

『やはり、かぶることは出来ません。』

と固辞することにした。僕にだって、守りたい尊厳みたいなものはある。

 

ラスト1km。街に戻ってきて少しずつ明るくなっていく。顔が見える人には全員、感謝感激雨嵐作戦で叫び続けた。応援の人、エイドの人に感謝の言葉を、そして交通整理を完璧にこなしてくれた警察官の方々に敬礼をし続けた。

ゴールまであと300m。

『羅王!!!えぇ。。さん!!!』

ザックがいた。

勇気あるスイム2周目にトライし、バイク110km地点で惜しくも20秒差で関門に引っかかってしまった漢ザック。この日一番の勇者は間違いなくヤツだ。

ザックは、ラスト数百mを並走してくれた。自分の悔しさを微塵も見せず、ただただ笑顔で。もうナメくさったナメック星人の顔ではなかった。

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写真をいくつか撮ってくれたが、全部ブレていた。ブレているせいか、えぇ。。さんが僕の半分ぐらいしかない。

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夢にまで見たゴールゲートが見えてきた。あと100m。ザックはここで離れた。一緒にゴールしたかったが、ゴールテープは自分が完走したときに切ると決めていたらしい。漢だザック。もう、ナメた顔からはおさらばだな。

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ゴール前には、数百人の人たちが、ゲートを囲むようにして待ってくれていた。

『おかえりなさい!』

『ナイスラン!』

『かっこいいぞー!』

一つ一つが涙が出そうなほど嬉しい。ありがとう!ありがとう!

全てはこの瞬間のためだった。トラブルまみれで一時はどうなることかと思われたレースも、残すところあと20m。本当にツラかった。本当に苦しかった。でも、最高だった。ありがとう五島の皆さん、ありがとう五島、ありがとう、ありがとうポセイドンのみんな、ありがとうバラモンキング。

そしてついに・・・

 

ゴール!!!

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14時間29分31秒の戦いが終わった。余談だけれど、同時にゴールしたはずのえぇ。。さんはなぜか僕より3秒速かった。えぇ。。さんとは、戦友になった。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

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バラモンキング2015完走記⑪ 〜友情〜 #654


 

2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
ついに最終パート、ランに突入。昨今のマラソン不調から、6時間のなかで完走できるかどうかははっきり言って五分五分。ザックの訃報を知り、えぇ。。さんのチャームポイントは尻、仲間たちとすれ違うなかで改めて完走を誓う。残りはたったの27km!・・・長い・・・

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バラモンキング2015完走記⑩ 〜勇者バルログ〜 #653


 

2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
残りは42km、制限時間まで6時間。最近絶不調のランの成績を考えると、お世辞にもこの疲れきったカラダで楽勝とは言い難い。事実、最初の5kmに40分以上もかかってしまった。僕は勝負をこの前半〜中盤にもってくることにした。最後に時間に追われながら勝負をかけると気が狂いそうになるからだ。果たしてうまくいくのだろうか。

(登場人物)
元帥:『ポセイドン』の太祖。太すぎる太ももを持ち、色黒で繊細で計算が苦手。1期生。
仙人:坊主、ヒゲ、ノースリーブと、新宿二丁目ルックなウルトラランナー。40時間ぐらい走れる。1期生
スリムえぇ。。さん:フリーザ様第三形態に似ている。最近キャラが崩れている。いつも返事は『えぇ。。』2期生。
みよっしー:バイクが速く、笑顔が可愛く、奥さんが武道の達人。2期生。
ザック:ピンチになるとバルログのような悲鳴をあげる。ランはサブ3.5。2期生。

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ラン42.2km 5時間24分である意味自己ベスト! 中編

僕が勝負を前倒しでかけることを決意するのと前後して、仙人とすれ違った。僕が5km、仙人が15kmぐらいの地点だ。さすがは仙人、速い!10kmということは、今のペース的に1時間半ぐらいの差を付けられている。仙人は2014年に8ヶ月連続ウルトラマラソン/ウルトラトレイル挑戦という快挙を成し遂げている。こういうときの粘りはやはり圧巻だ。見た目がちょいと誘ってるふうなのを除けば、尊敬に値する。

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仙人と出逢うほんの少し前、歩いている間に携帯の電源を入れて、入っていたメッセージを見た。ザックからだ。

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ザックはバイクの110km付近で関門に引っかかってしまい、DNF(Did not finish)になっていた。仙人と出逢ったとき、直前にザックからのDNFメッセージが入っていたことを話した。ザックのDNFに関する仙人と見解は一致していた。

『あいつ、勇者だわ。マジかっこいい。』

 

説明しよう。

ザックは、トライアスロン参戦が決まっても、しばらく泳げなかった。この話は何度でもしたいのだけれど、2015年に入って初めて東京体育館の50mプールで泳がせたときに、彼は40m付近で呼吸の苦しさのあまり、バルログの『フライングバルセロナアタック』を彷彿とさせる『ラーーー!!!!!』の叫びをあげていた。東京体育館中に響き渡るそれは、コントのようでもあり、悲哀溢れるものだった。(55秒頃参照)

その後も特訓を重ねたもののいつも溺れてるようにしか見えず、デビュー戦となった久米島トライアスロンでも、全く進まず制限時間一杯でのスイムアップとなった。(2kmを1時間20分)ザックは在学中に公認会計士試験に合格した秀才で、勤務先の予備校でもトップ講師ながら、出来ないことは全く出来ないというバランスの悪さがたまに傷であった。

特に出来ないことの代表、苦手なことのトップは『インド』、『英語』、『スイム』だということが付き合いの中で分かってきたが、特に今回はそのスイムが3.8kmもある。ザックの泳力では、まともに1.9kmを2周回というコースを完泳するのは、半ば絶望的でもあった。

 

ザックには、3つの選択肢がレース前にあった。スイムの制限時間は3.8kmを2時間15分。トランジットを考えると、2時間しかない。

①1周目を1時間前後で周り、2周目は安全を期してスキップ。バイク、ランを走り、完走証はもらえないけれど、完走に近いところまではいく。

②1周目を1時間前後で周り、2周目も同じペースで周り、ギリギリの時間でバイクに突入。本当の完走を目指す。

③最悪の場合、2周目にトライしたばかりにスイムで足切りに遭う。

最善は②、最悪は③、最もラクなのは①だ。①であれば何のプレッシャーもない。完走証はもらえない代わりに、レースを楽しむことは出来る。

ザックは、本人も述べているように五島に来る間も、来てからもずっと、このシミュレーションにアタマを使っていたようである。

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読んでる本は囲碁だったが。。

 

結論から言うと、ザックが選んだ選択肢は②だった。スイム足切りのリスクを抱えつつも、レースの完全走破を狙った。スイムを2周目でスキップすれば、キライではないバイク、大得意のランに時間の心配をせずに持ち込めるのに、敢えて自分の弱点と戦ったのだ。泳げないところからの3.8km挑戦は、50mぐらいであれば少なからず泳げた僕たちには想像も出来ないような恐怖だったことだろう。

インド人も英語も確かにまくしたてられれば怖いが、海での3.8kmというのは、それとは別格の怖さがある。なにせ本当に死ぬ可能性もある。ザックの場合に死なないにしても足切りに遭う可能性が結構ある。それは、本当に本当に勇気の要る決断だったのだろう。

そして、ザックはそれに勝った。スイムに打ち勝った。自分自身の弱みに勝った。久米島トライアスロンで2km1時間20分だったタイムは、3.8kmで2時間にまで縮まっていた。そこで時間を使い果たしてしまった結果、バイクの関門に間に合わなかった。

これを勇者と呼ばずしてなんと言えば良いのだろう?

 

『あいつ、勇者だわ。マジかっこいい。』

ザックのDNF報告に、逆に感動と勇気をもらった僕と仙人。合い言葉の『最後まで』に、『ザックの分まで』を加えて別れた。お互いのベストを尽くしてゴールすることを誓った。

別れ際に、『実は膝が限界で。痛み止めくれない?』という仙人。順調に見える仙人も、限界ギリギリのところで戦っている。『分かった。1錠譲る。ただし、レースが終わったら俺に坐薬入れるの手伝えよ。』とオファーしておいた。こくりと静かにうなずいた仙人は、レースが終わって1週間経つ今もなお、その約束を果たしてはいない。

 

今回のランコースは、10km強の道を2往復。そんなにフラットではなく、しっかりと登りと下りがある。登りはほとんど走れなくなっていたため一定以上の傾斜は歩き、平地と下りは走ることにした。

が、なんともうまくいかない。平地なのに歩いてしまう。下りでも止まってしまう。

ここで、音楽が効いてきた。といっても、音楽そのものが効いたわけではない。森高千里を聞いても、となりのトトロを聞いても、どうしても途中で力尽きてしまう。僕は、困ったときの/弱ったときのルールを思い出した。それは、

ルール通りに走る

というもの。

僕が決めたルールはただ一つ。

『1曲分の間は走る。終わったら、次の曲の前奏までは休んで良い。ただし坂道とエイドを除く。』

 

人間は、自分を中心に物事を回そうとすると、どうしてもペースが上下する。言い訳も都度沢山出てくる。早起きが良い例で、前日は飲み会があったから、最近疲れているから、昨日運動して筋肉痛があるから、子どもが夜泣きしたから・・・などと言っていては、永久に早起きなど出来ない。

それよりも、『前日何時に寝ようが、12時までに就寝出来たのであれば、5時に起きる』などと一定のルールを決めてしまった方が良い。『ただし、1時を過ぎて就寝した場合は、6時に起きる』と、例外も1つか2つだけは定めておく。

自分を中心に物事を回すのではなく、原理原則(ルール)を中心に自分を回すのである。そうすれば一喜一憂することなく、日々の瑣末な出来事に反応することもなく、淡々とペースを刻むことが出来る。

ウルトラマラソンのような、バラモンキングと同等かそれ以上の消耗を強いられるレースでも、こういった考えはとても役に立つ。『疲れがピークを超えた状態をとうに過ぎた状態』が70km以降続くウルトラでは、『走れるか走れないか』、『疲れているか疲れていないか』を議論していては、永久に走れない。そしてどれだけ休んでも、そのレース中に回復することなどない。

『エイドとエイドの間は必ず走る。ただし坂道は除く』とか、『3本先の電信柱までは走り、その後1本分は歩く』などのルールを決めて、どんなにツラくてもその通りに走る。そうすると、ツラいなかでもリズムが生まれ、それが結果につながっていく。

僕は森高千里を聞いて走っては歩き、となりのトトロを聞いて走っては歩き、少しテンションの高い湘南乃風を聞いて走っては休み、を繰り返して、距離を稼いだ。不思議なことに、一定のルールに従って遅いながらも走っていると、そう大崩れしない。キロ7分を下回らないぐらいのスピードで、走ることが出来ていたと思う。

 

10km地点、最初の折り返し付近で、筋肉の塊である元帥に抜かれた。えぇ。。さんの姿も見えた。バイクで10分は差があったと思うので、それだけ詰められたということだ。元帥はここ最近のレースでコスプレしながらもフルでサブ4を達成しているし、えぇ。。さんは走るたびに自己ベストを更新するという、尊敬すべきランナー。

どちらも格上であることは分かっていたけれど、追い抜かれて追いつけなくなると、気持ちが切れそうな気がした。10kmを過ぎて、元帥、えぇ。。さんと並走することになった。全く問題なく追いついてきたように見える元帥もペースが落ち、えぇ。。さんは憔悴していたバイク140km地点よりも憔悴し、よりとっ散らかっていた。(写真はバイク140km地点)

IMG_0749

 

 

そうか、みんなツラいんだ。。。

当たり前のことを考えつつ、しかしこういったところで弱さが出てしまうのが自分。ふとした瞬間にエネルギーが切れ、走れなくなってしまう。追いつこうと思う気持ちは一瞬で途切れ、離れていく2人の背中を見送るしかなかった。

日はまだ沈んでおらず、気温も相変わらず下がらないなか、僕一人だけが脱落していくのであった。

『ザックの分まで!』

その合い言葉だけが、僕を支えていた。

残りは27km。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

 

バラモンキング2015完走記⑨ 〜森高千里〜 #652


 

2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
トラブルと実力不足に悩まされたバイク180.2kmがようやく終わった。7時間36分。目標の1時間遅れだが、これが僕の弱さだ。あとたったの42km。1年前ならアタマがおかしくなる距離だったが、今回はなぜかそう思えた。

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バラモンキング2015完走記⑧ 〜えぇ。。えぇ。。〜 #651


2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
連覇を狙う戸原開人選手と(10秒だけ)張り合うも、神の裁きによりパンクに見舞われてしまった。しかし神住民の方と神メカニックの皆様のおかげで、無事戦列復帰を果たすことが出来た。しかし直後にチェーンが外れ、その後は猛烈な腰の痛みと眠気。秘技『ストレッチスリープ』を使って、なんとか眠気を撃退することに成功したのであった。

(登場人物)
元帥:『ポセイドン』の太祖。太すぎる太ももを持ち、色黒で繊細で計算が苦手。1期生。
仙人:坊主、ヒゲ、ノースリーブと、新宿二丁目ルックなウルトラランナー。40時間ぐらい走れる。1期生
スリムえぇ。。さん:フリーザ様第三形態に似ている。最近キャラが崩れている。いつも返事は『えぇ。。』2期生。
みよっしー:バイクが速く、笑顔が可愛く、奥さんが武道の達人。2期生。
ザック:ピンチになるとバルログのような悲鳴をあげる。ランはサブ3.5。2期生。

登場人物概要詳細はこちら

バイク180.2km 7時間36分の戦い 後半

秘技、『ストレッチスリープ』によって、少し眠気は取れた。しかしもう一つの問題の腰の痛みは、悪化するばかりであった。アイアンマン2014でも、肩の痛みは10錠ぶち込んだ痛み止めでなんとかなったものの、結局バイクの負荷に腰が耐えられず、ランでそれが爆発してしまって走れなくなった。鉛の球で殴られ続けているかのような痛みに、ランのタイムは5時間50分まで落ち込んだ。

今回もその兆候があった。しかし今になって冷静に考えてみると、この痛みおよび痛みでパフォーマンスが落ちるのは、結局のところ『トレーニング不足』の一言で片付けられる。練習の不足により、筋肉がバイクを漕ぐのに馴れていないだけであり、体幹がバイクの姿勢にフィットしていない強度なだけである。

 

昔テニスを真剣にやっていた頃、当時プロテニスプレーヤーの弟が面白いことを言っていた。

『プロは、怪我を試合に出ながら治す。』

は?アホですかあなたは?と当時は思ったが、どうやらプロというのはみんなこんな感じだそう。僕の感覚では、例えば腰が痛い、肩が痛い、足首をねん挫している、などのテニスに致命的な怪我の場合、休むのが普通である。しかしプロの場合はそれをやると、試合でのポイントが稼げない。休めば休むほど、試合感も鈍っていく。

だから試合に出ながら、ちょっとだけセーブしながら、それでもポイントを取りに最大限勝ちにいく、ということをするんですって。確かにウィンブルドンや全米オープンを見ていても、ナダルなどはいつも怪我をしている。錦織くんもいつも万全ってわけじゃないだろう。

それでも彼らは、パフォーマンスの下げ幅を一定ラインまでで抑えることができる。まず怪我をしないことは大事だが、怪我をしてもなお、勝率を高める努力をする。怪我をする=休む、というのは、アマチュアの発想だ。

で、アマチュアの発想丸出しで、痛みで即パフォーマンスを低下させた僕は、140km地点でも腰が限界に達し、ストレッチをすることにした。

そしたらえぇ。。さんがやってきた。『おーーーい!!えぇ。。さーーーん!!!』と声をかけると、えぇ。。さんもカラダが悲鳴をあげていたのか、こちらにやってきてバイクを降りた。そういえば前のエイドで、ゆっくり休んでいるえぇ。。さんをパスしたんだった。やはりあの細身で初の180kmはツラかったか。。

と思ったら、えぇ。。さん、開口一番、

『じょ、冗談じゃないですよ!!!シャレになんないですよ!!!なんなんですかコレは!!!』

 

僕にキレた。いつも冷静沈着なえぇ。。さんが、あまりのツラさに、コースの主催者に言うべきところを通りすがりの僕にキレた。僕はしばし豆が鳩鉄砲食らったみたいに驚き、その後もキレ続けるえぇ。。さん相手にシャッターを切ってしまった。

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確かに、えぇ。。さんにとっては今回がトライアスロン2戦目。合宿なども含め一番長く乗った距離が確か80kmほど。そして過去に類を見ないほどアップダウンが激しく、全然巡航運転させてもらえない五島のコース。おまけにフリーザ様第三形態と言われるほどの細身のカラダ。

疲労もうっぷんも溜まっていたのだろう。えぇ。。さんは目の前にいた僕にキレた。

僕がどれだけびっくりしたか、いまいち伝わらないと思うので、えぇ。。さんがなぜ『えぇ。。さん』と呼ばれているのか、少しだけエピソードを紹介しておく。いろんな意味でこんなにとっ散らかったえぇ。。さんを見たのは、後にも先にもこのときだけだった。

 

えぇ。。さんは、そのコードネームの通り、会話の返事のほとんどが、『えぇ。。』である。

初めてまともにしゃべったのは、確か2013年夏頃。一緒に皇居ランをしていたときに、えぇ。。さんがふと、自身の課題について触れた。

『わたし、笑いが取れないのが悩みなんですよ。』

そうなんですか?どんなところが?と返した僕に対して、返してきた言葉が、

『えぇ。。』

会話はこれで終わった。

 

えぇ。。さんの好みについては、チームメイトのザックが聞いたらこんな感じだったらしい。

僕:『Aなんですか?』

えぇ。。さん:『えぇ。。』

僕:『ていうかBですよね?』

えぇ。。さん:『えぇ。。』

僕:『ぶっちゃけCカップの方が好きでしょ?』

えぇ。。さん:『えぇ。。』

えぇ。。さんはどれもイケるらしい。

 

一説によると、家庭でもそうらしい。ある日、息子さんが嬉しそうな顔をしながら帰ってきた日のこと。

息子:『おとーさーん!僕ねぇ、学校で足し算ならってきたんだよ!1たす1はなーんだ!?』

えぇ。。さん:『えぇ。。』

息子:『ちがうって!英語の問題じゃないんだってば!』

 

マクドナルドでも、ある諜報機関の調べによるとこんな感じらしい。

店員さん:『バリューセット、AとBがございますがどちらにされますか?』

えぇ。。さん:『えぇ。。』

店員さん:『かしこまりました。Aですね。プラス100円でドリンクをLサイズに出来ますがいかがですか?』

えぇ。。さん:『えぇ。。』

店員さん:『ありがとうございます。おまけにもう一つバリューセットいかがですか?』

えぇ。。さん:『えぇ。。』

営業の人は、えぇ。。さんのところに練習にいくといい。きっとなんでも買ってくれる。

 

こんな感じで、いつも丁寧で礼儀正しく、冷静沈着なえぇ。。さんが取り乱している。アイアンマンと双璧を成す距離を走るバラモンキングでは、色々なことが起きる。

キレるえぇ。。さんに辟易していたら、元帥が通りかかった。

IMG_0752

僕は元帥を呼び止めてえぇ。。さんの情緒の安定化を図り、自分はいそいそと出発することにした。トラブルだ睡眠だでかれこれ計30分以上も休んでしまっている。6時間半が目標と言ったのはどこのどいつだ。

 

ラスト40kmは腰の痛みも和らぎ、眠気もどこかへ行ってしまい、まこと楽しいバイク旅であった。とにかくこのバイクパートが最も波乱に満ちている。気合いや根性ではいかんともしがたいトラブルが起きる。バイクさえ終えることが出来れば、あとは気合いと根性でなんとでもなる。

180kmの旅が終わることに一抹の寂しさを感じながら、しかし迫るゴールへの期待感が徐々に高まっていき、だんだん楽しくなっていった。

結局、パンク+チェーントラブル+眠気+腰の痛み+ストレッチスリープで目標の6時間半を大幅に越える7時間36分でバイクフィニッシュ。厳密にはスイム→バイクのトランジション5分とバイク→ランのトランジション10分が含まれているが、それにしても目標タイムを大幅にオーバーしてしまった。

民度が低いのはいいが、練度が低いのはよくない。

バイクのラスト数kmは、街の応援の方々とふれあうことが出来て嬉しかった。

『おかえりなさーい!』の声の連続で、目にゴミが入る。本当にありがとう、五島の皆さん。

バイクゴールのときは、スタッフの学生さんが僕のバイクを引き取ってくれた。こんなところにも、小さな感謝の気持ちが湧いてくる。

さぁ、次はランだ。残りはちょうど6時間。むむむ、微妙!!!

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

バラモンキング2015完走記⑦ 〜トラブルだらけのトラ舞竜〜 #650


2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
バイクパートがスタートし、緻密な戦略とともに、序盤はなかなかのスタートを切れたように思った。そこに現れた昨年のBタイプチャンピオン戸原選手。流川を追う桜木花道のごとく猛追した(10秒だけ)僕だったが、しかしその挑戦に待ったをかけたのは、あろうことかパンクであった。。。

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