僕は今の仕事に移って9年目。社会人最初の就職は、いわゆる『外資系IT』でした。ナウい?去ってしばらく経ったいまでも最高の会社だと思っています。そのときの思い出が、今ようやく意味を持ってきた気がします。
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『P1』に対する日米の解釈の違いと、使えないアメリカ人

僕のいた会社では、顧客に納めている製品の開発元がUSのため、何か機器のトラブルがあれば全て米国本社に送って解析をしていました。
(先輩のみそっかすで)担当させていただいていたのが、全社でも見ても重要な、泣く子も黙る超巨大企業だったため、機器トラブルは最優先で解決せねばなりません。そうでないと、今後の案件が全て吹き飛ぶ。その前に、そもそも超巨大企業ゆえに先方のIT部門も超厳しい。。
ある時期、大変申し訳ないことに、機器トラブルが多発したことがありました。
僕たちのチームはお客さんに罵倒されながら、同じ勢いでUSの開発チームに解析を要求してました。曰く、
『全てP1で処理しろ!!!』
『P1』とは、Priority1の略で、Pは1〜5まであるなかの最上位。最優先です。
P5は『いずれなんとかしてね?』
P4は『早めになんとかしてね?』
P3は『早くなんとかしてくれ。』
P2は『早くなんとかしろ!』
P1は『なんとしても今すぐなんとかしろ!!!!!』
大体日本語にすればこんな感じの意味になります。
『機器トラブル?はぁ?そんなの起こらないのが当たり前じゃん。直せないなら他の会社に丸ごと代えるよ?』というヤクザなお客さんだったため、大きな問題から小さな問題まで僕たちのチームはP1での対応を要請していたのです。
P3ぐらいまでであれば、USの対応は非常にゆっくりしたものになります。まぁポテチでも食べながら、暇なときに対応するんでしょう。ところがP1になると、あちらも大騒ぎ。処理できないと、彼ら本国のエンジニアの査定にも響きます。
僕たちにとっては最優先のお客さんの最優先の要請で最優先の解析をお願いしてるわけですので、全てP1にて上げてました。が、USから帰ってきた答えは、
『どれがほんとのP1だ!全部P1だなんてやってられん!』
僕たちは返します。
『ふざけるな!お客さん自体がP1みたいなお客なんだ!さっさと取り組め!』
USエンジニアは返しました。
『もう担当は家に帰ったよ。ま、上げられた案件は明日か明後日までにやるからさ。』
僕たちは怒りとともに返しました。
『ふざケンジ!!!お客さんは待ってる!俺たちも待機してる!夜通しでもやれ!それがP1だ!』
なんて使えないヤツらだと思ったやり取りが続いてしばらくして、『彼らUSエンジニアがP1と判断したもの』についての解析が、次の日出てきたのでした。
 

USエンジニアは正しかった

タイムマネジメントの世界で必ず出てくる図が、こちら。
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(Source:Talkles.com)
▼第1象限は最優先です。必ずやりましょう。
▼第2象限を制することが人生を制することです。先に予定に入れましょう。
▼第3象限は緊急なだけです。第1と第2を済ませてからにしましょう。
▼第4象限は無駄です。いますぐやめましょう。
おお!そうか!第1は仕方ないとして、第2象限が大事なのか!!!そうかそうか!!!第2をやろう!第3と第4を抑えるかやめるかしよう!!!
・・・と思ったとして、実はそれだけでは不十分なの、ご存知でしたでしょうか。はっきり言ってそれだけでは片手落ちです。この図をきちんと理解するには、実はもう一歩思考を進める必要があります。
通常、このように書いて、第4象限を第1象限より優先しようとする人はあまりいません。きちんと第1〜第4が分かれているなら、それを順番に優先順位付けられるぐらいの優秀さは、人間は皆持っています。
が、ほとんどの人はそれが出来ていない。気づけば第1や第2だけではなく、第3や第4に手を出し、時間を取られ、お金を注いでしまっている。それはなぜか。
それは、

全ての出来事はP1の仮面を被ってやってくるから

なのではないかと最近思います。
時間に厳しい人が、ちょっと遅れただけの相手を罵倒して、『時間=その人にとってのP1』を『相手との人間関係=同じく本来は時間以上にP1』に優先させてしまう。
お金に厳しい人が、ちょっとお釣りを間違えただけの店員さんに、『お金=その人にとってのP1』を、『お店の落ち着いた雰囲気=自分を含めた多くの人にとってのP1』に優先させてしまう。
パチンコという第4象限をやってしまう人にとっては、その瞬間はパチンコこそがP1なのです。
 
このことを考えるようになってから、僕は約10年前の『使えないUSエンジニア』が、正しいことを言っていたということにやっと気づきました。彼はごく当たり前のことを言っていたのです。

10個のP1のうち、本当のP1と、P2やP3に格下げしても良いP1があるはずだ

たぶんそんなことを言っていたのでしょう。そのとーりでした。当時は、僕だけでなく、本部長や役員まで巻き込んでその主張をぶっつぶしてしまったわけですが。。(コチラ側のお偉方は、気性が荒い方が多かったため・・)
そう考えると、大統領や首相、そして企業の社長がいかに大変な仕事かというのが、よく分かります。彼らのところには、P1であり、緊急かつ重要なことしか情報が上がりません。その中で本当に今すぐ取り組むべきこと、劣後させるべきことをより分けるのが、国を束ねるリーダーの仕事なのです。
今回のイスラム国の問題でも、大変な決断を安倍首相は強いられたと思います。身代金を払って今後のリスクを増大させるか、交渉をせずに人質を見殺しにするか。こんなの、どちらもP1過ぎて選べるわけないじゃないですか。
それを選ぶのが今回の安倍首相の仕事だったということです。
そして平々凡々に暮らす僕たちも、分かりきった優先順位を分かりきったように付けるのであればまだ簡単なのですが、全部P1にしか見えない、全部緊急で重要なものにしか見えないなかから、本当に着手すべきものを見いだす能力をこそ、身につけるべきなんです。
生きていて出逢う意思決定は、P1フェスティバルなのです。
 
 
 
 
 
 
 
 

好きなアイスカフェオレを飲んでOPPにいそしむべきか、好きなアイスカフェオレを飲まずにOPPから解放されるか、いつも僕は悩んでいます。

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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

 

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