経営者がかなり優先順位を上げて囲碁に取り組むべき8つの理由 #569


 

『半年で囲碁アマ五段』プロジェクト、順調に進行中であります。もとはと言えば『半年で初段になりたい』ぐらいに言っていたものを、師匠から

師匠:『貴様、それでいいのか?』

僕:『じゃあ半年で三段にします。』

師匠:『もう一度聞く。貴様、それでいいのか?』

僕:『じゃ、じゃあ半年で五段にします。』

師匠:『まぁよしとするか。本当は七段にしたいのだが。よきにはからえ。』

僕:『御意。』

といった自主的極まりない流れで五段になってしまったのですが、やればやるほどこれは『経営者がかなり優先順位を上げて取り組むべき必須教科』として秀逸だなと思います。お前経営者じゃないだろ!というツッコミを甘受しながら、『経営者が囲碁をやるべき理由』についてまとめておきます。

毎度のことながら、自分がハマりつつあるものを強制的にシェアしたくなるのがあだず。ちなみに僕は半サラリーマン、半事業主のため、経営者脳が必要なのですわ。

Go_board

 

経営者が囲碁をやるべき理由 その1:政治、戦略、戦術のすべてを学べる

囲碁は基本的に地(縄張り)の囲い合いで勝負が決まります。その実現手段として相手の石を取るという戦闘行為があります。将棋のように、相手の王将を倒したら相手が全滅!ということではありません。古来の戦いでは大将を倒せば即ちそれは勝ちと等価でしたが、現実には誰か一人を倒せば終わる戦いというのは、この現代の世はにありません。対アルカイダしかり、イスラム国しかり。

勝つは勝つにしても、相手に対する一定の譲歩や寛恕の心が必要になるのが現実世界であり、また囲碁の世界で実現すべき勝利の形でもあります。戦いは必須ではなく、戦わずに勝つということを目指した政治行為から、具体的な戦いである戦略、戦術に至るまで、幅広く短時間に実技として学ぶことが出来るのが囲碁です。

孫氏の兵法で『彼を知り己を知れば百戦危うからず』という言葉を知っていても、実際のところは百戦とも危うい場合が多いので、実際に戦争が出来ない世の中でどうこの手の能力を鍛え上げるかが、必須となってきていると思います。

 

 

経営者が囲碁をやるべき理由 その2:意思決定の練習が出来る

経営者の唯一にして最大の仕事は『意思決定』です。これがいかに難しいかは、数字をこねくり回すCFOよりも、技術を統括するCTOよりも、経営者(CEO)という職種の方が高い報酬を得ていることからも伺えます。オールを漕ぐのは船員に、舵を切るのは士官に任せることが出来たとしても、船をどちらの方にどのようなスピードで進めるかは船長しか決めることが出来ないのです。

ただ、この意思決定。能力として向上させるには、あまりに定性的です。間違いなく言えるのは、僕のような雑兵が意思決定を間違えても大した影響はありませんが、経営者が意思決定を間違えれば、ヘタをすると多くの人が路頭に迷うことになるであろうということです。

だからこそ意思決定能力を引き上げる必要があるのですが、じゃあそれを仕事でトライ&エラーで身につければよいかというと、そうもいきません。トライはいいけれど、エラーでは間違いなく損失が発生するからです。そんなに余裕のある企業ばかりではありません。

その点、囲碁では何の損失も発生させることなく、意思決定能力を向上させることができます。一つ一つの碁石をどこに置くべきか?地を取りにいくべきか、相手の石を取るべきか?この味方は救うべきか?敢えて殺すべきか?戦術的劣勢を戦略的優勢にどの時点でもっていくか?

まんま仕事に活かせるとは言いませんが、100必要な意思決定能力を、0〜80ぐらいまでは高めることが出来るのではないかと感覚的に思います。

 

 

経営者が囲碁をやるべき理由 その3:戦略的勝利と戦術的勝利の違いが分かる

その2でも少し書きましたが、戦略的勝利と戦術的勝利は別物です。戦術的勝利を積み重ねていっても、戦略的勝利に結びつけることはできません。いくらドリブルが上手くてサイドで抜きまくったとしても、人数を集められて端に追いつめられてしまっては、最終的にはボールを取られておしまいです。

昔、大好きだったテニス選手のピートサンプラスと、アンドレアガシの試合で、サンプラスが試合には勝ったのですが総獲得ポイントはアガシの方が20ポイントぐらい上だったことがありました。勝負に勝ったのはアガシで、試合に勝ったのはサンプラスでした。サンプラスは絶対に外してはいけないポイントを取り、戦略的勝利につなげたと言えると思います。

現代の戦いは百戦百勝とはなかなかいきません。上記のサンプラスでも、ポイント数では負けてたりします。あのフェデラーでさえ、相手のサービスゲームをブレイクできることは1セットに1回チャンスがあるかないかぐらいのもの。51勝対49敗でも勝ちは勝ちです。

それ以外では、手を抜くわけでは決してないけれども、戦術的勝利のうちのいくつかは最終的には譲る必要がでてきます。要は最後に勝てば良いのです。

囲碁ではこういった局面が面白いほど出てきます。僕自身、目の前のエサに食いついて大事なモノ(=地や石)を失ったことは、このたった4ヶ月の囲碁人生でも数えきれないほどあります。

と、こういったことは文章で書けば当たり前の話なのですが、現実世界で戦略的勝利と戦術的勝利がごっちゃになることは結構頻繁に起きます。そのためのオフサイトトレーニングが囲碁なんどす。

 

 

経営者が囲碁をやるべき理由 その4:正解の手を打つ<打った手を正解にする思考が身に付く

意思決定が大事だというものの、その意思決定で毎回毎回正解を導きだせる人というのは、一部の天才を除いてあまりいないと思います。それは優秀な経営者でも根本的には一緒。なかなか完璧になどなれません。

となると、10個の手を打って5個が正解した場合、残りの5個は不正解で良いのか、という問題が浮かび上がります。勿論ノー。不正解ですら、正解にもっていくような強引さ、我田引水さ、狡猾さ、着地力というのが求められます。

囲碁では、相手がいる以上、ずーーーーーーと考えて考え抜いた至極の一手を打つ、ということができません。そんなことばっかりやっていたら、時間切れで無条件負けになります。拙速は巧遅に勝る、と言いますが、手を打ってる分だけ、ヘタクソでも評価されるのが盤上の戦いです。

すると、基本的には一手数十秒程度で打たなければなりません。戦場の指揮官のごとく、情報が全て集まらないなか、状況が流動的ななか。そんななかで打つ手というのは、正解の至近距離にあるものばかりではありません。なかには『あちゃー!』という手もあります。

囲碁が強い人ほど、正解の手を打つのもそうですが、打った手(打ってしまった手)を正解に近づけることがとても上手です。端から見れば計算しつくしてそこに打ったように見えても、よくよく本人に聞いてみると、犯したミスの傷口が広がらないように取り繕っていたら、予想外に良い方向に向かった、てなことが頻繁に怒ります。

こういった能力や思考方法も、仕事の現場だけで鍛えるにはあまりにリスキーなので、盤上で鍛えておきましょう。経営者が『あちゃー!』とか言ってたら、社員さんは不安以外のものを感じません。

 

 

経営者が囲碁をやるべき理由 その5:損切り力が身に付く

『資産運用のコツはなんですか?』『資産運用しないことです。』なんていうジョークがあります。資産は増やすより減らさないことの方が難しいということでもあり、恐らくはそれだけ多くの人が損を損を認められずに、損を拡大させてしまっていることの証左であろうと思います。

経営者にとって一番シビアな意思決定の一つが、『どの味方を殺すか?』、『味方をいかに効率よく殺すか?』というもの。ここで言う『味方を殺す』とは、それが不採算事業からの撤退であったり、最悪従業員の方の解雇になるわけですが、その一番シビアな意思決定を出来ないと、場合によっては船全体が沈むことになります。

こんな決断、誰もしたくないでしょうし、上手になりたいとも思わないでしょう。でも現実には、そういう意思決定が否が応でも必要になるのが経営者という職業です。『意思決定が経営者の仕事』と言われているのは、すなわち人間にとって最も難しい作業をこそ、トップがしなければいけないということなのでしょう。

自分がある程度労力をかけて築き上げてきたもの、大切にしているものを、全体の勝利のために捨てられるか、切れるかどうか。これは、毎度の囲碁の対局で問われる命題でもあります。

当初『地』に出来ると思っていたところが相手に荒らされたら、そこに拘泥せずにその戦線を離脱して他のエリアに攻め込めるか、それともそこでもがいた挙げ句、活路を見いだせずに泥沼に足を踏み入れてしまうのか。『相手に石を取られる』ということが屈辱な囲碁において、それを5子(個)も6子も取られることを承知で見捨てることが出来るか。

こういった意思決定は、論理ではなく神経レベルで身に付いていないと、徹底できません。僕が衝動買いしたお菓子を、味が合わないと感じるや捨てることができるのは、神経レベルでダイエットが身に付いているからです。(成功率1%ぐらい)

 

(特に2代目以降の)経営者が囲碁をやるべき理由 その6:親父越えまでの道のりが近くなる

多くの2代目経営者に突きつけられる問題が一つあります。それは、

動物の親父にどう人間として勝つか?

というもの。失礼を承知で言うと、企業をゼロから一定規模以上に育て上げた経営者というのは、大体が人間ではなく動物です。

動物的なカン、動物的な体力、動物的な危機察知能力、動物的な嗅覚、動物的なモチベーション。例えばモチベーションで言えば、『は?倒れるまで働くのなんて当たり前やろ?』と、ブラック企業が大喜びしそうなことを平気で言いますし、自己にそれを徹底しますし、ヘタすると人にも要請します。

彼らは人間ではないので、これを真似することはなかなか難しいというのが現状です。動物は『感覚』で動くからです。そして多くの場合、そういった動物からは至極まともな人間が生まれます。人間として生まれた2代目経営者は、動物たる親父との厳然たる差を少しでも詰めるために、会計を習ったりMBAを取ったり、華やかな経歴でそれに充てようとします。

実際それで上手くいく場合もありますが、勿論そうではない場合も多数あります。最後の最後は動物の持つ『感覚』をどう身につけるか、それが親父越え(狭い意味での勝ち負けではなく、企業をより発展させることができるかという意味で)を果たせるかどうかの分水嶺になります。論理ではなく、勝利に直結する感覚を研ぎすますということをしないと、親父越えはままなりません。

ので、経営とは乱暴にいってしまえば研ぎすまされた感覚によるアウトプットの集合体であり、その感覚を論理でなくまさに感覚として覚え習得するために、以上にあげてきたような部分において囲碁が適当だと僕は思うわけです。

 

まだまだあるんですが疲れたのでこのへんで。またいずれどこかで!ちなみにサラリーマン諸氏は囲碁をやると巷で流行りの『経営者思考』が身に付くと思いますのでオススメです。

あと2つですか?

7:面白いから

8:『囲碁が趣味』とか言うとなんか人間としてまともそうだから。ネット企業の経営者たちは囲碁やったら社会的信用上がるかも。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!