2015年6月14日、スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km、制限時間15時間の五島長崎国際トライアスロン(通称バラモンキング)を完走しました!スイム1時間28分、バイク7時間36分、ラン5時間24分でトータル14時間29分31秒でゴール。褒められたタイムではありませんが、毎度のことながらトラブルの山を乗り越えての完走なのでよし。今回も赤裸々にお届けします。

(あらすじ)
『疲れたときこそリズミカル!!!』桜木花道の1週間2万本ジャンプシュート合宿を彷彿とさせるようなリズミカルさで、淡々と距離を踏む最強コンビ、僕とえぇ。。さん。一撃必倒のトラブルをいくつも乗り越え、残りは10kmに迫ろうとしていた。。

(登場人物)
元帥:『ポセイドン』の太祖。太すぎる太ももを持ち、色黒で繊細で計算が苦手。1期生。
仙人:坊主、ヒゲ、ノースリーブと、新宿二丁目ルックなウルトラランナー。40時間ぐらい走れる。1期生
スリムえぇ。。さん:フリーザ様第三形態に似ている。最近キャラが崩れている。いつも返事は『えぇ。。』2期生。
みよっしー:バイクが速く、笑顔が可愛く、奥さんが武道の達人。2期生。
ザック:ピンチになるとバルログのような悲鳴をあげる。ランはサブ3.5。2期生。

登場人物概要詳細はこちら

ラン42.2km 5時間25分である意味自己ベスト!!! 終編

もうすぐ最後の折り返し。間もなく残り10kmだ!と思った頃。前方に騒がしい集団がいた。もう日は完全に落ちていて、姿はよく見えないが結構な人数が集まって太鼓だなんだと、応援してくれているのが分かる。
『ありがとうございます!』と叫びながら近づくと、その中の代表と思われるおばちゃんが、

『あ、へんなお〜ばさん、た〜らへんなお〜ばさん』

と大声でカマしてくれた。応援の志村けんのギャグを、精一杯アレンジしてくれたようだ。こんな疲れている僕たちを、少しでも笑わせて元気にさせようとしてくれている。
僕はゆらりと近づき、返答した。

『あ、へんなお〜じさん、た〜らへんなお〜じさん』

もちろんアクションつきである。往年の志村けんにすら、負けたとは思っていない。全身がきしむ。『へんなお〜じさん』のところで手を伸ばしてカカトを立てると、攣りそうになる。しかし残り少ない体力を総動員して、この神住民の人たちに応えた。
そしたらおばちゃんは『スゴーい!』とハグしてきて、そしてなぜかどさくさに紛れて僕の股間を握りしめた。僕の返答がスゴかったのか、僕のラムズフェルドがスゴかったのかは聞けなかった。
体力を極限まで温存しようとしていたえぇ。。さんは、少しびっくりした様子で、全力でおばちゃんたちに立ち向かう僕を見ていた。
僕は言った。『ああいう最後まで応援してくれてる人たちに全力で返すと、なぜかパワーもらえるんですよ。』
えぇ。。さんはまたこくりとうなづいた。『フリーザ様!ベジータめがナメック星に到着した模様です』とアプールさんに報告を受けたときにこくりとうなづくフリーザ様にウリ四つだった。
 
 
いよいよ最後の折り返し。えぇ。。さんが最初のアラートを上げる。
『安西先生、お、おなかが・・いたいです・・』
えぇ。。さんも人間だった。そして著しく衰弱していた。胃も腸も、そして肛門も限界のようだった。ここでサヨナラか。そう思っていたら、えぇ。。さんが折り返し地点のトイレに向かうどころか、まだ僕に並走してくる。
『押し出しません!勝つまでは!!!』
普段から緻密な計算をしているとは思っていたが、見事なアナ◯コントロール。見事なアナリストだ。
 
ここで、えぇ。。さんに提案した。『みよっしーを捉えましょう!』差はまだ結構あるが、僕たちは極めて良いペースで走れている。恐らくこのランで最もペースが上がっている。今こそ、次なる目標に向けて発進するときだ。少し先をいくみよっしーに追いつけたら、良いタイムで上がれるかもしれない。
僕たちは最後の作戦、『感謝感激雨嵐作戦』を実行した。
もう暗くてまともに顔も見えない、しかし夜8時半を回ってなお、応援してくれている人たちがいる。じいちゃん、ばあちゃん、お父さん、お母さん、そしてうちの娘とそう変わらない小さな子どもまで、まだまだ応援してくれている。エイドの人たちは、何百回と同じ作業を繰り返してきてなお、死にそうな僕たちのために飲み物やスープを用意してくれている。
最後の折り返しを過ぎた今、もうこの人たちに会えるのはこれで最後になる。僕とえぇ。。さんは、出来る限りの力を込めて、出来る限り多くの人に、感謝感激雨嵐作戦をぶちかました。

『遅くまでありがとうございました!必ずゴールします!』

『1日本当にありがとうございました!また必ず五島に来ます!』

『五島最高!!!』

半分ぐらい泣きながら、僕はすべての人に向けて叫んでいた。ラスト10kmは御礼しかしていなかった。闇夜に、僕とえぇ。。さんの声が溢れていた。同じぐらい大きな声で、みんなが応援してくれていた。僕は、感謝感激雨嵐作戦をしながら、少し泣いていた。
応援に対する感謝の反射で素晴らしいエネルギーをもらった僕たちは、恐らくこのレースのなかでもっとも理想とするペースに近い速度で進んでいた。あと少しで終わってしまう。あと少しでゴールになる。
嬉しさと寂しさが交互に顔を出しながら、しかし限界はひたひたと迫っていた。
残り5km。突然、僕は止まってしまった。急に走れなくなってしまった。なぜだか分からない。いや、分かりきっているが、つまりは限界だったのだ。応援してくれてる人にも、視界に入っている間だけ感謝の言葉を投げる、そんな情けない状態になってしまった。
ヤバい!
僕はもう補給食を持っていなかった。吸収の良いジェル類はぜんぶ使ってしまっていた。そしたらえぇ。。さんがすっとジェルを取り出し、一言。

『ジェルならありますよ?ドドリアさん』

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これに救われた。ジェルは吸収が速い。3分で生き返った。またわずかなエネルギーボンベを手に入れて、僕は走り始めることができた。
 
 
聖闘士星矢(奇しくも海王ポセイドン編!!)の曲を音量全開でかけている頃だった。


見覚えのある背中が。見覚えのあるポセイドンウェアが。

みよっしーだ!!!

10km地点での宣言通り、みよっしーに追いつくことができた。じん帯断裂の経験もあるみよっしーはツラそうだったが、持ち前のさわやか過ぎる笑顔で僕たちを見送ってくれた。もう、僕たちと並走する力は残されていないみたいだった。
このときのことは、みよっしーが回想している。普段飄々としているし、レース中でもそうなので全く気づかなかったが、後ろから迫る僕たちを意識して力に代えていてくれたようだ。そして、聖闘士星矢の曲全開で近づく輩とは、実は他人のフリをしたがっていたようだった。
 
みよっしーをパスするとき、ふと彼がなぜこの場所にいるのか、出逢った頃のことを思い出していた。それは、ふとしたきっかけだった。
初めて勉強会でみよっしーと出逢って名刺交換をしたとき、僕は彼の会社の名前を『トライアスロン』と読み間違えてしまった。正確には『トラ◯ス◯ロン』という名前なのだけれど、当時アイアンマン明けでトライアスロンの布教活動をしていた僕が引っかかったのも無理はない。
『トライアスロンみたいな名前の会社ですね。じゃあやりますか!?』と僕は言った。
『そうですね。じゃあやりますか。。』とみよっしーは言った。
『(軽く返事するなんて)コイツはバカなのか?』と僕は思った。
『(誘い方がロジカル過ぎて)この人はバカなのか?』とみよっしーは思っていたはず。
大体こういうノリで誘って、ノってくる人間の9割は、本当にはやらない。今まで行ったことのない場所にたどり着くためにはノリの力を活用するしかないのに、ノッたときの勢いではなく冷静になったときの判断(という名の過去の常識)で物事を決めてしまう。結果、今までと変わらない日常が待っている。
みよっしーは違った。ノリで決めて、古傷があるのでまともに走れないくせに、トライアスロン参加を決めてしまった。いつの間にか、バラモンキングにも申し込んでいた。そして、『練習してまっせ臭』を出しまくる僕とは違い、誰にも言わず淡々と、ただ愚直に練習を積み重ねていた。
デビュー戦では誰よりもバイクが速かったし、今回も恐らくは一番だった。(バイクを漕がずとも宙に浮ける仙人は除く)本当にスゴい。最後は古傷がオーバーラップしてしまって苦しそうだったが、素直に尊敬した。そういえば奥さんは武道家らしく、毎日夜に三角締めを食らっているらしいのだが、それでもいつも飄々としている点も尊敬している。
みよっしー、先に行って待ってるぜ。
 
 
残り2km。今度はえぇ。。さんが止まった。原因はシンプルだ。限界。エイドはすぐそこだ。僕はえぇ。。さんに言った。
『今から補給しても吸収出来ない。タイムが遅くなるだけ。最低限の水分を含んだらすぐパスしてください。』
限界を迎えている相手にかける言葉ではなかったかもしれないが、ひとつの指標である14時間半切りがかかっていた。僕はえぇ。。さんが少しでも速いタイムでゴールすることを切望していることを知っていたので、えぇ。。さんの目標に現実を無理矢理すりあわせることを要求した。
えぇ。。さんはツラそうな顔をしながら、こくりとうなづいた。ギニュー特戦隊が到着したときのギニュー隊長の『喜びのダンス』を断ったときフリーザ様のような苦い顔だった。
 
ここまで来たら、えぇ。。さんを引きずってでもゴールまで連れていく。そして、必ず2人でゴールする。遅れつつあるえぇ。。さんを怒鳴り散らしながら、少しずつ進んでいく。相談の結果、ゴールは重量級の僕が軽量級のえぇ。。さんを担いでゴールすることになっていた。しかしえぇ。。さんは言った。IT業界のエンジニアらしい、極めてロジカルで緻密な説明だ。
『お腹と肛門の調子が悪く、肩車されると99.9999%(業界では稼働率シックスナインが最低ラインとされる。エロい方じゃなくて。)の確率でエイナルがバーストします。いいんですか?』
客観的なデータを提示し、最後に顧客に決断を求めるあたりはさすが凄腕エンジニア。僕はしばし考えた末、
『やはり、かぶることは出来ません。』
と固辞することにした。僕にだって、守りたい尊厳みたいなものはある。
 
ラスト1km。街に戻ってきて少しずつ明るくなっていく。顔が見える人には全員、感謝感激雨嵐作戦で叫び続けた。応援の人、エイドの人に感謝の言葉を、そして交通整理を完璧にこなしてくれた警察官の方々に敬礼をし続けた。
ゴールまであと300m。

『羅王!!!えぇ。。さん!!!』

ザックがいた。
勇気あるスイム2周目にトライし、バイク110km地点で惜しくも20秒差で関門に引っかかってしまった漢ザック。この日一番の勇者は間違いなくヤツだ。
ザックは、ラスト数百mを並走してくれた。自分の悔しさを微塵も見せず、ただただ笑顔で。もうナメくさったナメック星人の顔ではなかった。
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写真をいくつか撮ってくれたが、全部ブレていた。ブレているせいか、えぇ。。さんが僕の半分ぐらいしかない。
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夢にまで見たゴールゲートが見えてきた。あと100m。ザックはここで離れた。一緒にゴールしたかったが、ゴールテープは自分が完走したときに切ると決めていたらしい。漢だザック。もう、ナメた顔からはおさらばだな。
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ゴール前には、数百人の人たちが、ゲートを囲むようにして待ってくれていた。
『おかえりなさい!』
『ナイスラン!』
『かっこいいぞー!』
一つ一つが涙が出そうなほど嬉しい。ありがとう!ありがとう!
全てはこの瞬間のためだった。トラブルまみれで一時はどうなることかと思われたレースも、残すところあと20m。本当にツラかった。本当に苦しかった。でも、最高だった。ありがとう五島の皆さん、ありがとう五島、ありがとう、ありがとうポセイドンのみんな、ありがとうバラモンキング。
そしてついに・・・
 

ゴール!!!

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14時間29分31秒の戦いが終わった。余談だけれど、同時にゴールしたはずのえぇ。。さんはなぜか僕より3秒速かった。えぇ。。さんとは、戦友になった。
***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

 

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