2010/05/03
ラグビー日本代表、今期W杯2勝目、おめでとう!ネプチューンマンみたいなのしかいないサモアに完勝し、『日本は強くなった』と改めて世界中に知らしめた。
僕は南アフリカに勝利するまで、ずっとラグビーに興味がなかった。ラグビー慶早戦にすら一回も行ったことがない。テレビで見てもチャンネルを変えるだけだった。会社にラガーマンがいるにはいるのだけれど、彼の話はラガーマンにあるまじき長さなので、いつも華麗にスルーしているだけだった。
が、南アフリカ、サモアと勝ちを重ねるに至り、過去にサッカー界に起きたようなブレークスルーの匂いを感じはじめてきたので、最近は目下ラグビーについて調べまくってる。世界最強『オールブラックス』の『ハカ』についても、もう20回ぐらいyoutubeで見ただろうか。
4年前のW杯での映像。『世界最強のオールブラックス(=ニュージーランド代表)のハカに萎縮しないように、日本代表はウィンドブレイカーを着ています。』とのことだが、着込んでる時点で萎縮しまくりだし、心無しか全員涙目に見える。
きっとこのときは、オールブラックスとタメを張る実績を持つ南アフリカ代表に勝つなどと、チームの誰も想像だにしていなかったのだろうと勝手に推測する。
が、今回日本は勝った。最初の1勝を挙げてから2勝目をするのに24年。そして3勝目をするのにそこからわずか10日。世界最強の一角に日本が勝った。『桐谷美玲が吉田沙保里に勝ったみたいなもの!』と形容されている通り、それは世界のスポーツ史に残るほどの快挙だったらしい。
僕は思った。
これで日本は強くなる。
繰り返すけれど、僕はラグビーに関して素人だ。だからほんとのところは分からない。それでも、こういった世界もビジネスの世界も、ある程度は共通した根拠のようなものがあるように思うので、それに沿ってなぜこれから日本代表が強くなるのか?について、触れてみたいと思う。
ラグビー日本代表がこれから強くなる理由
その1:勝利の味を知ったから
最も苦しく報われないものの一つは、『敗北の確定した勝負のために努力する』こと。僕が井上康生に勝つのは不可能で、毛根の息絶えた頭に毛生え薬を塗るのは無為の行いだ。過去の日本代表にとって、世界と戦うラグビーというのは、まさにコレだった。
生まれ持ったパワーが違う、ガタイが違う、スピードが違う。ラグビーは、番狂わせの起きないスポーツだ。様々な理由はあったと思う。そしてその理由の全てが、日本が敗北することは必至という結論に結びつけられていた。ラガーマンというのは、尊敬できる質量の努力を出来る人たちである。しかしそんな彼らでも、南ア戦に勝利するまでは、きっと苦しかったのだろうと思う。
でも、今回彼らは勝った。2勝もした。3勝目も目の前だ。『勝利の味』を知っている人間というのは強い。『やれば出来る、やれば勝てる』ということをカラダで知っている人間というのは、戦いに勝つためのアクションを再現性高く取ることができる。
これは僕の生きる世界でも一緒で、『社長杯』という社内の表彰基準があって、入賞する人は面白いぐらいずっと入賞し続けるし、入賞しない人はこれまた面白いぐらいずっと入賞しない。何が成否を分けているかといえば、それは『入賞する人は勝利の味を知っていて、入賞しない人はそうではない』という点につきると僕は思っている。
だから最初の入賞、1年目での入賞がとても重要になる。どんなラッキーでもいいから1年目に入賞すると、2年目も結構入賞できる。あれよあれよというまに5年10年と、連続で入賞していたりする。1年目にコケると、不思議とその後もずっと入賞しないという人が多い。
勝利というのは、次の勝利のための呼び水になるのである。サッカーW杯でも、ドーハの悲劇などあれほど苦労していけなかったW杯に、いまや出ない方が不思議というぐらいのノリである。勝利の味を知っているというのは、かくも大事なことなのだ。
その2、日本発のグローバルチームで勝った
今回の日本代表は、多くの人が知っている通り『見た目外国人、中身日本人』なメンバーが多く登録されている。ニュースやインタビューを見る限り、母国の代表を捨てない限り日本代表にはなれない彼らの多くは、平和ボケし軟弱化する一方の一般の『日本人』よりもはるかに日本人であり、サムライであると感じている。
彼らと純正日本人をミックスした今回の日本代表は、『戦力的にはグローバル、ルーツは日本』というバランスの難しいフュージョンをこれ以上ないぐらい完璧にやってのけた。これにより世界における日本ラグビー界のプレゼンスが高まり、第二第三のリーチマイケル(主将)のごとく、日本でラグビー代表になるという選択肢が世界のラガーマンの間で現実的なものとして認知されるようになるのではないだろうか。
『日本に住めば代表にはなれるけど、あんだけ弱いとちょっと・・・』と、ワールドクラスのラガーマンたちにとって日本代表は自身のキャリアの選択肢にこれまで入りづらかったのかもしれない。今回の快挙で、『日本やるやん』と思ったラガーマンの一定割合は、日本を選択肢にいれることに抵抗がなくなったのではないかと思う。
その3、スター誕生、五郎丸!
今回のラグビー関係者が喜ぶべきは、ラグビーそのものにスポットライトが当たったことに留まらない。注目すべきは、『五郎丸なるスターが誕生した』こと。これがホントにデカい。
例えばビジネスの世界。マイクロソフトにしても、アップルにしても、『ウィンドウズ95』や『iPod』というスター商品が出たことで、『マイクロソフト』、『アップル』という会社の存在が大衆に初めて認識された。それまではr両社ともITマニアに対する一定のプレゼンスしかなかった。
ラグビーも状況は似ている。もともと、一部のマニアかつ熱狂的なファンがいただけで、大衆に訴えかけるものが残念ながら日本ラグビーには不足していた。平尾誠二は古過ぎるし、大畑大介は筋肉番付でしか見ない。
しかし今回、五郎丸なるスターが誕生した。ラグビーと言えば五郎丸!五郎丸と言えばラグビー!
突出した個人が出現すると、ITで商品から会社が認知されるようになったのと同様、そのスポーツが認知され始める。卓球は福原愛ちゃんが有名にしたし、バドミントンはオグシオ(僕は潮田さんが大好き)で有名になった。ハンマー投げは室伏広治がいなかったら、ただの野蛮な競技と見られていたことだろう。
これから五郎丸始め日本代表の面々は、ニュース番組やジャンクスポーツやバラエティなど、様々な方面に出てくることと思う。メジャーなスポーツというのは、こういうふうにメジャー化していく。
その4、スターの決めポーズが誕生!
スターの誕生とともに、忘れちゃいけないのがその分かりやすいキャラクター。トークなのか、見た目なのか、必殺ワザなのか。
そのどれでもいいのだけれど、今回『五郎丸ポーズ』なるものが一挙に注目を集めるに至った。
これはキックという絶対的な得点のチャンスにおいて、精神を集中するために本人が考案したものらしいのだけど、こういうのはとてもイイ。子どもが真似する。おっさんも真似する。たぶんメチャイケでナインティナインの岡村さんが真似る。ジャンクスポーツでも浜田さんに『あれ、単なる浣腸やんけ!』とイジられることだろう。
子どもは、特にこういう真似しやすいキャラがいるスポーツを好む。結果、競技人口が広がっていく。次のW杯とは言わないが、次の次、次の次の次あたりから、今回の勝利でラグビーを始めたという子どもらが、代表の中心になっていくのではないだろうか。
その5、ラグビーが盛んになる!
前述の通り、スター選手、そしてその分かりやすく真似しやすいポーズが出たことで、ラグビー人気は否応にも高まるものと思う。そして競技の世界において、人気が出て競技人口が増えるということは、強くなるということとほぼイコールになっている。
ぶっちゃけた話、日本において身体能力がトップクラスの人間は、今であればサッカーか野球にいく傾向にある。ラグビーや空手にはいかない。前者はモテとお金の実入りが相対的に確定しており、親としても将来の可能性に賭ける余地があるからだ。子どもを『ラグビー選手にしたい!』という人間は、自分がラガーマンじゃない限りあまりいないはずだ。
たまに室伏みたいなフィジカルモンスターが全然人気のないハンマー投げとかにいくケースもあるけども、あるいは筋肉番付に優勝する人間がEXILEにいることもあるけども、基本的には身体能力の高い人間というのは、既に人気のあるスポーツに上から取られていく。
ラグビーが人気になると、まず競技人口が増える。そして増えた分以上に、トップクラスのアスリートの流入が見込めるようになる。結果、ラグビー日本代表はこれから数十年で劇的に強くなる。
なんてことを僕は思っている。
決勝トーナメント進出に向けて、ゴーゴーエディジャパン!
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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。
退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!
我が人生に一片の悔いなし!!!