リーダーはスロースクワットの練習をしておけ! #766


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様々な組織の様々な『リーダー』と接していて、大変僭越ながら常々思っていることがある。

このリーダー、スクワット出来てないなぁ。

と。

こういうリーダーの話を聞いているメンバーたちは、大抵『ポカーン』としている。それでいて、それをリーダーに悟られまいとして必死にうなづいたり、分かったフリをしているのだけれど、心の内部は恐らくメダパニにかかった状態になっている。

『この人、何いってんだ?ぜんぜんわかんねー!』と言いたいが言えない。そんな空気が場を支配し、リーダー1人がそれを分かっていない。むしろ悦に浸っている。そんな光景を、わりとよく目にする。

そして面白いことに、この現象はリーダーが優秀であれば優秀であるほど起きやすかったりする。

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なんのことを言っているか分からないと思うので、一応説明しておく。

リーダーの役目は、目的地を示し、メンバーを鼓舞し、そこに全員の力を総動員して到達できるよう導くことだ。それが会社であれ、軍であれ、サークルのようなものであれ、基本的には変わらない。

例えば『目的地が大阪』だったとする。

『目的地は大阪じゃあ!』と、『キングダム』の麃公将軍ばりにリーダーは言う。

 

このとき、極めて優秀なメンバーAは、

『なるほど、目的地は大阪か。ならここから新幹線で2時間30分で着くな。』と瞬時に経路を特定し、リーダーと同時刻に大阪に着くことが可能。

1つランクの落ちるBは、それでも優秀な部類に入るのでしばし逡巡した後、

『あ、そうか、目的地が大阪で、ここが東京だから、9時発の大阪方面の新幹線に乗っていけば11時半には着くな。』と、リーダーやAから一本遅れぐらいの便で大阪に到着することが出来る。

ところがそれ以外のC〜Jの面々は、『目的地は大阪じゃあ!』と言われても、なんのことか分からない。大阪というのはどこの国なのか?食べ物なのか?どうやったら行けるのか?どういう交通手段があるのか?そんなこともほとんど分からない。それを知っているリーダーとAとBは僕たちとは住む世界が違うバケモノだ、という認識。

結果、リーダーと同様に大阪にたどり着けるのは、極めて優秀なAと結構優秀なBだけ、ということになる。リーダーが目的地しか告げなかったからである。

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リーダーはどうすべきであったか?

答えは非常に簡単なことで、

『目的地は大阪じゃあ!そのためにはここが東京駅だからそこのみどりの窓口で東海道新幹線の切符を買って、博多方面の新幹線に9時に乗って、コストを抑えるために普通席を取って、なるべくトイレにいきやすいように通路側の席にしてもらって、11時半目処に目的地は大阪だけど新大阪って駅で降りる・・・んじゃあ!!!』

とC〜Jにも分かる言葉で話してあげるのが正解。これでC〜Jも、大阪にたどり着くことができる。A、Bだけではなく、メンバー全員で大阪に集うことができる。

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上記はやや極端な例だけれど、結構こういう場面をよく目にする。

リーダーは色々なことをよく分かっている。わずかながら存在する優秀な幾人かのメンバーも、その思考と同期出来ている。しかしその他は、全くついていけてない。

そのようなとき、リーダーがなすべきは、『スロースクワット』だ。メンバーが理解できる高さまで自ら腰を降ろし、メンバーと同じ目線で話をし、彼らが理解できるまでその高さに留まる。大腿筋がプルプルするかもしれない。臀筋が傷むかもしれない。それでも、メンバーに共通認識が生まれるまで、その高さに留まる必要がある。そうして初めて、みんなで腰を上げることができる。

ジャンプ力が優れているリーダーはいる。アジリティが突出しているリーダーもいる。しかし、この『スロースクワットで下界まで降りてきて民の言葉で語る』ことができるリーダーというのは、実はあまり多くはない。

多くは、ジャンプ力やアジリティを鍛えるのと同程度には持久筋を鍛えていないため、ちょっとメンバーの高さまで腰を降ろしたら、すぐに疲れて立ち上がってしまう。本質的でぐぅの音も出ないけどどこか遠い話しか出来ないリーダーというのは、こういうタイプが多い。

少しでもメンバーに分かるように具体事例を交えたり、比喩を用いたりすればぐっと話しが分かりやすくなるのにな、と思う。

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勿論、1万人の組織を率いる社長が末端の社員に、現場で使う鋳造装置の使い方を教えるのが正しいとか、そういうことを言っているわけではない。そういうのは所属長が教えるべきであって、社長の仕事ではない。

トップのメッセージを噛み砕いて伝えるのが、ミドルマネジメントの役割でもある。

しかし、ある組織においてリーダーとメンバーが直接話し合うような間柄の場合、リーダーがよく分からない遠くの話だけをしていて、メンバーはほとんどついていけてないということはよくある。

そういうときは大概、先の事例のようにスクワットがきちんと出来ていない。自分の目線のまま、自分の高さで自分の心地良いように語っているだけ。

『目的地は大阪』と言われて、そのまま理解できる人は良い。でも世の中、そうじゃない人の方がはるかに多い。まず大阪が食べ物のことじゃないというところから説明が必要な人もいる。

筋力不足のメンバーに無理な背伸びを強いるよりも、自分がスクワットしてプルプルする方がはるかに早いし、効率も良いし、メンバーもやる気になるのだと思うのは僕だけだろうか。

スクワットをしてくれないリーダーの話は、正しくて、本質的で、そして面白くない。

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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!