ディズニーランドの一番スゴいと思うところ #774


 

※文章は否定形ですが、素直に褒めてます。魔法の国に対する他意はありません。

皆さんはディズニーランド(シー含む)の一番スゴいころはどこだとお考えだろうか?

IMG_7980

IMG_8091

▼ゴミ一つ落ちてないところが、落ちてたとしても神速でキャストが拾うところがスゴい。

▼キャストの全員が全員、『夢と魔法の国』の一員としてプロフェッショナルなところがスゴい。

▼季節ごとのテーマに応じたパレードの完成度の高さがスゴい。

▼各アトラクションの細部まで作り込まれた技術と見せ方がスゴい。

▼『150分待ち』でもつい並んでしまう、列の長さをあるがままに見せない動線コントロールがスゴい。

▼『夢と魔法の国』の異名のごとく、入り口を入ったときから一切外の世界から遮断されてるところがスゴい。

▼家族連れが楽しい思いをすることができ、来ることが負担にならないように、トイレや授乳室の設置が各所にされている心配りがスゴい。

他にも数えきれないぐらい、ディズニーランドのスゴいところはあることと思う。

先日、長女の誕生日を祝うために久々にディズニーランドに訪れて、上記の点はいずれもスゴいなと改めて感じた。しかし一方、今まで気づかなかったディズニーランドのスゴいところにも、今回気づくこととなった。

誰もが気づいているはずなのに、『夢と魔法の国』のイメージを壊したくないからか、誰も指摘しない不都合な真実。それは、

飯のコスパが絶望的に悪いこと

だ。

そしてこの点を一向に改善する気配を見せないディズニーランドの図太さが、僕はとてつもなくスゴいことであると思うのである。

***

今回、お祝いランチはディズニーホテルのビュッフェを予約した。パスタやハッシュドビーフ、ハンバーグが並び、前菜は十種類以上、ケーキも十種類以上で、食べ始めて1時間もするとお腹ははち切れんばかりになった。

IMG_7979

 

確かに種類は豊富だし、パスタなどは専属のキャスト(と呼ぶのかな、園内だから)の方がよそってくれる。店は清潔で、長女は喜んで食べていた。

IMG_7962

 

演出も素晴らしい。長女が『あしたたんじょうびなの!』と大声で叫ぶと、キャストの方が写真を撮ってプレゼントしてくれた。長女はとても嬉しそうだった。

IMG_7972

 

楽しいひとときを経て、お会計に向かい、提示された値段を見て僕は目を疑った。

9000円也

ん?約1万円?冗談だろ?と僕は思った。時はランチタイム。それなりの店で家族が腹一杯食べても、5000円ぐらいでなんとかなるのが今の日本。僕と奥さんとみそっかすな長女ともっとみそっかすな次女で、計9000円。9000円あれば、トラジで美味しい焼肉をたらふく食べられる。

過去にもこのお店で何度か食事をしていたもののあまり気にしたことはなかったが、生活コストの引き下げを断行している今はとても痛い出費に見える。

勿論、『あー美味かった!』と言える内容ならこういう不満は抱かない。ご飯の満足度はコスパを軸にすべきであり、高いからといって一概に批判するものでもない。

が、『そういえば何食べたっけな?』と食べた直後に思い出そうと努力をしなければならないほど、印象に残らない料理ばかりであった。前菜もメインもデザートも、見た目だけは立派なものの、とりあえず腹一杯にさせればいいや、と割り切ったかのような料理ばかりだった。これで9000円は痛すぎる。

よくよく思い出してみれば、失敗しづらいハッシュドビーフと砂糖をこんもり盛ったケーキ類はまぁまぁだったものの、魚はパサパサだしハンバーグもパサパサだった。

他の食べ処にしても、味は結構好きだがピザ1枚とスープ、ドリンクで2000円近い出費を強いられるディズニーランドの食事は、やはりどこもコスパが最悪。唯一入り口付近にある和食屋は値段も味もまぁ許せる範囲だけれど、それにしても大戸屋の3倍ぐらいはする。

改めて思った。

ディズニーランドの飯のコスパは最悪だ。チャーチルが『最悪だ』と批判した民主主義よりも最悪だ。

***

そういえば昔からディズニーランドは飯のコスパが最悪だった。『不味くて高い』が、『美味しくなくて高い』に少々改善されたものの、根本的なところで僕はこの飯に関する最悪のコスパをディズニーランドが変えようとしているとは全く思っていない。

なぜならば、そんなことをしなくても、お客は沢山来るからだ。2010年から比べても5年連続で増えており、この5年間でなんと600万人も来場者は増えている。(2パーク合計)しかもその間に、記憶が正しければ2回ほど値上げを行っているにも関わらずだ。ディズニー、恐るべし。

改善する必要のないところにお金を使う必要はない。美味しくて安い店が園外に沢山出来つつあることは知っていても、園内で競争相手がいないなかで、わざわざ食材費や調理費にお金をかける理由は見当たらないということだ。

ディズニーランドというのは子どもも大人も一日遊ぶ場であり、さすれば当然エネルギー補給はどこかでしなければいけなくなる。軽食であっても、レストランには入らないといけないのだ。かつ、『夢と魔法の国でコスパの是非を叫ぶ』のがとても無粋に思えるほど、ディズニーランドというのは非日常性が高い。

普段はコスパを意識して食事している人たちも、ひとたびディズニーランドに入れば、そんな神経はスイッチオフになってコスパ最悪の飯を嬉々として食べるのである。

ここの顧客心理を完璧に理解している神経の図太さが、ディズニーランドのスゴいところだと僕は思う。

***

囲碁でも、実は似たようなことをよく目にする。

上級者になればなるほど、守りが薄い。正確に言えば、『ココの守りはこの程度で大丈夫』という必要最低限の守備しかしない。そして少しでも自分の手番を残し、浮いた戦力で相手に総攻撃をかける。

かといって、その守りの薄みを突いて攻撃しようにも、守り方が絶妙で意外と穴がなかったりする。攻撃したところで仮に勝てても、違う場所でそれ以上の攻撃を受けて、全軍が崩壊したりする。

盤上で最も効果の高い場所に打つために、相手の手に手拍子で付き合わないことを『手抜き』という。手を抜くというそのまんまの意味。こちら(初心者)がある陣地を攻めているにも関わらず、上級者は最低限の守りのままそれを無視して他を攻撃したりする。

『手抜き』は、実は上級者にしかできない。初心者、中級者は、自分の手に自信がないため不必要に守ったり、必要以上に攻撃に手をかけてしまう。手を抜けないのだ。

日本の携帯がまさにそれで、顧客からの反発を恐れるあまり、どこの会社の携帯も、ほぼ全ての機能が揃っている。結果的に差別化が出来ない状況が続いている。『おサイフケータイ』や『赤外線』といった機能を『手抜き』したアップルとはエラい違いだ。アップルは、この2つの機能を、『なくても顧客は離れない』と踏んだのだろうと思う。

***

ディズニーランドでは、アトラクションやパレードのクオリティ、ゴミ拾いなどに苛烈なほどの神経を注ぐ一方で、飲食に関しては明らかな『手抜き』をしている。

食材費は低く、調理クオリティも低く、値段は恐ろしく高い。この悪魔のマリアージュをもってして、『それでも顧客は逃げないから大丈夫』と踏んでるあたりの覚悟がハンパないと僕は思うわけ。

勿論、そのマイナス面を補ってあまりある素敵な面が多々あるからそれが成りたつワケだけれど、それにしてもこの『手抜き』、およびそれを恐れない姿勢を貫くあたりの図太さは、本当に本当に本当にスゴいなと思う次第。

ズボンを履き忘れるのはマズいけれど、美人が化粧をばっちりして綺麗な服を着ていれば、パンツを履き忘れるのは別に支障はない、ということだ。

違うか・・・

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!