ブラック社長の特徴 #834


 

仕事柄、様々な業種、業界の人と話すをする機会に恵まれている。

そもそも僕の仕事自体が中途採用しか採っておらず、前職が銀行、証券といった「保険会社に転職があり得そうな人たち」から、ワタミの店長、軍人、とんかつ屋のオヤジ、警察官など、「なぜに保険会社へ???」と首をかしげざるを得ない人たちまでが幅広く在籍している。

で、様々な仕事観を聞けるのでとても楽しいのだけれど、業種業界は違えど、流行りの「ブラック企業」に該当する会社の社長の要素としては、結構共通するものがあるなと思う今日この頃。大体、大企業を除けば、企業の体質=社長の体質と思って間違いない。なので、ブラック企業=ブラック社長と言い換えても差し支えない。

あ!この人ブラック会社で働いてるな、ブラック社長にやられてるなと感じる際、多くのパターンで下記の要素が見受けられる。企業は人なり、そして、魚は頭から腐る。頭が腐っている魚は、自分の頭が腐っていることには気づかないぐらい腐っている。

 

ブラック社長の特徴

①理念が極めてしっかりしており、本人が極めて魅力的

ブラック社長は、魅力がある。そして弁舌爽やかで、ひとたび口を開けば壮大な夢や野望が次から次に出てくる。その言葉全てが実現可能に思え、なんだか分からない表現し難いチカラのようなものを、僕たちに与えてくれる。

ただ、この能力は優れた経営者には共通しているものなので、これだけでブラック社長かどうかは判断しづらい。本当は社会的正義にもきちんと即したプラチナ社長かもしれない。

しかし、魅力がない人は従業員にモテないし、大きな負荷をかけると嫌われるため、そもそもブラック社長にすらなり得ない。なのでこの項目はまず第一に、ブラック社長の資質として重要と思われる。

 

②ブラック幹部を飼っている。しかし自分は聖人君子面している。

ブラック社長は、ブラックな部下の使い方をする幹部を重用する。それでいて、自身の言動は常に聖人君子っぽい。「愛」とか、「お客様本意」とか、「社会のために」という言葉を平気で使う。部下からすると、幹部はにっくき存在となるが、ブラック社長は尊敬の対象となる。

しかし忘れてはならない。度を超えた人の使い方を幹部に対して許しているのは、ブラック社長自身だということを。本当の悪は、悪に見えないから悪なのだ。悪に見える悪など、全然大したことない。その意味では、ロシアよりもアメリカに気をつけよう。イランよりもイギリスに気をつけよう。

 

③従業員の給料を低く抑えている。

見極めのポイントで分かりやすいのはこれ。すごく立派なことを言っていて、すごく社会的意義のある事業をしていて、そして給料が低い。もしそうだったら、その会社のトップがブラック社長な可能性は高い。

とある業界で、「お客様のために!従業員のために!」と標榜していて、実際にその通りなのだけれど、なぜか不当に給料が低い会社があった。なんなら「従業員のために給料を抑えている!」と、文字で読むと頭がおかしいとしか思えないことを、目を真っ赤にして、時に涙を流しながら切々と語れるのがブラック社長。

確かに、人件費が経営の最大の圧迫要因であることは否定しない。そこの引き上げに慎重になるのも分かる。しかし、給料の見返りにやりがいやビジョンを提供するというのはちょっと違うと思う。やりがいもビジョンも給料も全部提供すれば良いだけの話だ。ブラック社長は経営能力は高いので、その余力がある場合は多い。

 

④鬱や退職者が出ても、「自己責任」という「他責」でカタをつける。

ブラック社長は、鬱や退職者が出ても、全然平気。まずメゲることはない。

勿論、鬱なり退職なりというのは、本人に問題があることも多い。が、そうではない場合、つまり、明らかに会社に問題がある場合も、「ポストが赤いのも社長のせい」を地で行くがごとく、「本人の責任だ。」と一刀両断するのがブラック社長。

いちいちメゲていては、ブラック社長など務めていられない。神経が適度に麻痺している必要がある。ブラック社長が、自分を省みることはない。「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」は聖帝サウザー様と、ブラック社長のために用意された言葉である。

 

⑤自分の異常性に気づいていない。

ブラック社長は、大体がスーパーマンである。そしてその会社に勤めているのは、人間である。ブラック社長はそこのところが分かっていない。

自分が空を飛べたり、エネルギー波を手のひらから打つことが出来たりするのだが、それらの特殊能力を全て「普通」と思っていて、従業員にもそれを強要する。

「ほら!やってみろって!気持ちの問題だから!」と。

気持ちの問題ではなく、単純に従業員のレベルの問題なので、レベル99のブラック社長が出来ることを、レベル20でメラミを覚えたばかりの従業員が出来る訳がない。武器も買わず、時間をかけてレベルを上げさせるでもなく、心だけをうまく整えればレベル99の仕事が出来る、そしてそれが普通だと言う。

自分がそれだけの修行を経てそこまでたどり着いたという記憶が、どうやらすっぽりと抜けているようだ。

うちの業界にもブラックエグゼクティブという名の生物がいるが、そのうちのある人と話してた新人は、見たこともないほど恍惚とした表情を浮かべていた。後で「何話してたの?」と話を聞いたら、話をされている内容そのものは全然整合性のない、狂った話だった。しかし新人には麻薬のごとく、染み入ったようだった。

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「努力が報われない」というのは、原因として3つの可能性が考えられる。

1つめは、「努力の量が足りてない」場合。単純に、10の努力が必要な案件にも関わらず、5の努力しかしていなければ、その努力は実ることはない。これは誰でも知っている話だ。

2つめは、「努力の方向性が間違っている」場合。東京を出発点として、大阪に行きたいのに上越新幹線に乗っているようでは、永遠に目的地にたどり着くことはない。これも誰でも知っている話だ。

3つめは、「泳ぐ川そのものを間違えている」場合。ほとんど水平な川を、上流から下流に向かって泳いでいる人はそれでいい。そのまま行けば、行きたい場所にたどり着ける可能性は高い。

しかし、よく見るとかなりの傾きで激流溢れる川を、下流から上流に向かって鯉の滝登りのごとく泳ごうとしている人もいる。本人はことごとく必死なのだけれど、川辺から見ている人から見れば、何も進んでいない。むしろ後退している。

ブラック社長の元で働くというのは、この3つめに該当する可能性が高い。そもそも泳ぐ川を間違えていては、どんなに努力しても、報われることはない。むしろ、疲弊して流されて死ぬ可能性を高めるだけである。

「収入が低い仕事」というのは世の中に沢山ある。1つには低い収入しかもらえない程度の価値しか生まない仕事をしているからそうなるというのもあるかもしれない。

しかしなんとなくの肌感覚では、「泳ぐ川を間違えている」人もかなりの割合、いるような気がする。ブラック社長は、その川が合ってるか間違ってるかは、絶対に教えてくれない。気をつけよう。

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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!