とあるピザ屋さんのピザがめちゃめちゃちゃウマだった話 #868


 

京成線国府台駅

この名を聞いて、「あー、あそこね!」とすぐに場所を特定できる方はどれぐらいいるだろうか。

そのピザ屋さんは、僕が乗ったことが生涯に数回しかない、勿論降りたことは一度もないこの駅にあった。

テレアポでアポが取れた先にいつものように徒手空拳で向かい、凄惨に散る予定・・・と思いきや結構話は盛り上がり、僕の持てる知識や経験で役に立てることがいくつかあると確信できた、ちょっとルンルンな昼下がりだった。

お腹も空いていたので、何気なくそのお店に入った。「パパなんとか」という名前。読めない。いわゆる地元密着タイプのお店であることはすぐに分かった。

IMG_1869

***

気になったのは、「パスタ専門店」と書いてあるのではなく、「ピザ専門店」と書いてあったから。ピザを売りにするとは、この大きさでは釜もそんなに巨大ではないだろうに、なかなかの気概だ。イタリアでマルゲリータ発祥の店でマルゲリータを食べたことのある僕の舌は、果たして満足するだろうか。

僕はグルメと思われるが実際はかなりの程度その通りで、和食よりもバーガーキングが、マックよりもバーガーキングが好きである。勿論、ゴディバのチョコなんぞより、パックンチョやキディランドを愛している。

んで、出てきたのがいきなり異国情緒溢れるお母さん。見た目はちょっと前田美波里風。明らかに純日本人の顔ではない。ピザとくればイタリア。イタリアとくればイタリア人。

「イターリアの方ですか?」

と勇気を出してちょっとイタリア風に聞いた。

「いえ、違うんですよ〜。」と、どネイティブな日本語で返ってきた。聞いたら、国籍は日本だった。

***

結論から言うと、出てきたピザはめちゃめちゃめちゃウマだった。「ニンニクとチキン」と「ベーコンとタマネギ」のハーフ&ハーフで、わずか850円。このあたくしにしておなか一杯のボリュームで、味はパーフェクト以上にパーフェクト。

1枚1枚、感動しながら食べた。日本でこのレベルのピザは、なかなかない。ましてや京成線沿いにどれほどあるだろうか。

IMG_1868

結論から先に言うと、ピザだけの味で言えばめちゃウマだった。ウマいよりははるかに上。しかし、この店を出た時に思ったのは、「めちゃめちゃめちゃウマだったわ〜。」だった。

この差は、どこから生まれてきたのだろう?

***

実は、前田美波里風のお母さんと結構話しをしたのである。イタリア風なのに、イタリア人ではないとのこと。出自が気になったので聞いてみた。

お母さんは答える前に、僕の覚悟を問うてきた。

「皆さん結構混乱するんですけどいいですか?」

僕は、「え、ええ。。」と、生唾を飲みながら答えた。国籍を聞くだけで混乱するほど、ヤワな鍛え方はしてない。

お母さんは一息吸って呼吸を整えると、前田美波里風のイタリア風の風情を漂わせながら、説明を始めた。

 

 

 

「私のお母さんがスイス人と日本人のハーフで、

私のお父さんのお父さん、つまりおじいちゃんがアメリカ人と日本人のハーフで、

おばあちゃんがイギリス人と日本人のハーフで、

てことで私は半分日本人で、

1/4がスイスで、

1/8がアメリカとイギリスで、

しゃべれるのが日本語と英語で、

ここでイタリアのピザ作ってるの。」

 

 

という、高校三年生の理系の高等数学をマスターしてないと理解できないような理解不能な数式を述べた。僕は事前に言われていた通り混乱した。

これで、この店のピザはめちゃめちゃウマ、になった。

※ご本人許可済み

***

めちゃめちゃウマのピザに満足して会計をするときに、もう一度忘れないように恐る恐る聞くと、

「私のお母さんがスイス人と日本人のハーフで、

私のお父さんのお父さん、つまりおじいちゃんがアメリカ人と日本人のハーフで、

おばあちゃんがイギリス人と日本人のハーフで、

てことで私は半分日本人で、

1/4がスイスで、

1/8がアメリカとイギリスで、

しゃべれるのが日本語と英語で、

ここでイタリアのピザ作ってるの。」

 

と丁寧に同じ話をしてくれた。僕の混乱はさらに促進した。

んで、最後に奥にいたお店のマスター(たぶん旦那さん)が、

 

 

「コイツの先祖はよ、長崎に来て日本人騙そうとしたんだよ!」

 

と叫んだ。

「長崎?あーてことは佐世保ですかね?佐世保ってことは、オランダ人じゃないんですか?お母さん、オランダの血入ってないって言ってますけど。。」と僕は冷静に返した。

そしたらマスターが、

「よくわかんねーけど、スイスからオランダ人に混じって佐世保に日本人騙しにきたんだよ!」

と叫んだ。

とにかく「日本人を騙しにきた」という点において、信念を持っているようだった。お母さんは苦笑いしていた。

この意味の分からないやり取りで、めちゃめちゃめちゃウマなピザに昇格した。

***

めちゃウマなピザに出逢えることはそうそうない。それだけでも、十分に十分なことだ。

しかし、そこに紆余曲折のストーリーや人の温かさ、騒がしさみたいなものが加わると、1枚のピザがめちゃめちゃウマにも、めちゃめちゃめちゃウマにもなる。

商品の魅力は、商品の品質のみにあらず。

そんなことを学べた珠玉のランチだった。

お店はこちら。千葉県市川市。

http://tabelog.com/chiba/A1202/A120202/12000967/

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!