勢いがあったヤツが熊本に行って勢いがなくなった話 #948


 

大阪生まれで熊本で働いているナガサキという名前の面白いヤツが友だちでいる。

ナガサキは元お笑い芸人見習いで、その才能を活かし・・・切れず民間企業に下野し、しかし一般人に比べれば相対的に面白いそのキャラクターで営業としてブイブイ言わせていた、そんな漢である。

ナガサキはつい先日まで、東京で超大手企業に勤めていたが、天命を感じたかなんかで、急遽奥さんの実家のある熊本に引っ込んでいった。

「熊本で熊本一おもろい漢になりまんねん!」

そう勢いよく言って高年収、高キャリアを捨ててまで熊本に渡ったナガサキに、つい先日数ヶ月ぶりに会うことになった。

ナガサキは、東京で東京一おもろい漢になるのはフィギュアスケート日本代表と一緒でかなり難しいけれど、熊本ならば自分レベルならなんとか一番にはなれそうだ、という、微分積分を用いた計算を基に、自信満々で東京を後にしていた。

***

果たして、数ヶ月ぶりに会うナガサキはかなり丸くなっていた。

てか、まだ熊本行って2ヶ月経ってないのに、だいぶ丸くなっていた。

ナガサキは言う。

「いやー、熊本行って一番おもろい漢になるって言ってましたけど、最近そんなんどうでもよくなるときがありまんねん。」

関東人にとってはやや耳障りとも言えるど真ん中の大阪弁で、ナガサキは言う。「ありまんねん」なんて、「ミナミの帝王」の萬田銀次郎が言ってるところしか見たことがない。

「あれだけ意気込んでたのはどうしたの?また自分に甘くなってるの?」

ナガサキに会いにいった数人の友人たちとともに、僕はナガサキに問いかけた。なんせ、ナガサキは自称、自分に甘い漢だ。暴力過多な先輩からもよくつつかれている。少し辛口で詰める必要がある。

ナガサキは言う。

「甘くなってるゆうのもありまけど、そうする必要がないんですわ。頑張る頑張るって東京では言うけど、東京では頑張らないと生きてけないからそうなってるだけで、熊本だと頑張らなくても生きていけるんですもん。」

熊本の人に大変失礼な話だと思いながらも、先を促す。

「いや、あのね、こっち来てびっくりしたんが、子どもの数が異様に多いんですわ。」

「3人とか?」

「いや、5人とか6人が普通なんですわ。」

マジか。。。インド並みじゃねーか。。

***

どういうことかと聞いたら、下記のようなことだった。

「東京だと子どもなんて1人でも大変、2人だと手一杯じゃないですか。だけどこっちだと3人いても、『え?大丈夫?具合悪いの?』って思われるぐらい、子だくさんが普通なんですよ。3人が最低ラインぐらいですね。」

「んで、何がスゴいかって言うと、5人とか6人育てても全然食ってけるというか、食費も安いしそのへんに畑あるし何かあれば食べ物近所からもらえるし子育てもみんなでするし、頑張らなくても生きていけちゃうんですよ。学費も公立で安いし。」

 

「もっと言うと、みんな安心して暮らしてられるんですよ。所得は東京よりずっと低いけど、みんな安心できてるんです。生きていけないかもしれないっていう心配がないんです。」

 

「だから、僕もあんま頑張んなくてもいいんですわ!」

 

最後の一言さえなければ、とても示唆に富んだ、幸せとは何かについて考えさせられる話だった。

桃源郷も青い鳥もユートピアも、東京にはもうないかもしれないけれど、日本の地方にはそこら中に転がっているのかもしれない。

ナガサキは、「熊本で一番おもろいわけではない漢」になりつつあった。

日本の目指す未来は、熊本にあるのかもしれない。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

※羅王の個人コンサル、始めました。ご希望の方はメッセ下さい。

※Facebook友だち申請はお気軽にどうぞ。ただし最低限の自己紹介はお願いします。

※Twitter始めてみました。たまに暴言吐いてます。「羅王」で見つかるかなと。