なぜ地方の観光ビジネスは発展しにくいのか? #973


 

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GWに富士芝桜祭りのために河口湖まで行ってみた。そのときの話をしたい。写真はなぜか芝桜ではなくてぐりんぱ(緑を基調とした遊園地。富士急ハイランドの陰に隠れて全く知らなかったけど結構広い)。

激混みが予想されるGWはあまり遠出はしたくないのだけれど、ツマノミクスの圧力に負けて2泊3日で河口湖に行くことになった。

向かったのは富士芝桜祭り。蝶よ花よと育てられた僕に最も似合う、お花の祭典だ。思ったより空いていて、身動きが出来ないことを覚悟していた身としては、かなり助かった。富士山に映える芝桜は美しかった。しかし全く花に興味のない僕としては、このあとのほうとうのことで頭が一杯だった。

エビを丸呑みする豪快な1号機を見ながら、美味しいほうとうに舌鼓を打つことができた。

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問題はこのあと。

どこからどう見ても年季の入った宿に着くと、地方特有の「◯◯様ご一行様歓迎」という文字が目に入った。

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「歓迎 じゃらん 様」

 

おお!マジか!じゃらんの社員ご一行が来てるのか!あの旅行サイトじゃらんの。古びた宿だけど、もしや最先端のビジネスモデルを話し合う場として最適な施設を備えているのかもしれない、とドキがムネムネする。

 

少し左を見ると、

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「歓迎 るるぶトラベル 様」

「歓迎 楽天トラベル 様」

「歓迎 Booking.com 様」

 

マジか!旅行サイトの猛者どもが全員ココに泊まっているとな???

なんてクリエイティブな場所に来ちまったんだと、ドキが更にムネムネする。

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入り口から入ると、カウンター越しに大将(恐らく後継ぎ)からいらっしゃいませもなく2萬円也を請求される。1泊の値段だ。

古びた旅館だけれど、まぁ旅行サイトの人材どもがこぞって研修に泊まりに来るぐらいだから、相当なexperienceを提供しているのだろう。ロビーの机には灰皿が設置されていて、その中には沢山の吸い殻が放置されていた。後から分かったことだが、吸い殻の大半は大将が吸ったものであるらしかった。

トイレに行こうとしたら、なかなかにビビった。男子トイレと女子トイレの入り口が一緒。なかの便器だけが別々となっているが、これは女性はよほどブレイブハートじゃないと耐えられないだろうと思った。

部屋には「この宿に泊まるための◯◯箇条」みたいなものが貼ってあった。基本的には大将一家の気分を損なうなといった旨のことが書かれていたが、そもそも日本語しかないので外国人には通じないだろうと思った。

風呂にいくと、ロッカーがあった。しかし鍵はなかった。一体どうすればいいのだろう?と悩みながら、仕方なく部屋の鍵を風呂まで持っていった。

次の日、富士急ハイランドに向かうために8時過ぎに宿を出ようとすると、特に見送りなどはなかった。一瞬大将が通りかかったが、不思議なことに父親(初代?)とケンカした直後らしく、客である僕の目の前で足音をバンバンさせながら通り過ぎていった。大将の父親も僕の姿が目に入ったようだが、特に何を言うでもなかった。

ご想像の通り、宿の玄関に出ている看板に書かれていた「歓迎 ◯◯ 様」の文字は、媒体であるサイトのものだった。じゃらん経由で来た客だからじゃらん様、楽天トラベル経由で来た客だから楽天トラベル様、そのように記載されていた。

さすがにエンドユーザの名前を一切書いてない看板を見たのは、初めてだった。そうか、この国ではエンドユーザより媒体サイトがエラいのか。。

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少し極端な例過ぎる気もするし、大半の地方の人たちには言いがかりになるのかもしれないけれど、地方のビジネスが発展しない要因を今回の旅行で見た気がした。

あのですね、大変失礼ながら競争に常時晒されている人間からしたら、

普段意識することすらしない「当たり前以下のこと以下」のことでさえ出来ていない

のですよ。

男女のトイレを分けない。いらっしゃいませもありがとうございましたも言わない。どうやら客の名前と媒体サイトの名前を勘違いしている。自分の都合ばかり書いていて、「ご縁をありがとうございます」的な文言の一つすらない。

つまり平均的なビジネスレベルがとても低く、しかしある時期の激混み(富士芝桜祭りとか連休とか。今回はダブル。)のおかげで短期的にはビジネスレベルの低さを補う単価で顧客が獲得できてしまう。

結果、通期で見れば食えてしまう。

だから当たり前の努力すらしない。

結果、力はつかない。

この旅館のように、完全なる殿様商売になる。

二度と行こうとは思わないが、GWに宿が取れなければこれからも初めて泊まる人はいるだろうと思う。

しかしこの旅館が発展することもまた、永久にないと思う。

こうしていつしか、その場所が脚光を浴びなくなった暁には、飛ぶ鳥が落ちる勢いで堕ちいくことだろう。

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確かにビジネスにおいては戦略が大事だ。観光ビジネスであれば、なにはともあれ立地が全てを決定すると言っても過言ではない。

その意味ではこの旅館は素晴らしい場所に位置している。河口湖が近く、富士山は目の前にある。この条件だけで数十年食っていけるだろうし、事実そういうようにして繁忙期の収入だけで食っているように見えた。

そうなんだけど。

そうなんだけど。

戦術も大事なんだなぁ

と思ったのさ。

観光業においての戦術とは、すなわちトイレをピカピカにするとか笑顔で顧客に接するとか男女のトイレを分けるとか、立地やハコモノ以外に自分の意思と労力を注げばできる、小手先ワザも含めた全てのTo Doのことだ。

この戦術面をここまで疎かにしている旅館は初めてだったので、正直言えば良い教訓になったぜよ。

そういえば近所のコンビニに一時期笑顔が100万ペソの女の子がいて、その子がシフトで入っているときはコンビニ全体の空気すらフレグランスな感じになっていたと記憶している。

おそらくはその時期、その店舗は時間あたりの生産性がその子目当てのおっさんたちのおかげで相当に上がっていたことと思う。

品揃えと値段が全てと思われるコンビニですら、アルバイトの店員さんたった1人の笑顔で雰囲気が変わる。局地戦も決してバカにしてはいけない。

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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

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