「詰問家」の効用 #982


 

最近、世の中には「質問家」が溢れている。

質問を駆使して顧客の内面にある感情に触れ、目指す目標を整理し、そこに最短距離で向かうための手段を共有し、そして結果にコミットする。

そんなことを「質問家」の人たちは志している。残念ながらそのほとんどは力不足のためにエセコーチ、なんちゃってコンサルタントとして、大した力もないのによく分からない弱者向けビジネスを成立させている。

外から見ている限りはとても不思議なのだけれど、とはいえ需要と供給がマッチしているのだから仕方ないと言えば仕方ない。

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ところが、最近僕の目の前に「詰問家」を名乗る漢が現れた。

ありそうでなかった肩書き。質問ではなく詰問をすることによって、顧客の未来を切り開くという新しい形。

顧客が気分を害そうが害すまいが一向に関係になし。顧客の機嫌を取ることには一切の興味がなく、顧客の未来を明るくすることのみにコミットする。

ライザップのトレーナーが、顧客が悲鳴をあげようが降参しようが一切手を緩めないのと同じで、「詰問家」の漢はちゅうちょなく顧客を追いつめていく。

僕は当初、この手のビジネスは成立しないものと踏んでいた。甲子園に出場するような高校ですらスパルタが禁止され、体育会系部活は一昔前に比べて明らかに優しくなった。

会社でも電話機に手をぐるぐる巻きにして縛り付け、出来なければ灰皿が飛ぶ、というような企業は、ものの見事にマスコミに吊るし上げられる時代になった。

コーチングビジネス業界、コンサルティングビジネス業界でも同じ。顧客の未来にフォーカスするというよりは、顧客の耳が閉じないように、顧客が気持ちよく話せるように、ゆるゆるふわふわの状態で顧客とシンクロしていく、というのが主流になりつつあるように見えた。

事実、僕の周りでも二の腕がムキムキしているのにゆるふわな雰囲気を漂わせた坊主のコーチや、どう見ても新宿二丁目でモテそうなゆるふわな笑顔を纏ったコーチが活躍している。(彼らは実力もありまとも)

僕たち保険業界の人間も、どんなに豪腕に見える人でも、最初の数十分は顧客との信頼関係を構築することに全力を注ぎ、少なからず同意や妥協をするものである。

しかし、「詰問家」はそれら甘チャンコーチ、コンサル、保険家軍団とは一線を画すように、顧客に対しても一切の妥協をしない。しょっぱなから詰める。顧客が黙ろうものなら、さらに詰める。

それはもう、攻撃に回ったときの山王工業のような、強烈至極のオールコートプレス。

会話開始3分で、顧客は話す気を失う。しかしそれでも堂本監督は、手を緩めず勝ちを確実なものにしていく。(スラムダンク26巻参照)

一体誰が「詰問家」の顧客になるのだろうか?見た目と違い、普段からゆるふわ営業をしている僕としては、それが不思議でならなかった。誰があの詰問の嵐に耐えられるのだろう?詰問に耐えられずに息絶えていく同志を何人も見て、僕は少なからぬ思春期になった。

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ところが、である。

あるときから、僕は「詰問家」こそが正しいのではないかと思うようになった。

というのも、ある分野について僕は本気で取り組むことに最近決めたのだけれど、そうなると「詰問家」から聞かれている程度の話には全て、細部に至るまで即答できないと、話にならないということに気づいたからだ。

いつやんの?

どうやんの?

誰とやんの?

いつまでにやんの?

具体的にはどうやんの?

何かを始めようとうっすらしか思ってないときにこんな詰問をされても、ほとんどの人が言葉を失って終わる。それは僕とて同じだ。

しかし、本気でコミットする!必ず達成する!絶対に成し遂げる!、そういった強い決意のもとに定めた目標であれば、「詰問家」にどんなに詰問されたとしても、それこそゼロ秒思考で応えられなければならない。

もし答えられなければ、それは考えていないのと同じだということだ。

そして考えていないことというのは、決して解決しないし前進もしない。チャックが開いたまま人妻に3時間保険の話をし続けた僕が言うのだから、絶対そうだ。

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一般的にはゆるふわな質問の方が、牙突ばりに鋭利な詰問に比べて受け入れられるマーケットは大きいと思う。それはそれで結構なことだ。誰しも、最初の一歩を踏まねばならない。

しかしある程度物事が進み、それが自らの命を賭してまで達成したい目標に昇華した暁には、ぜひ「質問を駆使するコーチ」ではなく、「詰問を駆使する詰問家」を招聘することをオススメする。

「安心、安全な空間」をつくることを是としていたマーケットに、「不安、危険、恐怖の空間」を作ることを考えた「詰問家」の今後に注目していきたい。

詰問されたい方は紹介します。たぶん、相当いろんなものが固まるか、崩壊すると思います。

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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

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