独立して自由を謳歌しているのにわざわざサラリーマン組織にどっぷり浸かる漢の話 #1106


 

僕の仕事は、同業者と一緒に勉強することが多い。

1回数万するセミナーにはいつも同業者がわんさかいるし、優績者が集まるMDRTなどはいつ行っても大盛況である。

海外まで毎年行って勉強している人間も多数いる。みんな勉強熱心だ。

それもこれも全てはお客さんのため。僕自身本気でそう思ってるし、しかしながらこの道は終わりがない。

責任も極めて重い仕事で、保険金を給付するたびに、「果たしてこれで良かったのか?」、「もっと良い提案が出来たんじゃ?」と自問自答することも一度や二度ではない。

一方この仕事の良い点としては、ほとんど完全な自由を獲得していることにある。

報告義務はあれど時間の編成はほぼ自分の裁量で何とかすることができ、成果も自分がそれで納得できる水準なのであれば、誰に何を言われることもほとんどないと言って良い。

8割ぐらいは独立事業主の要素がある仕事で、ゆえにサラリーマンが抱きがちな組織への不満や理不尽に対する怒りのようなものは、まぁあまりないと言って良い。

***

そんな自由と責任の世界に生きる僕たちのなかで、ごく一部の仲間が、とあるガチガチの組織に身を置いている。言うなれば一種の巨大な勉強会コミュニティを運営する理事の人たちがそれだ。

彼らは、強制されるわけでもなく、自分の意志でその職に就いている。勿論、本業の負荷は全く変わらない。

報酬が発生するわけでもない。むしろ完全ボランティアのため、仕事の時間もプライベートの時間もだいぶ削られている模様。

加えて、独立事業主めいた人たちが集まって運営している団体にも関わらず、その中身は完全にサラリーマン組織。

ボランティアなのに昇進昇格的なめんどくさいものがあり、献身性を問われる。予算が巨大なため、それを巡る醜い争いもないこともないとか。嫉妬ややっかみ、足の引っ張り合いも少なからず存在するらしい。

僕からすると、せっかく転職と努力によって勝ち取った自由をわざわざ縛り付けているように見える。確かに得られる効用はあると思われるが、それにしてもちょっとあまりにもめんどくさそうなのである。

***

僕の知り合いのYさんがその団体に身を置いているので、とあるタイミングで意を決して聞いてみたことがある。

 

「なんでそんなめんどくさいことやってるんですか?やっぱり業界を盛り上げていこうという使命感ですか?

僕ももちろんそれはあるんですが、にしても話聞いてると必ずしも綺麗な話ばかりじゃないし、何よりあまりに物事が動かなすぎでめんどくさくないですかね?

なんかこう、砂漠に水を撒くような作業が多すぎるというか・・・」

 

と、かなりぶっちゃけた質問をしてみた。

しばらく考えた末に、Yさんはこう教えてくれた。

 

「完全にその通りだと思います。これだけ優秀な独立事業主が集まって、よくこんなに非効率になるなって思わされることも沢山あります。

足引っ張るヤツもいるし、なんだか分からない嫉妬みたいのも沢山あります。あれ、そういうの嫌で組織を出て来た人たちじゃなかったっけ?と思うことはすごい多いですよ。」

 

ほうほう、ここまでは僕の言ってることがほぼほぼ正しいようだ。決して清廉潔白な理想の組織ではない。どの組織にもあるような、澱みや膿みが多少なりともあるようだ。

しかしYさんは続けて言う。

 

「でもね、組織ってそういうもんなんです。そして僕たちは、独立という道を選んだから、そういう組織に生きる普通の人の気持ちを、分からなくなってるんじゃないかと思うんです。

普通にサラリーマンの人たちは、僕が今体験してるような、なんとも言えないような不条理とか不合理をなんとかかんとか調整しながら乗り越えて、それで事を成してるんです。

そういうサラリーマンの人たちをお客さんにする僕たちが、その気持ちを全く分からないで『自由っていいなー』とばかり言ってても、しょうがないんじゃないかと思って、このボランティアもやってるんです。

あと、そもそもそういう過程を経ることで、組織としてはやはり個人でやるよりも大きなことが出来ます。それも魅力っすね。」

 

僕はその少し前、尊敬する人たちが集まって組織になったときに、あまりにくだらない発言、あまりにくだらない会議を連発するのを見て嫌気がさし、自分から舞台を降りた経験があった。

なんだこれは、単なる時間の無駄じゃねーか、と当時は思っていた。

んが、そもそも優秀な人が集まるから優秀な組織が生まれるわけでもないということも、組織というのは一定の不合理性を内包したものであるということも、僕は知らなかった。

そしてそれを自分の力と忍耐で変えようとする姿勢もまた、そのときはなかった。

Yさんの話を聞いて、ただ舞台から降りることで自分の自由を担保しようとした自身の浅はかさを少し反省したのであった。

そしてまた、僕以上に完全なる独立を果たしているあんな人やこんな人の顔を思い浮かべた。

彼らは確かに優秀だが、人に個人として紹介することは出来ても、組織に対して紹介しようとすると、あまりに忍耐がないのでこりゃ無理だと無意識に選択肢から外していたことに気づいた。

自由は、決して良いことばかりではない。人間を、少しばかり弱くするものでもあるのだ。

***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

※Facebook友だち申請はお気軽にどうぞ。ただし最低限の自己紹介はお願いします。