「スラムダンク」であまりにも有名な翔陽高校で講演の機会をいただくという夢のような企画。
僕と下記の5人で190cm以上の選手がゴロゴロしていると思われる翔陽高校へ、いざゆかんと突入していくのであった。
「監督」:今回の総元締。体型はスラムダンクの安西先生に近い。色々スゴいが早逝が心配。
「カトゥン」:EXILEのような感じのIT社長。たぶん婚活中。
「イゲザイル」:髪型が碁盤になってる囲碁会社社長。間違いなく女活中。
「ネモティ」:囲碁サイト社長。息を吸わずにしゃべり続けることができる。
「HASHIMOTO」:似顔絵会社社長。似顔絵を目の前で5分で書ける。今回のエース。
***
まず気になったのは入り口。
バスケの名門校にしては、ノボリに迫力がない。というか、「バスケ部インターハイおめでとう!」みたいな文字がない。
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そういえば「監督」が事前ミーティングで言っていた。
「あまりスポーツは盛んじゃないみたいですよ。」
・・・
・・・
・・・
オーケー。それも時代の変化だ。今は自分らしくある時代。背が高ければバスケをやる、バスケをやるならインターハイを目指す。
そういう時代じゃないのかもしれない。ショックは大きいが受け入れることとしよう。
***
校舎に入ると、途端に懐かしい気持ちになる。20年前、僕は高校生だった。担任の先生は「サトウトシオ先生」といって、最初の挨拶が
「どうも!シュガーアンドソルトです!!!」
と言って出逢って5秒でダダスベリしていたのであった。その後、先生の尊厳は担任期間中一度も戻ることがなかったと記憶している。
自分がそうであったように、高校生が極めて大人に厳しい存在であるということを思い出して、身震いする。
 
今回の企画は、こと受験生という立ち場から視野狭窄に陥りがちな高校3年生を相手に、社長という生き方、社長になるという道もあるんだよという「社会勉強」の意味を込めて施行されたと聞いていた。
僕の記憶では、僕が高校生だったときに外部の大人の話を聞く機会はなかった。大人と言えば、親以外はほぼほぼ、学校の先生が全てだった。
閉じられた世界にいる子たちに、これから進む世界の一端を見せてあげる。翔陽高校、バスケは強くないらしいがやるじゃねーか。粋な計らいをするものだと感心した。
***
ふと横を見ると、「イゲザイル」がガタガタと震えていた。
「イゲザイル」は前回、別の高校で講演した際に、クラスの2/3が寝るという驚異的な数値を叩き出していた。
髪型はナッパのようであったが、震え方はフリーザ様に完膚なきまでにプライドをへし折られたベジータさんのようであった。
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(Source:ドラゴンボール)

 
「ボ、ボボボボボクは、こ、こここ今回は頑張ります。」
ゾマホンのようにどもる「イゲザイル」を尻目に、僕は僕で自分がこれから直面する景色が天国になるのか、それとも地獄絵図になるのか、脇汗をびしょびしょにかきながら考え続けた。
「監督」からは以下のようなことを言われていた。
▼予定していた通りにはたぶんいかない。恐らく何かが起きる。
▼高校生はつまらないと3分で寝る。最初の3分が勝負。
▼「敵」だと思われたらアウト。
▼ワークをお願いしたら誰もやらない。
▼挙手をお願いしても誰も手を挙げない。
▼敢えて全然違う話にもっていき、こちらの流れを壊そうとするヤツもたまにいる。
▼一度も顔を上げない子もいる。
▼前回は6人中5人が敗戦投手となった。
 
気づくと、トラウマを抱えた「イゲザイル」以外の僕を含めた4人も、ガタガタと震えていた。武者震いではない。恐怖である。
呼吸をせずにしゃべり続けることができる「ネモティ」までもが、戦慄していた。色黒の「カトゥン」は、さらに沈んだ色になっていた。「監督」は、いつもと変わらずハーハー言っていた。
ただ一人余裕を見せていたのは、似顔絵を操る「HAHIMOTO」だった。
聞けば、担任の先生の似顔絵を5分で書くつもりだという。ズルい。そんなの反則じゃないか。絶対人気者になるに決まってる。最強の飛び道具だ。
世の中には持てる者と持たざる者がいるという、世の不条理を思い出して怒りに震えたが、しかしその厳然たる事実は変えようがなかった。
僕は久々のベストアルバムを出したばかりの宇多田ヒカルに、心のなかでお願いした。

変えられないものを受け入れるチカラ
そして
受け入れられないものを変えるチカラをちょうだいよ

***
担当するクラスは、迷路のような校舎を進んだ先にあった。
昔担当していたトEタ自動車は、敢えて車でないと行けない秘境に本社を構え、そこに至るまでの道程で会う前から取引相手にプレッシャーをかけ、優位に立つという戦術を得意としていた。ホームに相手を引きずり込むのは、交渉の基本である。
翔陽高校の校舎も、その複雑怪奇な迷路によって、子羊のように震える僕を最初から揺さぶりにかかってきてるようだった。
足が重い。呼吸が荒い。腹の肉は厚みを増している。
「こんにちはー!」と声をかけてくれる高校生たちは、みんな「さぁさぁ兄さん、どないな話、聞かせてくれまんねん。」とこちらを品定めをしているかのようであった。
 
クラスに入ると、予想以上にマイルドな空気がそこにはあった。若い、みんな若いぞ。シャワーを浴びせたら、跳ね返ってきた水滴でこっちが怪我をしそうだ。
みんなこっちを見てる。先生じゃない大人を見る機会なんてなかなかないんだろう。ライオンやパンダの気持ちが少し分かった。
 
プロジェクタをセットし、いよいよ始業時間。
「起立!礼!」
日直の子が声を出して皆をまとめてくれる。
先生が生徒達に話しかける。
 
「えー、みんな、今日は『社長のなり方』について、話をしてくださる社会人の方をお招きした。
これからみんなが勉強して大学に入って、就職して、そのあとにサラリーマンをやることになるかもしれない。それが普通だとみんな思うだろう。
でも、世の中には『社長』という生き方もあるということを、先生は知ってほしい。世の中には色々な選択肢があるんだ。だからそれを知っておくことは、決して損じゃない。
受験勉強で忙しいだろうけど、先生はそんな思いで企画した。では社長よろしくお願いいたします。」
 
という感じの少なからぬT-upを期待していた僕。
先生が話をしている間に、呼吸を整えるつもりだった。
 
しかし、
 
 
 
「えー、午後1時間目。
じゃ、どうぞどうぞ。」
 
 
上島竜兵もおののくほどのキラーパスが飛んできた。
組織の目的の第一は、組織の目的を共有することである、というどこかの経営学の大家が言って組織経営の鉄則を思い出した。
大本営から末端まで目的を共有するというのは、そのどこかの経営学の大家が指摘しないといけないぐらい、無意識なうちに放置されがちなものだということを改めて思い知った。
つづく。
***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

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