先日、とあるラーメン屋に行った。
普通に綺麗な店内で、普通に美味しいラーメン。しかし食後の感想としては、
二度と行くまい
と思ってしまった、という話をしたい。ちなみにラーメン屋にこれといった欠点は一つもなかったという点は強調しておきたい。

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訪れたのは、東京駅地下街にあるラーメンストリートの、とある店舗。
ミシュラン?だかに載ったラーメン屋ということで、それなりに評価されている模様。時間がなかったこともあり、行列ができてる店には並びたくない。珍しくラーメンの気分でだったため、さっさと食べられそうで、かつ味の保証をミシュラン様がしてくれてるということでこの店に決定。
メニューには何やら健康そうなものが並ぶ。その中で一番具がたっぷり載っていて、濃厚そうなラーメンにした。
 
待つこと5分。
周りを見て驚いたのは、冒頭の写真のごとく一向にラーメン屋ぽく見えない店内。これはきっと女子ウケとか、昨今の健康志向をアピールするべくの計らいなんだろう。どこぞのおしゃれなカフェに見える。
店員さんがラーメンを持ってきた。なんと、手袋をしている。オヤジの親指が入りそうで入らなそうでやっぱり少し入っているラーメン二郎に慣れている身としては、なんというセレブな扱いかと驚愕。
そして肝心のラーメンはというと、塩をベースとしたあっさりとしたお味。
ラーメンは好きだけど健康にも気をつけたいという層にピタリとくる味だった。器もなんだかおしゃれで、「かーわーいーうぃー」とか鼻声で言ってしまいそうになる。チャーシューもなんだか健康志向ぽい感じでピンク色。
総じて、レベルの高いラーメン屋だったことは確かである。
そして、冒頭の結論が出た。今思い返しても、二度と行くことはないと思われる。
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通常、飲食店に対して僕が「二度と行くまい」と思うのは、致命的な弱点をその店が抱えている場合が多い。
過去の例で言うと、
▼普通にマズかった。
▼店員さんの態度が悪かった。
▼テラフォーマーが目撃された。
▼トイレが汚かった。
▼徹頭徹尾、可も不可もなかった。
などが、「二度と行くまい」に到達するためのプロセスだった。
 
が、今回のお店はというと、どれ一つとして当てはまらない。普通に飲食店としてはレベルが高い方だと思う。普通に美味しかったし。
でも僕は「二度と行くまい」と思ってしまった。
なぜか?
それは、僕の中の美味しいラーメン屋の理想像と、この店の現状があまりにも乖離していたからだ。イメージで言うと先のラーメン二郎がもっとも近く、
▼頑固そうなオヤジの作った
▼健康に悪そうなギトギトのラーメンを
▼築何年だよと思うような小汚い店で
▼獅子王のように無言で食い散らかし
▼食べちゃったなぁと後悔しながら
▼あー食った食ったとゲップをする
のが僕の理想なのである。
今回訪れた店では、どれ一つとして叶いそうになかった。健康的なラーメン?クソ喰らえ、と思ってしまったのである。
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似たような話では、マクドナルドの事例が思い起こされる。
当時、業績不振に陥っていたマクドナルドは、顧客にアンケートを取った。返ってきた回答は、「もっと健康志向で」、とか、「女性が入りやすい雰囲気を」とか、今風な答えがたくさんあった。
マクドナルド=健康に悪い、というのは消費者の印象としては確たるものがあり、そこからの脱却を求める意見が散見された。要は、「もっと綺麗な店内でもっと健康的なメニューにしたら、行ってあげるよ」という顧客がたくさんいたことになる。
 
しかし、マクドナルドは「もっと綺麗な店内」という部分での改革には成功したものの、「もっと健康的なメニュー」の部分については、顧客の言うことを聞いた結果、失敗した。
マーケットインの発想で顧客の期待に応えて健康志向のメニューを取り入れた結果、なんと売上は全く伸びず。マクドナルドらしからぬ健康的なメニューは、元来のマックファンを遠ざけてしまった。
 
それで反省した結果出てきたのが、元々のジャンク路線のさらなる強化。「デブたちよ、大食漢たれ」と言わんばかりのパワフルなメニューを押し出した。
従来の主力であるビッグマックをさらに超える、グランドビッグマック、そしてそれが子供に見えるぐらい巨大化したギガビッグマック。
超サイヤ人を超えた超サイヤ人の限界をさらに超えた超サイヤ人、みたいな形で進化したジャンク路線は、顧客に大受けした。マクドナルドは、従来の顧客を取り戻すと同時に、新たな顧客を開拓した。
結果として、原田CEO時代に地に落ちた業績は、マック大好きおばちゃんであるカサノバCEOの時代になって、少しずつ往年の勢いを取り戻してきた。
顧客は口では健康志向がとか言っていたが、本音としては不健康でも食ってる感満載のハンバーガーを欲していたのである。
 
同じような感覚がラーメンにもあり、こぎれいで丁寧で健康的なラーメンを、僕は全く受け付けなかった。もっと後悔するようなラーメンをくれ!というのが僕の本音だった。
顧客志向って難しい、と思った出来事。答えは顧客の中にあるが、表出したものが正しいとも限らない。
「パパ、どっちがいいと思う?」と服の選択肢を聞いてきて、僕が選んだ方を「センス悪いね」と言う娘のようである。
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