業界全体では2年で9割が「卒業」すると言われる生保業界に身を置いて、はや12年。
一部の売れる営業パーソンと、ほとんどの売れない営業パーソンを数千人ずつ見てきて、自分の中でほぼ固まったのが、
どういう人間が売れるか?/売れないか?
を分ける分水嶺的な法則。
おそらく業界の人間全員が気にしているテーマだし、生保業界の営業パーソンに限らず、全業界の全ビジネスパーソンに少なからぬ程度に当てはまる話だと思うので、あしかけ12年に渡る分析結果をばっさり一言で言語化したものをシェアしときたいであります。
***
売れる営業パーソンがこだわるものは、言わずもがな、「成果」であります。当たり前と言えば当たり前。逆に言えば、それ以外は切り捨てているといってもいい。だから、彼らは成績を残すことができる。
成果につながることはやるし、成果につながらないことはやらない。シンプル。そしてそれを継続する力を持っている。
たとえば、生保業界は全員が中途採用のため、皆がみな、必ず前職を持っている。ヘッドハントされてきた人が多いから、少なからぬプライドも持っている。もちろん、その業界での知識ややり方もぎょーさん持っている。
 
しかし売れる営業パーソンは、それらをあっさり捨てて、代わりに「生保業界で売れるための原理原則」を驚速でインストールしていく。
どれぐらい速いかというと、これぐらい。


 
彼らは、簡単に言うと、「売れてる人がやっていること」をとにかく真似る。たとえば某プ◯デンシャルにおいて、売れる人間になるための必須条件は、
▼それとわかるぐらいマッチョであること
▼ある程度以上色黒であること
▼清原のように歯が白いこと
▼不自然に良い匂いがすること
▼スーツが強烈なストライプ、または異様にブルーであること
▼髪型を整えるのにポマードを使っていること
などがあると言われている。
他の業界の人からすれば「なんじゃそりゃ?」と感じるものもあると思うが、事実、理由はどうあれ、そういう人間が売れている。なので、売れる営業パーソンはその流れを踏襲していく。
結果として、信号待ちをしていても、向こう岸にプ◯デンシャルの人間がいればそれとわかるほどに、彼らは特異な集団と化していく。もちろん、アメリカとかで私服で歩いているのを見かけても、「ああ、この人たちはプ◯デンシャルだな」とすぐにわかる。
これを業界では「プル臭」と呼ぶ。
話を戻すと、売れる営業パーソンは、「これやると売れるよ」と言われたものをさっさと取り入れる。そこに、逡巡はない。だから、ハワイや空港などでプ◯デンシャルの集団が通ったあとのDFSでは、大量の香水が売れて在庫不足になる。
***
一方の売れない営業パーソンは、何にこだわっているのか?
僕の見たところ、
因果関係
に過度にこだわる人が多い。
 
アメリカではデブと喫煙者は出世できないと言われている。
いずれも「デブと喫煙癖は自己管理ができていないことの証明であり、そういう人間が組織を管理できるはずがない」とされているからである。
だからアメリカンエグゼクティブにはフィットネス強化を生活習慣に組み込んでいる人が多い。
売れる営業パーソンはこの手の話を聞いて、「そうか、デブと喫煙はアウトなんだな。アメリカでそうなら日本も近くそういう基準で判断される時代になるはず。だったら今から手を打っておこう。」と自らの生活に改善策を打っていく。
別にそこに逡巡はなく、「トップビジネスパーソンがそうなんだから俺たちもそうしよう」程度にしか思わない。
 
ところがここで、売れない営業パーソンは因果関係に(無駄に)こだわる。
「え?喫煙と仕事の出来ってどこがどう関係するんですか?」
「肥満だと何か不都合ありますか?」
とか言ってくる。なんなら、
「統計的、科学的に証明されてるんですか?それ?」
とか言ってくる。
自分のやり方、考え方を変えるには、だれもが納得する因果関係が存在しなければならず、かつそれに自分が納得せねばならない。
それが、売れない営業パーソンの典型的な思考回路である。
 
よく考えればわかる通り、世の中に因果関係が明確に定義されているものは、そう多くはない。たとえばよく知られている喫煙と肺がんの関係にしても、
喫煙者に肺がん患者は多い
というところまでは有意な統計として相関関係が証明されているが、
かくかくしかじかで喫煙が肺がんにつながる
という科学的なメカニズムまでは、実際のところ証明されていない。因果関係が明確にあるようで、実際はあるのかないのかすらも分からないのである。
 
相関関係だけでは不十分で、因果関係が明確に証明されていないと、自分のやり方、考え方は変えない。
それが、僕の見たところ売れない営業パーソンに共通した特徴だった。そして、因果関係は滅多に証明されない以上、売れない営業パーソンたちが自分のやり方、考え方を変えることもまた極めて稀だった。
***
デブ&喫煙問題にかかわらず、僕が発見した「売れるようになるためのノウハウ」は、全て「相関関係」はあれど、「因果関係」は不明なものばかりだった。
他にもたくさん相関&因果関係の事例があった。
 
たとえば、僕の尊敬する売れる営業パーソンたちは、毎日会社にいた。フルコミッションで出社日が限られている雇用形態のため、別に会社にいてもいなくても個人の自由だし、それで売上が左右されることはないだろうと当初は思っていた。
しかしよく観察してみると、売れる営業パーソンは1日のどこかで必ず会社におり、朝は早く、夜は遅くまで会社にいた。一方の売れない営業パーソンは、出社日にしか会社に来ていなかった。
僕は売れる営業パーソンになりたかったため、とりあえずよく分からないけれど会社には頻繁にいるようにした。そしたらふとしたタイミングで深夜にレジェンドたちから素晴らしい話を聞くことができたり、仲間たちとアツい議論が出来たり、確かに効果があるかもなと思うようなことがたくさんあった。
がしかし、毎日会社にいることと成績の因果関係は、どうやっても証明は出来なかった。ただなんとなくの相関関係だけは、確実にあったように思う。
 
前職の生保会社に入社して直後に、「靴は高級靴、ペンはモンブランを買え」と言われた。靴を変えてペンを立派にしたぐらいで営業成績が変わるのか、今もその効果のほどは疑わしい。
しかし僕は売れる営業パーソンにそれを言われたので、お金はなかったけれど「はい、そうですか」と言うことを聞いて、無理をして買った。結果として10年連続海外表彰を受ける身になることはできたけれど、じゃあそれが靴やペンのおかげだったかどうかは分からない。
一方、周りにいたそうでもない営業パーソンたちは、靴は履きやすい靴、ペンは使いやすいパーカーを使っていたように思う。別にそれはそれで良かったのだけれど、売れる営業パーソンになりたい僕としては、その選択肢は頭から外した。
 
「学びは距離に比例する」という格言を聞いて、別に東京から東京のセミナーに行っても、福岡から東京に来ても、学ぶものは一緒やん、と思った。ただ、各種セミナーには遠方から素晴らしい人たちが来ていたので、それを真似てわざわざ大阪や名古屋のセミナーに出たこともある。
それが自己投資だったのか、「事故」投資だったのか、今もよく分からない。分からないけれど、僕はそういう勉強の仕方をしてきた。売れない営業パーソンたちは、学びで最重要視するのは「コスト」だった。だから、遠方のセミナーとか、高額セミナーには絶対に行かなかった。
***
意外に思われるかもしれないけれど、生保業界における売れる営業パーソンは、半分ぐらいの人は頭がそんなによくなかった。むしろ、コイツ大丈夫か?とたまに思うような人もいた。お前から保険を取ったら、骨と皮しか残らんな、という保険バカもたくさんいた。
一方、売れない営業パーソンの中には、とても頭の良い人たちがたくさんいた。理路整然と話し、頭の回転も速い。しかし、売れない。そんな人がたくさんいた。
 
今振り返ると、頭が良くはないが売れる営業パーソンであった人たちは、みんな
相関関係を重視していた
ように思われる。
逆に言うと頭がそんなに良くないので因果関係の詳細まで思考が回らなかったという見方もできるけれど、「うまくいってる人がやってることはとりあえずやってみよう」という思考回路だった。
売れる営業パーソンが何が理由で売れているのかは良く分からない。だから、時に髪型を真似したり声色を真似したり手仕草を真似したり、歩き方を真似したり、そういう非生産的に思える真似事もたくさんしていた。
そして、彼らの多くは、かつて自分が憧れた売れる営業パーソンに、いつしかなっていった。
 
売れない営業パーソンは、ことごとく因果関係を重視していた。
証明されていることなら納得できる、そうでないならそうではない。
そうやって自分に取り入れるものを断捨離しすぎたがために、自己成長のための選択肢は当然のように狭まり、いつしか「いつまでも変わらない人間」が出来上がっていった。
売れない営業パーソンが変わらないのだから、その人はずーっと売れない営業パーソンのままである。
そうして、いつの日か業界から去っていったり、うだつの上がらない業界歴だけは長い人間としてキャリアを積み重ねていくことになっていた。
***
繰り返すけれど、因果関係は滅多に証明されない。だから、それにばかりこだわると、自らの進むべき道の選択肢を無駄に狭めることになる。
タバコと肺がんの関係ですら、相関関係までしか証明されていないのだから、営業パーソンのアレコレと成績の関連なんて、言わずもがな。変数が多すぎて、証明なんてほぼ不可能だ。
結局僕たちは、因果関係が証明されていない、あるいは後から証明されるもの、そして自分が今の時点では納得できないことを、どれだけ潔く飲み込めるかを試されているんじゃないかと思う。
 
旧来型マネージャーがよく言う、「いいから黙ってやれ!」は、
「因果関係はいいから相関関係にこだわれ!
売れる営業パーソンの真似をしろ!
プライドを捨てろ!自らを変革しろ!」
という意味だと思ってもらえれば、少しは納得感があるだろうか。
マネージャーの無能を嘆く前に、自分が納得し得る因果関係にばかりこだわってないか、自問自答してみてほしい。
あなたがホリエモンや佐藤航陽のような天才ならば別にとやかくは言わないが、大半の人は凡人なのだから、原理原則に従った方が人生ラクに進むよという話。
***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。
退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!
我が生涯に一片の悔いなし!!!
Twitter: @raoukeita(現在フォロワー数707人)
メルマガ希望:kusog.akaba(アットマーク)gmail.comまで。組織の人財育成について書いてます。
いずれも申請の際は、世紀末覇者として最低限の自己紹介と愛のある一言をお願いします。
欲しいものリストはこちらです。万が一くれる人いたら泣いて喜びます。http://amzn.asia/1UjBxuf

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事