「つばめグリル」
この固有名詞は、多くの人にとっては、「ちょっとおしゃれでなかなか美味しいハンバーグ屋さん」の一つに過ぎないと思われる。
食べログでは3.5を超える店舗がいくつかあり、それなり以上のクオリティの店であることは疑いない。しかし、「ちょっとおしゃれでなかなか美味しいハンバーグ屋さん」であれば、他にもたくさんある。取り立てて特別な競争力が「つばめグリル」にあるわけではない。
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この「つばめグリル」、僕にとっては、実は特別以外の何物でもない存在だ。10才頃から通っているからもうかれこれ30年近い付き合いになるだろうか。
当時住んでいた二子玉川の高島屋の端っこの方にひっそりと佇んでいた「つばめグリル」は、小学生の僕にとってはたまにしか食べられないご馳走だった。
誕生日は「つばめグリル」、親戚が集まったときに行くのも「つばめグリル」、受験に受かったら「つばめグリル」と、家族でのご馳走は常につばめグリルだった。
 
そして大人になった今、二子玉川には滅多に行かなくなったけれども、「つばめグリル」は品川駅にも銀座にもあることがわかったので、自分の中でちょっとめでたいことがあったときには、やはり「つばめグリル」に行っている。
だいたい仕事中か仕事終わりなので、一人ぼっちで寂しい感じではあるのだけれど、その瞬間、僕はいつも小さな幸せに浸っている。
「つばめグリル」の「つばめ風ハンバーグ」(冒頭写真)は30年近く経っても変わらず絶品であり、いつも僕は色々な思い出とともにそれを爆食している。
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上記から何が言えることは、「つばめグリルが素晴らしい」ということではない。むしろ、
人は大人になっても幼少期の価値観にかなりの程度縛られて生きている
ということを伝えたくてこのエントリを書いている。
 
僕が「つばめグリル」をこよなく愛する理由は、味が素晴らしいからでも、店の雰囲気が良いからでも、もちろん食べログの点数が良いからでもない。それらも理由の一つではあるが、もっと根本的な理由としては、幼少期に
つばめグリル=◎
という価値観が家族によって刷り込まれたからこそ、大人になった今もそうあるというだけの話だ。
 
だから、たとえば子供の頃に家族のお祝い事が叙々苑で開催されていれば、大人になった今も叙々苑でお祝いをしていたと思うし、マクドナルドでそれをやっていたんだとしたら、同じようにマクドナルドでお祝いしていたと思う。
ある意味で、それ以上でも以下でもない話になる。
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これは、考えようによっては少し恐ろしい話にもなる。
「つばめグリル」でお祝いをするか、「叙々苑」でお祝いをするか、といった程度の話であれば大したことはない。
ただこれが、幼少期に
たばこ=◎
パチンコ=◎
という価値観が刷り込まれていたとしたら、やはり僕はそういう大人になっていたと思う。
幸いにしてうちはタバコも酒も跋扈していない家だったし、代わりに本がやたらとスペースをとっていたから、そういう価値観の大人になっただけである。
 
途上国でひどい場合には、
窃盗=◎
レイプ=◎
殺人=◎
とかが幼少期の価値観として子供に植えつけられていたりする。アフリカで問題となっている少年兵はその典型だし、有名どころで言えばこちらの映画はまさにど真ん中。

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子供の頃、自分がどういう価値観なのかを、自分で客観的に判断することはそう簡単なことではない。親と友達と先生が自分の価値観の全てであり、その外側に世界が広がっていることなんて、よっぽど注意深い子供でもないと無理だと思う。
人間は幼少期の価値観によって無意識の行動を取ってしまうことは上記で述べた通りではあるし、大概の意思決定がそれに基づいている。
しかし一方、こういう事も言える。
大人になったら、それを覆すことも可能である。
 
子供は環境を選べない。一方の大人は、お金と時間の使い方を自分で決めることができる。だから、幼少期にこれを規定された価値観も、ちゃんと手順を踏めば変えることができる。
結論はありきたりな話になるかもしれないけれど、敢えて言いたい。
素晴らしい価値観を子供のときに仕込まれていれば、そのまま人生のコマを進めていけばよい。しかし、多くの人にはそのそれぞれにそれなりの問題や課題があり、聖人君子ばかりがこの世に存在しているわけではない。
だから、大人になったらその置かれた立場や責任に応じて、いかに自分を作り変えていくかが問われることになる。幼少期の価値観は引きずるに値する重さを持っている。しかし、それを必要ならば上書きしていける強さを持てるかどうか。
どんな家庭に育ってもちゃんと生きている人もいれば、色々な環境事由を言い訳として、間違った価値観のもとに間違った生き方をしてしまう人の違いは、こういうところにあると思う。
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