2019/01/13
こんぬつわ、文豪です。
今日はいつもブログを楽しみにしてくれているみんなに、一言謝りたい。実はこの数日、ブログが更新出来てなかった。連絡も遅くなりがちだったかもしれない。なんでかって?
なぜずっとぐったりしてたかって?そりゃあ、疲れたからですよ、ダンナ。
先日、かのマッキンゼーでパートナーまで上り詰め、14年戦ったその後転身して現在は世界と戦う日本発のベンチャー育成に注力されている方をお招きして、仲間内で勉強会を開催したんだ。その講師がこちら。
そう、親父である。
想像してみてほしい。幼い頃から家にほとんどおらず、たまにいる日は家ですれ違いざまに極圧のパンチを放ってきて、テニスを一緒にやればアップの一球目の段階から全力で打ってくるKYぶりで、友達を連れてきたらパンツ一丁で出迎えて、そして彼女を初めて家に連れていった際には、『どうも、羅王のチチです』と言って彼女の顔ではなくチチを凝視するような父親である。
そんな父親を招いて、崇め奉って講師として迎え、まがりなりにも仲間に価値を届けようとする、それがどんなに苦痛、もといプレッシャーなことか。。企画時点で汗をかき、当日本番は脇汗から頭皮汗から尻汗など細かいところまで汗びっしょりであった。
ただ一方で、小さい頃から大人になるまで、徐々にそのスゴさ、凄まじさが分かってきた親父という生き物について興味があったのも事実。『飯、風呂、う○こ』と単語を発するのみならず、まともに話をしている場面を見てみたいと思っていたのも本心。
親父が本を出版したと知ったとき、二秒ぐらい考えて、俺は講演会を企画した。下手したら誰も来ないかと思ったが、結構な人数が集まってくれた。
当日は2時間の講演予定だった。俺はドキドキしていた。なにせ、対外的にスゴいことはなんとなく知っていたが、なんせ家では上記に書いた通りである。ほんとにしゃべれるのか??会社ではなんかズルしてエラくなったんじゃないのか?本番直前まで、俺はかなりドキドキしていた。少し昔を思い出しながら、俺は本番の準備をしていた。
うちには親父、俺、弟と、標高180cm程度が3人いた。狭いので、争いが起きた。
唐揚げは最初に席についた人間が全てたいらげて、後には文字どおりペンペン草も生えていなかった。なんかのきっかけで友達にプレゼントしたドーナツに、3人それぞれの歯型がついていて、全く円の形をなしていなかったこともあった。全部食べるのは忍びないという配慮の現れだと思うが、それを3人がやったから、結局ドーナツはドーナツではなくなっていた。
すれ違う時、無言のまま拳を相手に叩きつけるという習慣がいつのまにか出来上がっていた。パンチを放つ方が悪いのではない、隙を見せる方が悪いのだ。顔を標的にするのは一般常識として無しだったのが救いだったが、突然攻撃するのはアリだった。治安の悪いリマやデリーよりも、家の方が被弾する確率が高かった。挨拶はいつだって、『おはよう』や『おかえり』ではなく、『ゴスッ』、『ドンッ』といった鈍い音だった。
いつだか弟とケンカになって、仲裁にはいった親父は、収まらない俺たちに向かって、『相手を殴るならコレを殴れ!』と尻を出してきた。俺が生まれて初めて経験した手首の捻挫は、このときに起こったものだった。元アメフト選手の尻をナメてはいけない。舐めてもいけない。
犬にとっては、家の中は階級制度で区分けされている。一番世話をしてくれる人が主人、その他は自分以下の下僕である。家で最も物理的な力があった親父は、犬に最も吠えられる下僕だった。『ゼロ秒思考』とか言ってるくせに、犬に吠えられてるときは5秒ぐらいワナワナと震えていた。
そんな頃を思い出しながら、俺はそそくさと準備をしていた。そして、講演会が始まった。
話を始めて10分後、俺はびっくらこいていた。俺の知っている親父ではない。紛れもなく、世界の一線で長年戦ってきた男の声であり、話であり、姿であった。2時間でガトリング砲のように話し、45の質問を捌き、そのいくつかをコンマの速度でぶった斬る姿を見て、ああこうやって世界で戦っていたのか、と、一人感慨に耽っていた。
話の内容は、本の主題でもあったゼロ秒思考を実現させるメモ書きに関する一部を除いてほとんど忘れてしまった。ただただ、衝撃だけが残った。他の参加者が受けた衝撃とは違う、俺だけの衝撃。
知ってはいたが認めたくなかった、しかしずっと興味はあって、でも確かめる勇気を持てなかった世界、それを、2時間という短時間ながら知ることが出来た。
終わった後の懇親会でも訳の分からない勢いでしゃべったあと、いつものドラえもんのような歩き方で帰っていった。
親父が帰ったあと、参加者みんなから御礼を言われて、俺は正直結構な精神の葛藤があった。誇らしい気持ちは確かにある。確かにある。それは嘘ではない。
しかし同時に、とっても悔しかったのも事実だ。少なくない努力と、少なくない実績で、少なからず追いついたと思っていた背中が、実はとんでもなく遠くにあったということを、まざまざと見せつけられたからだ。
ただ俺は、この『悔しい』という気持ちに蓋をせず、きちんと正視することにした。それは俺の成長意欲の現れであり、逆に悔しいとか見返してやるといった感情が一ミリも生まれないようでは、『お前は既に死んでいる』状態だと思っているからだ。
ま、いろんな感情があったにはあったが、FBでは何人かには伝えたように、俺はこの企画に乗ってくれた仲間全員に感謝している。
『永遠のゼロ』が今話題だ。戦争を語れる人が本当にこの世界からいなくなりつつある現在、最後の最後のタイミングに、あの『永遠のゼロ』があったことによって、自分の系譜や起源について考え、会話する機会を、みんなが得られたと思う。本当に大事な話は、身近な人から聞けるってことなんだ。
同様の機会を、俺は今回与えてもらったと思ってる。本当にみんなには感謝してもしきれない。下手したら、将来葬式で後悔するだけに終わってたかもしれないところを、ほんのちょっとの勇気とみんなの支えで、俺は人生有数の貴重な経験をすることができた。
勿論、親父にも感謝している。ただ、その感謝は、少しみんなが想像しているようなものとは違ったものだ。
俺が感謝しているのは、親父が砂場の山や高尾山や富士山ではなく、エベレストのように遠くにそびえていてくれることだ。そして、いまや宇宙空間に飛び出さんばかりの勢いで未だに激しくトレーニングしていてくれることだ。ちょっとやそっと翼を鍛えたぐらいでは飛び越えられない高さにいてくれることだ。
形や道は違えど、俺は必ず俺自身のエベレストや俺の北極星を見つけて、たどり着いてみせる。
そう確信できた日だった。
だから、繰り返すけれど、ぐったり疲れたんだ。
そんなはなし。
てわけで皆さんありがとうございます!
世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただけたことを感謝します。
引かぬ媚びぬ省みぬ!
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