2014年8月24日、25mプールで溺れそうになってから約半年、今期最大の目標としていたIRONMAN JAPAN 2014(スイム3.8km、バイク180.2km、ラン42.2km)を完走し、無事『IRONMAN=アイアンマン』になりました。半年間の奇跡の軌跡を、またまた赤裸々に綴っておきたいと思います。何回シリーズになるかは不明。
ご参考までに、走り始めて9ヶ月で初ウルトラマンになった野辺山100kmウルトラマラソン日記はこちら。
その2週間後にダブルウルトラマンになった柴又100kmウルトラマラソン日記はこちら。
ウルトラマラソンやアイアンマンを目指す方、人生の角度を少しでも変えたい方、何とかやってはいけるけど日々出し切ってない感に苛まれている『普通の人』の気づきと勇気と元気の一助になれば幸いです。目黒勤務の『普通人』より。

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2014年1月21日 心が震え、そのまま踏み出すことを決めた日

『羅王さん、何でアイアンマンなんてやってるんですか?』
よく聞かれる質問である。
ふと思い返してみたら、アイアンマンに出場することを決意したのは、2014年1月21日だった。
この日が、今思えば全てのXデーだった。
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この日、俺たちは仲間うちで、小野裕史さんをお招きして、お話を伺うことができた。小野さんは、運動ゼロの35年の人生を過ごした後、WiiFitから始まり、ウルトラマラソン、砂漠マラソン、北極南極マラソン、アマゾンマラソンと、地球上ではあるけれどどこか別の世界へ逝っちゃったヘンタイである。
一言で言うと、
『ノーポチ(ノータイムポチリ)』
(=何も考えずに心の震えた方向におもむくままゼロ秒思考でレースに申し込んだり人に会いにいったりすること。)

で人生変わるよ、そんなことをアツく語っていただいた数時間だった。
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その後の懇親会の席で、こういうことになると途端に興奮する通称『小僧』。写真 (2)
『スゲーっすよ!人生変えましょうよ!ノータイムポチリしましょうよ!ウルトラマラソン出て、アイアンマンにもなっちゃいましょうよ!めっちゃオモロいじゃないですか!めっちゃオモロいじゃないですか!』
物事のポジティブな面を表すときのボキャブラリーが、
『スゲー』、『めっちゃオモロい』の2つの単語しかない三十路男子の小僧。
強烈なオフェンスのパワーを持つこの小僧の巻き込みによって、その場で次々とウルトラマラソン参加、アイアンマン参加が決定されていく。(不必要な情報だが念のため追記しておくと、小僧のディフェンスパワーはW杯で惨敗したブラジル並みに堅守を誇る)
ちなみにこのときの俺たちのスペックは、師匠の元帥とラン経験の多い仙人以外の大体が、
・フルマラソン出場なしもしくは1回完走。
・サブ4ランナーはゼロ。4時間半〜5時間半程度。
・走り始めて4ヶ月程度。
つまり、『どこにでもいる普通の人』だった。
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ある種異常な雰囲気のなか、ウルトラマラソン参加が決まってハイタッチ、アイアンマン参加が決まってハイタッチと、日本人の最大の弱点である『大衆に流される』モードが全開となり、会場は狂喜乱舞していた。
ハッと冷静になった俺は、流されまいとした。
フルマラソンの延長戦上にあるウルトラマラソンには参加を表明したものの、想像が全くつかないアイアンマンに関しては、何度小僧に誘われても、
いや、今回はいいです。
と断った。
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帰ってから、そもそもアイアンマンってなんだっけな?と思って、一応断るなら断るなりに理由をもっておこうと思って、調べてみた。
スイム3.8km、バイク180km、ラン42km。とんでもない距離だ。
ちょっと待て。去る11月の初マラソン、俺は4時間21分で完走したが、この世の地獄を見た。
アレが最後のオマケみたいに付いている。アイアンマン?なんだそれは???アホなのか?アホなのか?
念のためYouTubeで調べてみる。
・・・
・・・
・・・
やられた。
コレ
 
泣いた。心が震えた。もうダメだ。俺は自分でも気づかない間に、HPを移動していた。(動画は、暗い部屋で音量MAXイヤホンで聞くと、10回見て10回泣けるので試してほしい)
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小野さんが言っていた『ノーポチ』というのは、因数分解するとこういうことだと思う。
①心が震えること
②心の震えた方向に一歩踏み出すこと
一歩を踏み出さなければ、誰もが知っている通り人生なんて一ミリも変わらない。心が震えない一歩を踏み出したとしても、それはきっと頭で考えた一歩であって、心に従った一歩ではない。それは、『金がいいからしたくもない仕事に転職している』サラリーマンと一緒だ。心が震え、そしてその方向に一歩踏み出すこと。
小野さんが言っていたのは、きっとこういうことだ。
気づいたら俺は、たったの半年後に行われる、アイアンマンジャパンにエントリーしていた。こっそりと。ひっそりと。
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2014年1月28日 鉄人会議

1月28日、小野さんのお話を聞いて1週間後。
この日は、『鉄人会議』が開催される日だった。21日に小僧の巻き込みによって、ウルトラマラソン、アイアンマンにエントリーすると表明した人は結構な数いたが、ことアイアンマンに限っては、スイムやバイクがあるため命の危険が伴う。
師匠の元帥閣下が持ち前の厳しい目で各自の戦力デューデリジェンスを行い、事前に関係者に馘首を宣告したため、アイアンマン挑戦者は元帥ご本人、ウルトラマラソン経験のある仙人、スーパー商社マンで根性と資本力のあるK兄さん(つまりは今のポセイ丼の構成員)だけとなっていた。
巻き込んだ本人の小僧は、フルマラソンの経験がないことを理由にいの一番に馘首されていた。
K兄さんは、この時点では明確な参加表明はしていなかったが、あとで盤石に参戦の旨、回答をしていた。この頃から盤石だった。
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『鉄人会議が1月28日に開催されるらしい』
そんな噂を聞きつけた俺は、培った諜報力を武器に、鉄人会議開催の5W1Hを割り出し、こっそりしてあったアイアンマンの申し込みの報告を胸に、会場に向かった。
元帥に見つかると俺も体力不足と太り過ぎを原因に馘首される恐れがあるので、アイアンマン参加が決定していた仙人にこっそりそんな気全くないよふうなてい全開で、鉄人会議の情報を聞いた。情報管理がずさんな仙人は、裏側で俺のことを元帥に相談していたらしい。
同年代、同体格、同睡眠系統の熊と一緒に、偶然を装って、元帥と仙人が視察に来ていたワイズロード新宿店で鉢合わせという名の待ち伏せをしようと画策した。
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店には、見た事もないようなカッコいい自転車が置いてある。値札の価格が思ってたより一桁高い。50000じゃなくて500000?会社名が読めない。『セルベッサ』と俺が読んでいた会社名は、正式には『サーベロ』だった。Cerveloと書いてあるから、メキシコとかで飲んだビールの名前かと思った。
今なら分かるTTバイクと、ロードバイクの違いも分からなかった。
TTバイクとは、タイムトライアルバイクの略で、姿勢を低く保つことでより高速巡航が可能な、トライアスロン専門バイクのこと。ロードバイクは、皆さんがよく街中で見るような、ちょっとカッコいいハンドルのカーブしたバイクだ。
サドルを見る。尖ってる。俺の尻に綺麗に刺さりそうだ。腹は弱いのだが尻は強そうなのだが、尻からきた振動が腹にどんなマグニチュードを与えるか心配になる。
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そうこうしているうちに、元帥に見つかった。
『何してるんですか・・・』
案の定、ほ乳類には聞き取りにくい重低音で言われたので、
『偶然です。』
と応えた。
ため息をつく元帥を尻目に、仙人と合流し、そのまま許可を得ない状態で鉄人会議に押し掛ける。
『今日は、鉄人会議がどんなものか、視察に来ました』
といってしばし黙っていたが、既に参加している元帥と仙人の間で交わされる会話があまりにも世間離れ。
まるで、サイバイマンがギニュー特戦隊に紛れ込んでしまったようだ。そしてその内容があまりにカッコいい。
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我慢できなくなった俺は、ついにゲロしてしまった。
『すいません、アイアンマン、申し込み済みです。』
・・・
・・・
元帥と仙人は、しばし驚いたのち、まぁ君ならなんとかなるかもしれませんねと、ため息とともに歓迎の意を示してくれた。初フルマラソンで、4時間21分という悪くはないタイムを、明確な目標設定とともに出した俺のことを、少しは認めてくれていたのかもしれない。
ふと正面を見ると、ラン能力まで含めほとんど同じのライバル熊が、プルプル震えて今にも卒倒しそうな顔をしていた。
熊は、スラムダンクの山王工業の不動のセンター河田雅史の弟の河田美紀男に似ている。温厚を絵に描いたようなキャラだ。その熊が、怒りと嫉妬でプルプル震えている。
『も、も、も!』
人間の言葉をしゃべれなくなっていた。どうやら、
元帥、仙人、(K兄さん)=アイアンマン出場
熊、俺=仲良くお留守番
の絵面を頭の中に描いていたのかもしれない。俺もそのつもりだったが、前述の通り心が震えてしまったので、既に一歩は踏み出した後だった。
熊に別れを告げ、とにもかくにも俺は正式にアイアンマン出場を決めた。アイアンマンへの道のりも必要な装備も練習も、何も分かっていなかったがとにかくエントリーだけは決まった。
もう少しロジカルな心意気に関しては、こちらに詳しく書いてある。
兄さんも後日正式に参加が決まり、チーム名も、いつの間にか『ポセイ丼』になった。予想以上に現在地と目標が乖離していることを痛感させられる練習が始まった。
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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。
引かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!
我が人生に一片の悔いなし!!!
 

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