ファインプレーが多い選手とそうではない選手、どちらが優秀かと言えば、素人目には前者だけれど、玄人目には後者だ、ということが野球ではよく言われている。
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ファインプレーは派手だし格好いいが、そもそもジャンプしたりダイブしたりギリギリで捕らなければいけないポジショニングの問題でギリギリのプレーにつながっているのであって、真の一流選手は、ピッチャーが投げた瞬間、バッターがスイングを始めた瞬間に数歩の移動を完了させているそうだ。
結果、なんのことはない普通のプレーにしか見えない至極の域のプレーが披露される。素人ファンはそれを当たり前のものとしてみるが、玄人ファンはそこで生唾を呑む。ヤクルトの宮本選手なんかが、このタイプに該当する。
イチロー選手は派手なプレーが多いように見えるが、それ以前の問題としてものすごく基本プレーに強い。レーザービームなんてのはそのほんの氷山の一角だ。
 
僕は、どちらかというとパッと見、ファインプレーの多い選手だ。偏差値8からの大学受験で、視力を活かして補欠合格を勝ち取ったし、空手では帯のレベルが低いときから、『変化蹴り』なる特殊な技が使えた。(余談だが、今は『変化ゲリ』が得意だ。様々なシチュエーションでゲリをしている。)アイアンマンも、半年のキャリアで完走することができた。
大抵のスポーツでは、最初は人よりうまくやることができる。『センスありますねー!』と言われることは多い。ありがたい限りだ。囲碁でも、10歳下の師匠から『センスありますねー!』と言われて158回ぐらい図に乗った。
しかしここからが僕の良くないところ。その『センスありますねー!』という言葉に気分をよくして、すぐにファインプレーの習得に取りかかってしまう。
サッカーで言えばオーバーヘッドキック、空手で言えば変化蹴り、囲碁で言えば特殊な手筋。上級者であれば、まずはしっかりと止める/蹴る、下段蹴り、詰め碁が大事だと100人中100人が言いそうなところを、前述の派手なファインプレーに走ってしまう。

なぜって?カッコいいからだ!

 
ところが、そうしてファインプレーに精を出しているうちに、コツコツと基本プレーを続けた選手に抜かれてしまう。『この3年間、1回しか稽古休んでないんですぅ』と言った年下の極真道場生に言われたとき、こりゃ勝てんわ、と思った。僕は、色々と言い訳をつけて、しょっちゅう休んでいた。勉強でも、スポーツでもそうだった。囲碁でもそうなりかけている。
僕は、基本プレーをおろそかにしていても、ファインプレーで観客をうならせればそれで良いと考えていた。いや、この考えは今でもあまり変わってないかもしれない。
けれど、ある程度の年齢を経て、ようやくそれでは勝てないことが分かってきた。そして、勝てないことのフラストレーションは、基礎プレーばかりやることのフラストレーションの何倍もフラストレーションになるということが分かってきた。
『センスがある』と言われる手前、それっぽいところまでは行ける。テニスもそう、空手もそう、囲碁もそう。だけれど、それ以上には絶対にいけない。基本プレーをおろそかにしているツケというのは、大体の感覚で言うと中上級、もしくは上級なりたての頃にやってくる。
そこから基本プレーを始めるとどうなるか?
『飽きる』
 
基本プレーというのは、とかく時間がかかる。あるレベル(中上級とか)までそれをおろそかにしていたツケというのは、この基本プレーの反復という手段でしか補えない。しかし、見た目の『っぽい実力』と、『本当の実力』の間には相当程度の差がある。
ここを基本プレーの反復によって埋めようとしている間、見た目の実力にはなんらの変化も現れない。なぜなら、それはデトックスのようなもので、表面に現れるには時間のかかるものだからだ。
だからここで飽きてしまう。結果、その競技の成長はそこで止まる。
これが僕の『いままで』だった。
 
自信を持って継続しているのは、仕事ぐらいしかない。あとはやってはやめての繰り返し。そして最近頓に思う。

おらこんな自分、いやだ〜

ファインプレーは得意なんだけど、基本プレーはすこぶる苦手。基本プレーすら出来てないのにファインプレー連発なんて笑っちゃうね、と思ったそこのあなた。アホな僕のフリ見てせっかくなので自分のフリも少し見返してみてください。
基本プレーに嬉々として取り組んでる人を見ると、あーこの人は伸びるなぁ、自分もそうなりたいなぁ、といつも思う。
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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

 
 
 

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