昨日、絡む絡まないの話を書いたが、そういえば20年ぶりぐらいに絡まれた。生唾モノだったのでシェア。
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僕は比較的、平和のなかで生きてきた。
地元の中学には、「用賀喧嘩会」なる武闘派組織の中枢にいた方々(と言っても中学生)がいたが、僕はたまたま中学受験をして地元を出ていたので、そういった素敵な方々と触れ合う機会はなかった。中学高校大学と、いじめなるものを受けたこともしたこともない、勿論武装の必要もない安穏とした環境だった。
初めて絡まれたのは、中学3年生の時だっただろうか。
僕は友人とゲームセンターに入り浸っていた。当時は細かった(50kgぐらい?)のくせにパンチングゲームが好きで、その友人となけなしのお金を払ってなけなしのパンチ力を競っていた。
そんなときに、自分たちより1〜2歳年上と思われる高校生に絡まれた。あちらは1人、こちらは2人。パンチ力には自信があったので仕掛ければなんとかなったかもしれないけれど、大人びた雰囲気、自信満々の表情、余裕を感じさせる絡み方から、「これはプロだな。」と勝手に判断し、萎縮してしまった。
いわゆる「カツアゲ」にあったが、どちらもお金をほとんど持っていなかったのと、「どうすんだよ、あぁ?」と言われても下を向いて首を振り続けていたら、いつのまにかどこかに行ってしまった。
ほろ苦い「初体験」であった。
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2回目に絡まれたのは、高校1年生のときだった。場所はまたもゲームセンター。
当時は「ストリートファイターゼロ」の全盛期。僕は大抵の場合、その日そのゲームセンターにいる人のなかで1〜2番目に強かったため、当日も勝ちまくっていた。
ある種の「ハメ手」と呼べるような、ある程度の上級者でないと防げない攻め方をしたら、相手はそれに見事ハマって僕に5連敗ぐらいした。1回50円。5連敗で250円。ゲームセンターにいる人間にとっては大金だ。
1回勝つごとに舌打ちや台を叩く音が聞こえたが、ゲームの勝負はゲームで付けるという姿勢が徹底していたため、僕は気にしていなかった。
が、ついに5連敗を喫したらへんで、相手が立ち上がり、こっちに「っざけんじゃねーよ。おいコラ。」とやってきた。最初は無視していたが、あまりに横でブンブンうるさかったので、相手に喉輪を仕掛ける形で立ち上がって黙らせることにした。
そしたら思いのほか相手はガタイの良いヤツで、しかも横にはお仲間が2人いた。

あ・・間違えた。。

と思った時には遅かった。僕は3人に囲まれた。
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うーむ、1対3はマズい。しかも回りの人は見てみぬふり。。
「ぶっ殺すぞオラァ!」
マズい、喧嘩馴れしてる。対してこちらは小学生時代の友だちとの小突き合いと、中学のときのカツアゲ経験のみ。ブラジャーすら見たことない程度の童貞な俺の道程。
その3人のうちの、僕に絡んできたリーダー格のガタイの良いヤツが言う。

「おいおい、死んじゃうよ?高校生さんよ〜!」

 
 
 
 
 
 

ん?

高校生「さん」?

 
 
 
 
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まさかと思って確認してみた。
「お、おまいら、中学生か。」
たしかにガタイが良いとはいえ、少し幼い表情を漂わせている。年下に絡まれたなんて、ちょっと恥ずかしい。リーダー格の「中学生」が言った。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

「小学生だよ、んだコラオラァー!!!」

 
 
 
 
 
 

手には3人とも警棒を持っていた。


 
高校1年生1人 VS 警棒を持ったがガタイの良い小学生3人、というシュール過ぎる戦い。
結局、プロレスラーみたいなガタイのお兄ちゃんが「その辺にしとけ。おまえら。」と仲裁に入ってくれ、事亡きを得た。正確には「外でやれ。(俺は静かな環境でゲームがやりたい。)」とのことだったので、小学生たちは、「外でボコボコにしてやるからな!逃げんじゃねーぞオラァ!」と叫びながら外に出て行った。
僕は映画泥棒のようにコソコソと逃げた。
世は世紀末に近づいている、と確信した出来事だった。
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時は経ち、昨日。
中学1年生のときに153cm38kgの可愛らしいチェリーボーイだった僕は、高校3年生のときに178cm63kgになり、今は179cm(惜しい!)86kgの可愛らしいカウボーイになっている。
極真空手、ウルトラマラソン、アイアンマンを経て、あまり絡む対象でもなくなってきたのかなと思ってた。たまに混んでる電車とかでぶつかっちゃって気の短いおっさんに舌打ちされることはあっても、こちらを見た瞬間にすごすごと退散するのがパターンだった。そんな矢先のことだった。
僕は左右の手に2つずつぐらいの荷物を持っていたため、電車で少々足を広げ気味に座っていた。といっても、そうでもしないと荷物が左右にバラけて他の乗客に迷惑をかけるからと思ったからであり、かなり膝をギューギューに閉めて小さくなっていた。そしたら、

ガン!

いきなり靴を蹴られた。前触れなし。まぁ混雑してる車内ではたまにあることなので、ん?と思って見上げると、リーマンが僕の靴を蹴ったその勢いで横にドスンと座ってきた。
いやいやちょっと、ぶつかったとか間違えたじゃなくて、蹴ったでしょ。車内混んでないし、わざとでしょ。今日磨いたばっかなんだけど!!!
そんな抗議の意味を込めてそちらを見やると、

「んだコラ、文句あるのかよ。」

と言われた。おっとここにきて突然のろくでなしブルース!「吉祥寺」を「ジョージ」と呼ぶあの軍団の生き残りか!

平和だと信じて行った先のナメック星が、とてつもない戦闘力を誇るフリーザ様一味に支配されていたと知ったときのあの緊張感。心臓がバクバクする。
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こちらとて、蹴られたままでは納得いかないので、少し長めに抗議の視線を送る。「蹴りましたよね?」と目で訴えながら。そしたら、

「なんやコラ、やんのかオラ。」

うお、まさかの関西ノワール!?

だいたいヤクザは西高東低。リーマン会もなのか、やたら強気なリーマン。
目的地まで着いた僕は、降りようとした。が、間の悪いことに荷物を沢山持っていた僕は、よろけてそのリーマンの靴を結果的に蹴り返すことになってしまった。

「ちょっと待てぇオラァ!!!」

あーあ、と思って降りた電車を振り返ると、なんと降りて追いかけてくるリーマン。目が怒ったときの完全体セルみたいに真っ赤になってた。顔も赤い。どうやら相当酔っぱらってるらしい。
追いかけてくるリーマン。リーマンから目を切らさないようにマイケルジャクソンなムーンウォークで後ろに下がる僕。

「ぶっ殺すぞオラァ!やんのかてめー!あぁ?ゴラ!」

一応、仕方ないのでため息をつきながら臨戦態勢に入る。
上から下までボディチェック。大丈夫、完全な素人。たぶん大振りで顔を狙ってくるから、ちょっと避けて3秒ぐらいで制圧可能。ただし、勢いがプロ級。
リーマンがここまで強気なことにリーマンショック!
そんなに弱そうに見えたか、俺。
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リーマンの奇声を聞きつけた駅員さんが、駆けつけてきてくれた!
・・・と思ったら、おじいちゃんな駅員さん、めっちゃ牛歩!!!
僕がリーマンの勢いに後ずさるそれよりもはるかに遅いスピードで、こちらに近づいてくる。止める気なし!?
僕はついにホームの端まで追いつめられ、あとはホームから落ちるか殴り掛かられるのを待つばかりになっていた。駅員さんがくる間も、

「あぁ?ぶっ殺すぞオラァ!」

と、壊れかけのレイディオが唸る。本当に殴りかかってきそうな1秒ぐらい前に、ようやく駅員さんが牛歩で到着。
リーマン、叫ぶ。
「コイツが俺の足蹴りよったんやぁ!!!んならぶっ殺してやるぞあぁ?」
ま、まぁ否定はしないけど、僕はたまたま。あなたはわざと。しかもかなり強く。「いや、逆ですけどね。」と小さく反論しておいた。
「欧米流の『言い勝つ者の正義』に負けない力を身につけよう」なんてテーマの勉強会に参加しているものの、欧米流どころか関西流にすら言い負ける始末。ディベートの能力を全く発揮出来ない完全アウェー。怒鳴るリーマン、掻き消える僕の低周波な声。もはや怒鳴リーマン
しかも明らかに酔っぱらって激昂してるリーマンと、明らかにシラフで冷静な僕を見比べたおじいちゃん駅員さん、なぜか僕に非難がましい目線を向けてくる。

ちょ、ちょ、ちょっと待って、おじいちゃーん!

思わず心の中でラッスンしてしまった。そうか、これが「言い勝つ者の正義」か。中国や北朝鮮が全く道理の通らないことを叫んでいるのに、なぜかそれに同調する勢力が存在するという世界の理不尽さ。そしていつの間にか、無理は新たな道理となっていく。
その縮図をこの銀座線のホームで味わうことになるとは思わなかった。
そこから急にシャキッとした駅員さんが、「双方、納得していただけますか?」と場を仕切り、「関西人ナメんなやコラァ!」と捨て台詞を吐いて、リーマンは電車に戻っていった。「忍耐」がテーマだった2週間を振り返り、かろうじて耐えた自分を少しだけ褒めてあげた。僕にもっと器があれば、靴を蹴られたところでニッコリ振り向き、

・・・と、おっしゃいますと?

と緩やかに切り抜けられたのに、仕掛けられたこととはいえ反応してしまった自分を恥じもした。
以上がリーマンショックの話。
 
直後に会ったザックに、

「いや〜、災難でしたね〜。」

とニヤニヤしながら心のこもってない声で言われたことに一番ムカついた。
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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

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