百田尚樹さんがまたやってくれた!!!
「永遠の0」、「海賊と呼ばれた男」と、近代日本を作り上げた男たちを鋭く描いた長編とは対照的な、メルヘンチックな短編、その名も、
「カエルの楽園」

かの大作2つを凌ぐ「最高傑作」と自身が評するほどの出来らしい。
読んでみての感想は、
小学校での教科書に認定レベル
なほど、
▼小学生にも読める簡易さで、
▼現代日本と日本人のおかれた環境を的確に表し、
▼このままだと日本が具体的にどうなっていくのを、決して非現実的ではない日常の連続帯として、
描いている。
どんなネットの情報よりも政治の本よりも、これが一番勉強になるかもしれない。問題児が書いてるだけあって完全なる問題策だけれど、右でも左でもなくど真ん中を目指す人は、ぜひ読んでほしい。
百田さんが書いてるだけにだいぶ偏りはあるものの、本人曰く「忠実に、ねじ曲げないように」描いたとのこと。
ちなみに完全ネタバレ失礼御免だけど、登場人物や設定は以下。これを読むだけでだいぶ偏ってるのが分かる。しかし世の中が偏ってるのだから、それを描写すると偏るのは仕方ないと個人的には思ってる。あとは読んでください。分からなかったことがものすごく分かる本也。
***
【あらすじ】
大虐殺を逃れて奇跡の国ナパージュにたどり着いたアマガエルの物語。滅びた祖国とは違い、一見して完璧な国に見えるナパージュ。平和で肥沃で、カエルたちは決して争いをしない。しかし、よくよく見ると様々な問題があり、特に南の崖から侵入してくる天敵に頭を悩まされていた。この国では「三戒」と「謝りソング」が全ての平和の源だと考えられている。
 
【主人公】
ソクラテス:他のカエルによる虐殺を逃れてナパージュの国にたどり着いた主人公
仲間は親友ロベルト以外全員死亡。常に「それは本当に正しいのだろうか?」と自問自答するあたりがソクラテス。
ローラ:たぶん現代キャリア女性のこと
ナパージュの典型的メスガエル。国のためにオタマジャクシを産むなんてまっぴらだと思ってる。
 
【国、国民】
ナパージュ:たぶん日本のこと
「NAPAJ」をひっくり返すと「JAPAN」のため。カエルに必須の水は清く草も生い茂り、平和で豊穣。国は崖に囲まれて守られている。「三戒」、「謝りソング」が生まれて以来、一度も他国と争いになっていない。
 
ツチガエル:たぶん典型的日本人のこと
「三戒」を何よりも大事にしている。基本的には純朴で親切で平和を望んでいるが、「その昔、自分たちの祖先は残虐だった。だから我々も本性では残虐である」と信じ込まされている。普段は温厚だけれど、「三戒」や「謝りソング」に疑義を挟むと集団で凶暴化するカエルもいる。
 
ウシガエル:たぶん某大陸(人)のこと
「南の沼」で他の国のカエルを食いまくってる、巨大で凶悪なカエル。南の崖からたびたび登ってきて、ナパージュに侵入してくる。スチームボートがいる間は崖を登ってこない。百田さん勇気あるー。
 
ヌマガエル:たぶん某半島(人)のこと
親ガエルも含めナパージュ(=日本)生まれナパージュ育ちなのに、ナパージュが嫌い。ツチガエルと見た目がそっくりだが、ツチガエルに似ていると言われると猛烈に怒りだす。百田さん勇気あるー。
 
デイブレイク:たぶん朝日新聞のこと。「デイブレイク」=「夜明け」、もしくは「デイ(日)をブレイク(壊す)=日本を壊す」から。ナパージュいちの物知りで、大衆の心を掴んでいる。毎日朝晩、ハスの沼地にカエルたちを集めて、ナパージュがいかに最悪な国か、ツチガエルがいかに残虐なカエルかを、各種データを用いて講演をしている。「三戒」と「謝りソング」を大絶賛。逆らうヤツはリンチ。
 
スチームボート:たぶんアメリカのこと。
「スチームボート」=蒸気船=黒船の意味だと思う。ナパージュだけでなく、北の荒れ地、西の草地、東の森、南の沼をかつて統べていた巨大なワシ。昔ナパージュのカエルを沢山殺した。今はナパージュの東の岩山を第二の住処としていて、ナパージュを守っている。ただし、最近は老化により全盛期の体力がなくなり、反比例するように世界中に敵が増えているため、ナパージュはナパージュのカエルたちが自分で守るべきだと考えている。「三戒」の元々の作者。
 
ハンドレッド:たぶん百田さん本人のこと。ナパージュでは嫌われ者で、デイブレイクのことが大嫌いで、デイブレイクからも嫌われている。いつもボヤいたり他カエルの悪口を言っているひねくれ者で、しかしなんとなく言ってることは本質的だったりする。
 
ハンニバル:たぶん自衛隊のこと。「ハンニバル」とは、カルタゴ史上最強の将軍で、ローマ史上最強の敵の名前。同じくナパージュでは嫌われ者で、特にデイブレイクから嫌われているが、ハンニバルはデイブレイクに反論も攻撃もせず、ただひたすら来る危機に備えてトレーニングをしている。ウシガエルと唯一まともに戦えるツチガエル。
 
【政治家、政治家もどき】
プロメテウス:たぶん安倍首相のこと
ナパージュを治める元老会議の若き政治家。ウシガエルの侵入を具体的な対策で止めようと、「三戒」の破棄を提案する。「プロメテウス」とは、「先見の明を持つ者」という意味。ただし、「プロメテウスの火」となると、それは原子力などの人間の手には負えない科学技術のことを指すため、そういう危うさも安倍さんにはあるよということを言ってるのかもしれない。
 
ガルディアン:たぶん民主党(民進党)のこと
英国のリベラル紙「ガーディアン」をイメージしてるのだろうか。元老会議では徹底的にウシガエルとの対話を重視。「三戒」と「謝りソング」がある限り、絶対にウシガエルも分かってくれると言い張る。ナパージュが侵略されても、ツチガエルが食い殺されても、ただひたすらウシガエルとの対話を重視するブレない姿勢が好印象。実はヌマガエルの子孫。
 
フラワーズ:たぶんSEALDsのこと。頭のなかがお花畑、という意味だと思われる。凶暴で残虐なウシガエルと仲良くできる自信があるらしい。ウシガエルと一緒に歌い、友だちになれるんだとか。
 
【「カエルの楽園」を理解するための最重要用語】
「三戒」:たぶん憲法9条のこと。
1、「カエルを信じろ」
2、「カエルと争うな」
3、「争うための力を持つな」
の三部構成で出来ている。元々はスチームボート(=アメリカ)が作ったもので、本来は「スチームボート様を信じろ」、「スチームボート様と争うな」、「スチームボート様と争うための力を持つな」だったが、いつのまにか「カエル」にすり替わってナパージュの国是となっている。
 
「謝りソング」:たぶん過去に積み重ねてきた日本政府の謝罪のこと
ツチガエル(=日本人)が自身の祖先たちの過去の過ちを謝ることによって、世界の平和を願う歌。「我々は、生まれながらに罪深きカエル すべての罪は、我らにあり さあ、今こそみんなで謝ろう」と毎日広場で歌われている。ただし、具体的に何に謝っているのか、どのカエルも実際は分かっていない。
 
お分かりの通り、設定からしてかなりの辛口となっている。
***
さて、いくつか現代を風刺した面白いセリフが出てきているので、列挙しておく。現実世界で言うとあのことね、このことね、というのがあっという間に頭に浮かぶ。百田さんはこういうところ、ほんとに上手い。ああ、ただのコピペみたいになってきた。

①「理由もなしにカエルがカエルを食べるなどということはありえません。
あななたちが言うように、ダルマガエル(=ソクラテスの仲間を虐殺したカエル)がアマガエル(=ソクラテスたちのこと)を襲ったというのが本当なら、
それはあなたたちがダルマガエルを怒らせるようなことをしたからではないのですか」
 
②「もし、襲われたらどうするんだ?」
「襲われるなんてことはありません」
「どうして?」
「どうしてって、三戒が誕生してから、この国は一度も他のカエルたちに襲われたことがないんです。一度もです。これは三戒のお蔭以外のなにものでもありません」
「もし襲われたら、どうするの?」
「襲われたって争いにはなりません」
「どうして?」
「ぼくらが争わなければ、争いにはならないからです」
「たしかに争わなければ争いにはならないだろうけど、襲われたら、どうやって身を守るんだい?」
「ですから、教われないんですから、そんな話をしてもしかたがないでしょう。この国は三戒が誕生してから、一度だって他のカエルに襲われてないんですから」
 
③「わしらが平和でいられるのは三戒のお蔭にほかならない。それ以外にない」
「下の沼地にはウシガエルしかいないのですか」
「いいや、他のカエルたちもたくさんおるよ」
「彼らはウシガエルの沼の中にいて、無事に暮らしているんですか?」
「毎日、ウシガエルたちに食べられておるよ。風のない日は、ときどき彼らの悲鳴がここまで聞こえてくる」
「助けてやろうとは思わないんですか?」
「助ける?どうやって?それにわしらには関係ないことだ。余計なことをしてウシガエルを怒らせたりしたら、いいことはなにもない。ナパージュのカエルは、他のカエルたちの騒動には関わらないのだ」
 
④「仮にナパージュのカエルが本当にひどいことをしたとしよう。しかしたとえば、あんたのじいさんのじいさんの、そのまたじいさんが一度だけ悪いことをしたのを、あんたは永久に謝り続けるのか」
 
⑤「でも、争わなければ争いが起こらないというのは正しいんじゃないか」
「たしかに争わなければ争いは起こらない。ただ、その場合は争いとは呼ばず、単なる虐殺という」
 
⑥「ローラはいつか卵を産む?」
「そうね、多分産まないわ」
「どうして産まないの?」
「だって、大変なことばかりじゃない?卵を産んで何かいいことがあるのかしら?いいことがあればいくらでも産むわ」
「いいことがあるかどうかはわからないけど、君たちが卵を産まないと、この国の将来はないよ」
「ナパージュのために卵を産めと言うの?あなたは元老たちを同じことを言うのね」
「あたしたちは卵を産むために生まれてきたんじゃないのよ。産むのも産まないのも、あたしたちの自由でしょ。あたしのお腹は元老たちのお腹じゃないわ。そんなに産め産め言うなら、元老たちが産めばいいんだわ。産めるものならね」
 
⑦「ウシガエルたちに悪意がないとどうして言えましょう。彼らは非常に残忍で獰猛なカエルなのです。彼らは南の沼に棲む多くのカエルを食い殺しているのですよ。こんなことが許されますか」
「プロメテウス、南の沼はウシガエルたちのものだ。彼らがそこで何をしようが、彼らの自由である。しかし彼らもここナパージュでは、そんなことはできない」
「どうしてできないのですか?」
「ナパージュには三戒があるのを君は知らないのか」
「知っていますよ。けれども、ウシガエルの国には三戒はありません」
「それがどうしたのだ。君はいったい何が言いたいのかね」
「ウシガエルたちには、三戒を守る義務がないということです」
 
⑧「昨日、スチームボートに南の崖を守ってくれないかとお願いに行きました。すると、スチームボートからある提案を出されました」
「その提案とは何だ?」
「スチームボートは、自分がウシガエルを追い払うときにはツチガエルも一緒に戦うようにと言いました」
「それはならん!」
「そんなことをすれば、完全に三戒違反だ!」
 
⑨「わたしたちだけではとてもウシガエルは防げない。スチームボートに守ってもらうしか方法はない。そのためにはスチームボートと協定を結ぶしかありません」
「何度も言うように、それは三戒違反だ。何があっても三戒を破ることだけは許されない!」
「ナパージュが危なくなってもですか?」
「そうだ」
 
⑩「わたしたちにはもうあまり時間がありません。そこで、あと一回だけ会議を開いて、スチームボートと協力することを決めようではありませんか」
「一回では足りない!」
「では、何回会議をすればいいのですか」
「十分に話し合うことが大切だ」
「その間、ウシガエルたちが待っていてくれるのでしょうか」
「では、あと何回の会議で決定するのかについての会議をしよう」
「いい加減にしてください!」
 
⑪「しかし、ウシガエルたちが大量に南の崖を登ってきたら、わたしたちはどうやってそれを防ぐのですか?」
「簡単なことだ。話し合えばいい」
「話し合いですって?相手は凶悪なウシガエルですよ。話し合って、南の崖から降りてくれるんですか」
「同じカエル同士だ。話し合えば分かる」
「すると、ウシガエルの国で毎日彼らに食べられているカエルたちは、話し合いが下手くそなカエルということですか」
「そんなのは詭弁だ!」
 
⑫「皆さんの中にはウシガエルのことで必要以上に不安にかられているものも多いと思います。
しかしそれは全くの杞憂です。ウシガエルには一切の悪意はありません。彼らはただ南の崖が珍しくて登ってきただけにすぎません。
言うなれば、お客様です。本日、ウシガエルたちに向かって、『帰れ!』と罵声を浴びせたものがいると聞きますが、とんでもないセリフです。それはまったく非友好的な言葉で、ナパージュのカエルにふさわしくない態度です」
 
⑬「戦いに訴えるのは最も愚かなカエルのすることだ。賢明なるナパージュのカエルが取るべき道ではない。とことん話し合えば、必ず明るい未来が開ける」
「話し合いの結果、ウシガエルが南の崖を返さないと言えば?」
「それは話し合いが足りないのだ。お互いに納得いくまで話し合えばいい」
「では、もしウシガエルがそれ以上にナパージュの国に入ってきたらどうするのです?ウシガエルがナパージュのカエルを殺して食べたら?」
「それをやめてもらうように話し合うのだ」
 

・・・ダメだ、書いてて気持ち悪くなった。量よりも中身のせいで。。
まぁ、こんな感じです。ある種のよく練られた比喩は現実よりも強く現実を映し出すけれど、この本はまさにその典型だと言える。
ちなみに、現代日本とほぼ同じ設定の「カエルの楽園」だが、後半は少し変わっている。具体的には、アメリカに「もう9条あるからあんた要らねっす」と出て行ってもらい、自衛隊を解散したらどうなるか?について描かれている。
あとは読んでください。ぞっとします。百田さんが暗殺とかされませんよーに。


 
***

世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。

退かぬ、媚びぬ、省みぬ!!!

我が人生に一片の悔いなし!!!

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