(公式HPより)
短い期間で観た映画が、同じ女優ジェシカ・チャステインの出演する作品だったのは偶然ではあるが、「女神の見えざる手」に続き、「インターステラー」も超面白かった。

子ども、特に娘を持つお父さんなら涙ちょちょぎれ間違いなしの「インターステラー」。今ならなんとアマゾンプライムで無料で観られるので力強くご紹介。
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映画「インターステラー」の留意点
あらすじの前に、留意点について述べる。こんなこと言わなきゃいけないのは、後述するように監督のせいだ。公式ページによると、あらすじはこのように記載されている。

地球の寿命は尽きかけていた。居住可能な惑星を探すという人類の限界を超えたミッションに選ばれたのは、まだ幼い子どもを持つ元エンジニアの男。彼を待っていたのは未だかつて誰も見たことがない、衝撃の宇宙。はたして彼は人類の存続をかけたミッションを成し遂げることができるのか?

パッと見ると「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」のような映画をイメージして、ああどうせ最後は親子の別れで涙を誘うんでしょと思ってしまいそうになるが、全然違う。また、「オデッセイ」のような遭難モノや、「ミッショントゥマーズ」のような遭遇モノとも違う。
 
まず、以上4つの映画と比べて何が異なるかというと、たぶん2回ぐらい観ないと意味が分からない。
これは監督のクリストファー・ノーランの映画特性によるもので、「ノーラン映画=脳乱映画」と言われるぐらい、一見しただけでは伏線の全てを味わうことができない。ノーラン作品の「インセプション」も「メメント」もやはりそういう映画で、「ああ、そこがそうつながってたの!」と2回目ぐらいでようやっと分かる。
そういう意味では大人向けの映画で、親子で観てお父さんと娘の絆に共に涙する、ということは難しい映画なのかもしれない。少なくとも、子どもが観て楽しい映画ではない。
映画館で観るよりも、復習が可能なアマゾンプライムで観賞可能なのはとっても良いことなのであります。
 
次に、説明が少ない。
構成が杜撰な訳ではなく、逆に宇宙探検を現実に極めて近似させて作っているがゆえに、映画を時間内に収めるためにもある程度の知識が観客にある前提で話がバンバン進んでいく。例えば本作ではアインシュタインの一般相対性理論や量子力学、特異点などの宇宙の基本知識があまり説明もなく展開されていく。
僕は物理と数学は高校のテストで0点だったぐらい全くダメなのだが、宇宙に関しては昔から好きだったため、ブラックホールとは何か、ワームホールとは何か、太陽系とか銀河系ってなに?ぐらいのことは知っており、十二分に楽しめた。まぁそこは前提とはいえ付録であり、本筋ではないため知ってようが知らなかろうがあまり関係はない。
 
最後に、え?普通ここじゃないの?という盛り上がりどころが、本来あるべきところにない。
「アルマゲドン」や「ディープ・インパクト」ならば隕石が地球にぶつかってパニックになるシーンでは恐怖を覚ええるし、親娘が別れるシーンでは展開が分かっていても涙なしでは観られない。それまでにもいくつもの見所があり、大ヒットしたのもうなづける作りになっている。
いわばこれらは強烈に味の印象が強い中華料理のような作品であり、「アルマゲドン?ああ、あのシーンは感動したよね」と言える映画である。
 
一方の「インターステラー」はというと、例えるのも変だが高級割烹のような感じである。
一つ一つの料理は中華のように「うめー!!!」と唸るようなものではないがしかし高品質であり、全部食べ終わったあとに非常に高い満足感に浸ることができる。点と点がつながり1つのストーリーを形成し、「ああ、この前菜はのちの主菜のための布石だったのね」みたいな感覚になる。
不思議なことに、序盤に訪れる父娘のお別れも、数少ない宇宙船クルーが犠牲になる瞬間も、本来ならば涙ちょちょぎれもんのお別れ劇になるはずなのに、全然盛り上がらない。もちろんもっと大事な展開があるからさっぱりしているのだが、「え?そこ、それで終わり?」みたいな進み方をする。
ノーラン映画脳乱するというのも、非常によく分かる。
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映画「インターステラー」のあらすじ
さてようやく本題のあらすじ。前述したあらすじだけだとよく分からないのだけれど、ざっくり追記すると、下記のような感じになる。太字の部分は謎なぞポイント。
☑️近未来。地球では異常気象や植物枯渇のため人類存続の危機に瀕していた。かつて廃止されたNASAは秘密裏に復活しており、そこでは別の銀河に居住可能な新天地を求めるプロジェクト「ラザロ計画」が進められていた。(なのに、あまり人類が危機に瀕してる感満載な映像がない。)
☑️ある日、主人公であり元宇宙飛行士のクーパーは、10歳になる娘のマーフから、「家の本棚から勝手に本が落ちて怖いんやけど」と相談を受ける。クーパーは、本が落ちたあとの本棚の並び方の規則性から、それを何者かが重力波を使った二進法のメッセージを送っているものと喝破する。そのメッセージにはある住所が示されており、マーフとともに行ってみると、そこはなんと廃止されたはずのNASAの秘密基地だった。NASAは細々と生きていた!
☑️クーパーは地球の危機に対抗するための「ラザロ計画」について聞かされる。「ラザロ計画」では、十数年前から複数名の宇宙飛行士を別銀河に送っており、居住可能な惑星を探させている。今のところ別銀河に派遣された3箇所の宇宙飛行士から「ここ住めるかもしれへんで」という返信が来ており、その真偽を確かめて必要なら移住計画を実行に移す必要があるという。
☑️で、いきなり「お前が地球を救うんだ」と前職(NASA)の上司から宇宙探検のリーダーに指名されるクーパー。腕が良いからということらしいが、他に宇宙飛行士いるはずなのに謎の展開。引退して数年経ったはずの宇宙飛行士をなぜ突然ミスの許されない計画に巻き込むのか。当然、帰ってこられる可能性は少なく、また成功の望みも決して大きくはないことから悩む。
☑️悩んだはずなのに、意外とあっさりと「いきまーす!」とアムロばりに返事するクーパー。10歳の娘、マーフはキレる。そして宇宙に飛び立つその日まで、口を聞いてくれないままお別れ。お別れで泣きたかった僕としては強烈な肩透かし。宇宙飛行士の現役に戻るための訓練とか、「ラザロ計画」の際に潜るワームホール対策とか一切なし。
☑️土星付近にあるワームホールから、別銀河にワープする。ただし土星までは2年かかるため、冷凍装置でお昼寝。このあたりは宇宙船にブースターをつけて加速したり、ワープ装置でワープしたりということをしないで、宇宙の原理にわりと忠実に作ってある。食料や酸素の問題もあるため、冬眠ができるならそれが一番良い。ワームホールの映像も実際を模して作ってあるらしく、めちゃ綺麗。
☑️「ラザロ計画」では、2つのプランが考えられていた。プランAは、当初の予定通り実際に居住可能な星を見つけ、そこに移住する。ただしこれは人類全体が移住することが可能な距離(=あまり年をとらずにそこにたどり着ける)にその星があり、かつ再現性(=生きてそこにたどり着ける)がないとあかんという、かなり困難な目標。それがダメだった場合には、プランBを実行することになっていた。これは、冷凍した精子卵子を使って現地で人口爆発させるというもの。この場合、現生人類は助からない。
☑️別銀河にたどり着いたクーパー一行は、生存信号が来ていた3箇所の星を順番に回ることにする。といってもそれぞれが数年単位で離れているため、行く順番やリスクも詳細に検討しなければならない。すったもんだの末、1箇所では宇宙飛行士はすでに津波で死んでおり、信号だけが送られていたことが発覚。1箇所は行って生き残っていた宇宙飛行士を発見したものの、彼が嘘をついていたことが発覚。もう1箇所は燃料なくて微妙、ということに。
 
なんでワームホールを無傷で飛べるんだとか、なぜブラックホールの中に入っても潰れないんだとか色々ツッコミどころはあるものの、基本的には現行宇宙の原理原則に沿って作られている本作。もし一つだけ本作における重要な概念を言えと言われたら、「時間」というのがたぶん適切な答えだろうと思う。
ボーリングは球を投げてからピンが倒れてスコアが出るまでに数秒程度しかかからない。じゃあ次はどうしよう?というPDCAを回すことができる。1時間あれば数ゲームこなすことができ、その中で上達することもそんなに難しくはない。
宇宙探検において一番難しいのはまさにこの点で、一つの作業に対する結果が判明し、次のアクションを打つのに最低数年がかかる。場合によっては数十年だ。本作でも、「ここ、住めるかもしれへんで」と信号を送ってきた宇宙飛行士は十数年前に旅立った人間であり、当然のことながらそれだけ年を取っている。
2つ3つのミッションをこなしたらすぐに数十年経ってしまった・・・なんてことになっても全然おかしくはなく、そうなると地球か宇宙の双方でもともとプロジェクトに関わっていた人の少なくない数が加齢で死ぬ。つまり、よほど知識と経験の継承をしっかりしないと、PはともかくとしてDもCもAもまともに行うことはできないというのが、宇宙の探検を難しくしている。
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「インターステラー」の見所
前置きが長くなってしまったが、じゃあ「インターステラー」の見所は何?と問われれば、まさにこの「時間」に関するあれこれである。それこそドラゴンボールで神龍に永遠の命をもらわないと成し遂げられなんじゃないかと思うほど、時間という制約がクリティカルになってくるのが宇宙探検。時間ネタを含め、いくつか印象的なシーンをご紹介。もちろんネタバレあり。
 
1、伏線が異様に多い。
正直、主人公クーパーが宇宙に飛ぶまでの最初の30分は退屈になってしまう。「地球の危機」というわりにはちょっと砂嵐が多いぐらいであまり人類全体の切迫感を感じないし、前述したようになぜクーパーが宇宙に行くことになるのかもよくわからない。今生の別れであるはずの娘とのお別れシーンも、わりとあっさりしてる。
しかしこの最初の退屈な30分にバラ撒かれた伏線が、ラスト30分で強烈に回収される。グルグルグルグルー!と強烈なウィンチでガンガン回収されるので、最初の30分を集中していないと何がなんだかわからなくなる。
ノーラン節の面目躍如といったところか。
 
2、時間の流れが違いすぎて、いつの間にか娘が自分と同い年になっていた!
パッとした感覚で普通の人が一番理解しがたいのがココ。「宇宙を探検すると、年を取りにくくなる」と言って直感的に理解できる人はどれぐらいいるだろうか。
これは特殊相対性理論と呼ばれる原理において証明されており、厳密にはめちゃ難しい話なのだが、映画を理解する上では結論だけ覚えておけば良い。光の速さに近い速さで宇宙を動く自分は年を取ってないのに、地球の人たちはめっちゃ年を取るのである。
本作では、生存信号が来ている星の居住可能性の確認のため、「ちょっとブラックホール近くの星に行ってくるわ」といってちょっとだけ宇宙船から離れ、現地で探検して帰ってきたら、なんと地球時間で23年も経っていた、というシーンがある。ブラックホールの重力の影響により極限まで速度が高まり、それが自分の周囲の時間の流れを遅くし、相対的に外界での時間の流れが早まるのだ。
 
そして、宇宙船に帰ってきたクーパーは、衝撃的な事実を突きつけられる。自分の中では数時間しか経ってないのに、地球の時計の針は20年以上も進んでいた。地球から来たビデオメッセージでは、久々に見る娘のマーフが、なんと自分と同い年になっていた。
「パパ、久しぶり、あなたが旅立った時と同い年になったわよ」とビデオで言うマーフ。(なんでワームホール越しにビデオが届くのかは不明)地球で別れの時にすら怒って言葉を交わせなかったマーフが、この日だけは覚えており、なんと自分と同い年になり、しかもNASAで働いて自分の宇宙探検をサポートしているという事実。
父が地球を離れてから数十年。生きているのかどうかも分からず、不安ななか、しかしNASAに務めるまでの努力をして自分と同じプロジェクトに関わっているマーフ。父を欠いた人生はどんなだったんだろうと想像し、ここで目に大量のゴミが入ってしまった。
 
3、宇宙空間に一人で数十年暮らす悲哀
上記と同じシーンで、もう一つ涙が出る瞬間があった。
宇宙探検に向かったクーパー御一行様のうち、ブラックホール近くの星の信号確認に向かったのは、全4人のうちの3人だった。3人は母船を離れ、宇宙ジェットで星へ向かった。
残った1人は物理学者のロミリー。鍵となっているブラックホールの重力データを観測して地球に送りたいからという理由で母船に残ったのだが、なんとなんと、先ほどと同じ理由でクーパーたちが「たった数時間後」に帰ってきたら、ロミリーにとってのそれは23年になっていた。
 
旅立っていったクーパーたちは行って帰って数時間の旅なので当然その時のままの姿だったが、帰ってきたときのロミリーはすでに60代に突入。母船と宇宙ジェットが接続され、ゲートが開いたときにロミリーが発した一言「待ちくたびれたよ・・・」に、これまた目にゴミが入ってしまった。
最初は7年(=1時間)で帰ってくると言われてたのに、すったもんだあって数時間=23年間も宇宙船で一人、待ち続けたロミリー。ロミリー!!!宇宙空間で誰も話し相手のいない中での生活を数十年もするなんて、通常の神経では絶対にできない。このあたりもやたらさくっと描いているが、俺は見逃さないぞ、ロミリー。
本作のMVPは個人的にロミリーであります。まじでよく頑張った!!!
 
 
このように、時間の経過に関する概念が地球上と違いすぎて、ところどころ混乱するのだけれど、それがゆえに涙が止まらない場面も多い本作。
最後にもう1回ブラックホールに突っ込む場面があって、そうなるとブラックホールの強烈な引力の関係で光の速さレベルにまで速度が高まるせいでさらに外界の時間の流れが早まる場面がある(本人たちの1時間=50年!)のだけれど、それがクライマックスにつながる。
ここからはもうネタバレとかじゃなく説明できないので、本作を観ておくんなまし。
二度見マストな「インターステラー」、ぜひ感想をください。
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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。
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