苦境に喘ぐ大塚家具が、2018年12月期の決算を発表した。

決算内容の詳細については、専門家目線で仔細な分析をしていていつも勉強させていただいていただいている、こちらのブログをご参照。一時期のソニーと同様に(その後ソニーは飛躍したけども)、売れるものを全部売りさばき、もうあとは本業回帰しかないよね、といった状況のようである。

その中で「ヤマダ電機との業務提携」という文字が見られたが、僕の感覚ではこの一文を以って「大塚家具は終わった」と思った。良い方に転ぶとしたら、大塚家具が新たなブランドを手にして飛躍することもある・・・かもしれない。でもそれは、今までの大塚家具とは全く違う会社になるということである。悪い方に転ぶとしたら、文字通り会社の歴史が閉じるということになる。

ちなみに全然関係ない話ではあるが、僕も最近売れるものを色々と売り始めた。プライド満載だったときに買ったブランド靴、写真の処理に困ったまま放置してあったMacやiPhone、そして同じく使わなくなった時計やネクタイなど、バシバシと売りさばくことにした。そしたら合計で8万円ほどになった。「ラクウル」はほぼストレスがないのでおすすめ。


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大塚家具の迷走

もともと、大塚家具は誰でも知ってるほど高級家具の代名詞として業界に君臨していたが、2015年に創業者と後継者の間で承継争いが勃発。手塩にかけて育てた愛する娘と争うとはどれほどの苦しみ出会ったであろうと、同じ父親目線では思ってしまう。

新VS旧、変革VS現状維持、中価格路線VS高価格路線のわかりやすい構図だったため、メディアが面白がって煽りまくり、ついに事業承継のタイミングで決裂。骨肉の争いの末に、娘は父親を大塚家具から「追い出す」ことに成功し、父親は「匠大塚」を立ち上げた。以後、大塚家具は新路線をひた走るも、凋落の一途をたどることになった。匠大塚の方はと言えばまぁまぁ話題になっているが、まだよくわからない。

直近数年の大塚家具の決算は、目を覆わんばかりの惨状に。わかりやすく億円単位で記載。

2015年12月期 売上高580億円 当期利益3.6億円
2016年12月期 売上高463億円 当期利益–45.7億円
2017年12月期 売上高411億円 当期利益–72.6億円
2018年12月期 売上高374億円 当期利益–32.4億円

赤字幅が縮小したのは何か施策が功を奏したわけではなく、前述の通り売れるものを全部売っぱらったからであり、あとは本業を頑張るしかないというところまで来ている。売り上げを伸ばし、コストを減らし、利益を確保するという商売の一丁目一番地の現実を、今更ながらに突きつけられたという形。ヤマダ電機との業務提携も、その一貫だと思われる。

代替案もないのに批判するのもいかがなものかと言われかねないが、今回の業務提携は個人的には「完全にナシ」だと思っている。

 

大塚家具の凋落は、正直言えばもともと原因を特定するのが難しいところがあった。

もしかしたら、凋落そのものは時代の流れだったのかもしれず、単にお家騒動や娘社長の新路線が問題の真因ではなかったのかもしれない。安売り路線はニトリやイケアに完全に抑えられており、高級路線はと言えば超弩級高級家具のカッシーナなどの海外モノに、富裕層は移りつつあった。お家騒動がなくても厳しい時代になりつつあった。

一方の大塚家具は、接客員が顧客ベタ付きの旧式営業が主体で、高級ではあるものの時代遅れ感は結構あった。これを自分が継いだからにはどげんかせんといかんと娘社長が思ったとしても、全然不思議ではない。というかむしろ当然だとすら言える。双方に正義はあったはずなので今となっては元の木阿弥ではあるが、いかんせん「家具なのに燃えた」というところがいろんな意味で致命的であった。

大塚家具が販売する家具は滅多なことでは燃えないような加工がされているのかもしれないが、まさかの供給元が燃えてしまった。アーチーチーアーチー!

 

僕に言わせれば、結婚式場が派閥闘争に陥ったのと同じ感覚であり、そんなところで結婚式を挙げたいと思わないのと同様、そんなところの家具を買いたいとは微塵も思えない。

しかもニトリやイケアのように、気に食わなければ次の家具をバンバン買い換えるということができるカテゴリではなく、少なくとも数年、長ければ数十年その家具が家に陣取る大塚家具のような高級ブランドでは、その意識が顕著になる。

平たく言えば、「縁起のよくないものを家に置いておきたくない」のである。少なくとも、新婚ホヤホヤのカップルとか、新しくマンションを買った家族が、大塚家具を積極的に選ぶかというと、とっても怪しい。家具を見るたびに父娘の争いをイメージしてしまいそうである。

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組んではいけない相手だったのでわ・・・?

さてそんなこんなで時代の流れとお家騒動という二つの事件に巻き込まれてしまった大塚家具が、そうはいっても会社の再建を目指して新しい商圏を拡大しようとするのは、間違ったことではない。今まで通りやっていてはダメなことは明白であり、何か手を打たなければならなかったことは疑いない。

んが、ヤマダ電機との業務提携に関して言えば、これは組んではいけない相手だったとしか僕には思えない。優劣の問題ではなく、相性の問題として、パートナーとしては最悪であると思う。
 

ヤマダ電機は、素晴らしい会社だ。

家電量販店としては売上高首位を独走しており、業界内のシェアは3割を超える。また新規事業にも熱心で、最近では電力の小売や住宅事業まで始めている。おそらくはこの住宅事業とのコラボを見込んで、大塚家具はヤマダ電機との業務提携に踏み切ったのじゃないかと思われる。

ヤマダ電機は強豪ひしめく業界内での雄であり、要するにビジネスが上手い。なのでそこの戦闘力としてだけ見れば、組む相手としては適切なように思える。

 

しかし、ヤマダ電機は主に「安売り」をアピールする会社である。大量仕入れによってコストを抑え、価格競争力を活かして顧客に供給している。家電量販店においてはビジネスのキモはほぼほぼ価格となってしまっており、どんなサービスを抱えていたとしても、まずは価格競争力を顧客にアピールするところから始めねばならない。

かくいう僕がヤマダ電機に一時期行ってたのも、価格が安いというイメージがあるからだ。結局ビックカメラに戻りましたけれども・・・。ビックカメラを35歳ぐらいまで「ビッグカメラ」だと思っていたのは秘密でございますけども・・・。

 

ニトリやイケアがヤマダ電機と組むなら分かる。どちらも低価格を売りにしているのであり、顧客から見てもシナジーが想像しやすい。しかし今回は中〜高価格路線の大塚家具と、低価格路線のヤマダ電機とのパートナーシップ。とってもとっても合わない気がするのは僕だけだろうか。

ある投資家は、「M&Aで大事なのは、売り上げの多寡が云々ではなく、企業文化が近いかどうかだ」と言っていたが、M&Aではないにしてもまさにこれ。価格に対する概念が全く異なるように見える2社の業務提携は、混乱するだけで終わるのじゃないかと見ている。

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優劣ではなく、相性の問題

キリスト教徒とイスラム教徒が焼肉屋を一緒にやったら、間違いなくすぐにうまくいかなくなると思われる。

キリスト教とはまず1番目にラムを持ってくるなんてことはないし、イスラム教徒にとっては豚はNGである。どちらも宗教としては世界レベルに広まったので優れているところもそれぞれにあるのだろうけれども、相性としては厳しい。だから戦争も一向になくならない。

いつだかに消費者金融のCMにAKB48のトップ選手たちが出演していた。消費者金融のビジネスに対する感想はここでは述べないが、まずもって相性最悪のCMだった。銀行のCMに出るならまだしも、柏木ゆきりんが消費者金融のCMに出ちゃいかんでしょ。大島優子と小嶋陽菜は大好きなのであるが、AKB48自体は拝金主義の集団というレッテルは取れそうもなくなってしまった。

映画「タイタニック」では、労働者(の下の方)階級のジャック(レオナルド・ディカプリオ)と上流階級のローズ(ケイト・ウィンスレット)の恋愛ドラマが涙を呼んだ。映画自体は今見ても素晴らしい。なんなら僕も深海に潜りたいぐらい。でも、あの二人は仮に結ばれても多分うまくいかなかった。育った環境の違いはことの外大きい。

 

いくつか具体的な事例を述べたけれども、互いの優劣は置いておいたとしても、こことここは組んじゃダメだよね、というのが間違いなくある。先に出てきた結婚式場も葬儀場もどちらも人生の中では非常に重要なイベントではあると思うが、結婚式場に葬儀場のパンフレットが置いてあることはないし、葬儀場で幸せそうなカップルの写真が貼ってあってもイヤである。

大塚家具とヤマダ電機のコラボというのは、いち消費者からみれば上記のコラボとあまり変わらない。どっちにいくの?となおさら迷走に拍車がかかってしまう気がする。大塚家具が組む相手として例えば同じ高級路線のベンツやフェラーリ、アパレルならユナイテッドアローズ、ホテルはヒルトンやリッツカールトンと提携しましたとかいうなら分かる。

今回別口で借りたいくばくかの資金をブランド再構築に費やす予定だという方針も出ていたが、ヤマダ電機と組んだ時点でブランドが吹っ飛んでいる、というか正確には「ブランドが書き換えられてしまう」という可能性は非常に高い。

もっとも、最初に書いたように、「新生大塚家具!安売り上等!」みたいな感じで完全に路線を転換するのであれば、アリな選択なのかもしれない。ただしその場合、大塚家具は単価を半分ぐらいに下げないといかんのじゃないかしら。やっぱり、「終わりの始まり」にしか思えない。

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世知辛い世紀末にこのエントリを読んでいただいたことを感謝します。
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