僕はテレビを基本的に見ないのだけれど、唯一の例外が朝。ざっと流す程度にニュースをチェックする。今日は大坂なおみ選手がイケメンコーチとの契約を解除して、しかもそれを決意したのは優勝した全豪オープンの最中だったというなかなかなニュースが流れていた。

そんな中、オンラインゲームの出会いからリアルに付き合う事例が増えているというニュースがあり、ふむふむ言いながら娘と一緒に見ていた。僕がドラクエやファイナルファンタジー、スト2にハマっていた頃はゲーム上での女性との出会いは皆無で、たまにゲームセンターでチーマーと出会ってカツアゲされるぐらいだったので、隔世の感がある。

ちなみに高校1年生の時にゲームで勝ちすぎて対面にいたチーマーに絡まれたのだが、なんと相手はガタイは良いが小学生だった。なぜか警棒を持っていて、「殺しちゃうよ、高校生さんよ」と言われて3対1だったので敗北。近くに偶然いたプロレスラーに助けてもらったという甘い過去がある。)

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オンラインゲームでの出会いから結婚へ

出てきたのは29歳(♂)と30歳(♀)の夫婦。2人はオンラインゲーム歴10年を超えるベテラン。2人が出会ったのは10年前。といっても、当然オンラインゲームの中での話。

主に最前線で敵を殲滅するのがメインの女性に対し、回復魔法やアイテムで後方支援を担当するのが男性。現実世界では逆にも思えるこの組み合わせはなかなか双方にとって居心地が良かったらしく、すぐにパーティ(チーム)を組むようになる。「あのアイテムを取りにいこう」、「例の洞窟を探検しにいこう」とオンライン上でやりとりをしながら、いつの間にか互いの相性を確認する2人。

やりとりを重ねて4年も経った頃、オフ会が東京で開催されることになった。オンライン上で知り合ったメンバーのうち、特に気の合う者同士10人程度が集まる。オンライン上での性格診断は双方ともに終わっており、「良い人だな」とは思っていた。「その先もあるかも・・・」ぐらいにももちろん思っていた。

 

会ってみると、男性側は「女性だった!よし!結婚できる!」と思った。女性側は「想像通りの人だった」と思った。いわゆるお互いがお互いの「ストライクゾーン」に入ることを確認した会となった。

オンラインゲームには、男性のフリをした女性や、女性のフリをした男性が多い。また、そもそも見た目が全くわからないなかでやりとりしているため、好みかそうじゃないかも、会ってみるまで分からない。とりあえず、いわゆるレガシーなの形での結婚の土台に、2人は乗ることになった。

オンライゲームで数年間ともに修羅場をくぐり抜けてきた戦友であり、性格はお互いに知り尽くしている。そして互いが男女を意識できる程度の見た目と常識を兼ね備えている。そうしていつの間にかリアルでも付き合い始めた2人は、数年後に結婚した。当然、夫婦の共通の趣味はオンラインゲームである。ちゃんちゃん!

というなかなかほのぼのとした話だった。幸せの形は一つじゃない、出会いの形は色々あると思わされた放送。僕の価値観の範囲内にはないが、男性側が「オンラインゲームでは、トラブルが起きた時に本性が出るから人物鑑定がしやすい」と言っていて、なるほどなと思わされた。

 

この話を、結婚に至るまでの一つの物語としての視点から見た場合は、100点満点だ。

リアルではまず出会う可能性のなかった2人が、時空を超えて(大げさか)邂逅した。奇跡以外の何物でもない。「あの日あの時あの場所で君とオンラインゲームで出会わなかったら・・・」と小田和正に歌にしてもらった方が良いぐらいの確率。

最新の恋愛事情と言ってもよく、テクノロジーと人間らしさの良い感じのマリアージュが産んだ恋愛模様だ。これはこれで良い。幸せな家庭がまた1つ増えたのであり、完璧なまでのハッピーエンドだった。子供が生まれたら梅原大吾氏のようなプロゲーマーにするための英才教育を施すのかどうかがだけが気になる。

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婚活視点で斬ってみると・・・?

一方、この話を「婚活」視点で見るとまた違った風に見える。結婚ではなく「婚活」。結婚に至るまでの諸々の活動を指す「婚活」。

というのも僕は今、とある結婚相談所をビジネスコンサルのクライアントに持っており、その中でどう結婚志望の人たちに明るい未来を届けるかということを試行錯誤しながら考えている身である。世の中で起きている事象を自分の専門分野に置き換えて考えるというのは、半ばパブロフの犬的に習慣化された思考様式だ。

そんな感じで婚活視点でこの話を斬ると、「試行回数1でたまたま出たラッキー以外の何物でもない稀有な成功例」だと言える。繰り返すが、この物語を「結婚に至る奇跡のストーリー」として見れば100点である。それを否定する気は全くない。ただこの場では敢えて「婚活」に焦点を当てて、その視点から見てみたらどうでしょうというだけの話。

2人が出会ったのが10年前であり、そこから会うのに4年かかっており、そこから結婚へと結びついたのが今回の話。初めて会うときに相手が男性か女性かも分からず、好みかどうかも分からず、そこでたとえば「食事の食べ方が汚い」、「歯がない」などの致命的なファウルラインを超えていれば、そこでこの恋愛は終了していた。

全ての分かれ道が奇跡的に二人の未来に繋がっていたのであり、確率的にはそれこそ千万単位分の1しかなかったものを、この2人の幸運と努力が呼び寄せた形。まじですごい。

 

結婚相談所の経営者に言わせると、こういった夢物語に近い成功事例が、「婚活する人にとっては一番良くない」のだという。なぜかといえば、先に述べた通り、「試行回数1」の物語だから。今回のケースで言えば、たまたまうまく行ったから良かったものの、仮にうまくいかなかったとした場合を考えると分かりやすい。(そちらの方が可能性としてはずっと高かったわけだが)

消費した時間は最低でも4年(出会うまでの年数)+そこまでの労力だとすると、これがうまくいかなかった場合にもう1回PDCAを回すには、もう4年かかる計算になる。そうすると10年かけて試行できるのがたったの2回。これでは経験値も何も貯まらないし、実力の向上は見込めない。

 

その経営者は言う。

結婚相談所に限らず、結婚をゴールとする婚活において、一番大事なのは試行回数であり、相談所においては特にそれが顕著なのだと。登録している人全員が結婚を前提とした付き合いを希望しており、あとは合うか合わないか、好みか好みじゃないかだけ。そうすると、あとは試行回数を稼いでどれだけ宝探しをするかという問題になる。

一番やってはいけないのは、ホームランを狙っていつまでもネクストバッターサークルで沈思黙考すること。どれだけ考えても自分の実力が上がるわけではなく、どういう人が好みかも、会ってみないと分からない。結婚を前提としているがゆえに、とっさのときめきや盛り上がりよりも、安定して長く付き合えるかどうかを重視するのが肝らしく、そういう感覚やスカウティング能力は婚活の試行回数を繰り返す中でしか身につかない。

一つ一つの出会いは大切にすべきだが、それとは別に機械的にアポを入れまくり、面談をしまくる人が男女問わず成功=成婚を勝ち取るのだという。営業の世界と全く一緒ではないかと聞いてて思った。確かに、婚活に悩んでいる男女の相談を良く受けるが、概して慎重であり、概して考えすぎである。結婚するかどうかの人が現れてから悩めば良いものを、出会う前から悩んでいる、ということがよくある。

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上達を生み出すもの

また、上達の視点で見ても試行回数が1回しかないのは致命的だとされる。それは1回しか戦ってないのに大魔王を倒そうとする勇者のようなもので、奇跡的に強靭な肉体に生まれ、奇跡的に勇者の武器や防具を身に纏っており、奇跡的に強大な魔法を生まれながらに習得しており、それでようやくどうですかという話になる。そんなもの、奇跡の何乗分かの奇跡に過ぎない。

上達したければ、試行回数を稼ぐこと。婚活市場においては、相性云々とは別に婚活力の低い男女もやはり相当数いるらしく、僕のクライアントが重視するのはその人の婚活力をまずは合格ラインまで引き上げること。これを最初にやるのだとか。

ある程度修行させたのちに戦場に放り出し、対戦につぐ対戦。そうしていつしか戦い(=面談)を経る中で強みは強化され、弱みは解消され、いっぱしの婚活勇者となって世界に羽ばたいていく。成婚率85%を超えるその相談所にはやはりそれなり以上のクオリティのノウハウが溜まっており、しかしそれを担保する最大のポイントは何かと聞かれれば、やはりその経営者は「試行回数」と答える。

投資マーケットにおいて、リスクは時間を長く取ることである程度コントロールすることができると言われている。同じく上達マーケットにおいては、試行回数を多く取ることで実力をある程度コントロールすることができる。今回の物語はそれはそれで美しく素晴らしい物語であり、そして違う見方をすれば試行回数の重要性について考えさせられる話であった。

僕の経験上、どの業界でも偏差値70ぐらいまでは試行回数を稼いである程度努力を重ねるだけでたどり着ける。それがスポーツだろうが囲碁だろうが盆栽だろうが変わらない。行けるところまでは再現性高く実力を高めておいた方が、何かと都合が良い。そこから先は、今回の話で起きたような奇跡を期待するのも、悪くないと思う。

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